夏の暑い部屋を涼しく過ごしやすくするため、数年間あれこれ模索してきたことをまとめました。
1.エアコンの効かない暑さの原因

都会の夏、とくにコンクリートで出来た1K/1Rのアパートやマンションは夏になると本当に暑いもの。
部屋によっては夜になっても涼しくならず、エアコンもかなり温度を下げないと効いてくれません。
家での時間を快適に過ごしたいのに、やっと少し過ごしやすくなるのは深夜ごろ。
これでは節約などを考える前に、エアコンを使っても住みづらい家になってしまいます。
そこでまずはエアコンの冷房が効かないほどの少し異常な暑さについて、その原因を見ておきましょう。
1-1 知られざる体感温度と放射熱

「体感温度」と聞くと一般に「体温や湿度によって温度の感じ方が変わる」というイメージがありますよね。
もちろんそれも体感温度の大切な要素なのですが、実はさらに関係が深いのが直接触れていない壁や天井などとの「放射」と呼ばれる熱のやり取りです。
例えば、気温0℃に近いような屋外でもストーブの近くだと暖かく感じるのは、まさにこの放射によって体が熱を受け取っているから。
実は暖房機器でなくても温度の高いものは必ず「赤外線」と呼ばれる目に見えない光を放っていて、これが周りのものを温めてしまう放射の正体です。

熱くなった夏のベランダや壁は空気を温めるだけでなく、放射による熱をたくさん放っています。
そしてその「放射熱(輻射熱とも言います)」は例えどれだけ室温を下げていても、直接中の人や物を温め続けてしまうのです。
日が沈んでエアコンをつけても感じる「ジリジリと焼かれるような暑さ」の正体はほとんがこの「放射」によるものだと思っていいでしょう。
放射から感じる暑さを防ぐためには、エアコンの設定温度を下げるのではなく、ベランダや壁の熱を冷ましたり窓から入ってくる赤外線を遮ったりする必要があります。
※赤外線は光の一種なので、普通の窓ガラスや薄いカーテンではほとんど防げません。
※熱のエネルギーは75%が放射によって伝わると言われるほど放射の影響力は大きく、よく保冷バッグなどに銀色のアルミが使われているのは赤外線を防ぐため。
太陽の放射とベランダの放射
私たちが普段陽の光を温かいと感じるのは、実はずっと遠くにある太陽からの放射によるもの。
つまり、放射は信じられないくらい遠くから熱を届けることができ、それだけ遮るのが難しいものだとも言えます。
もちろんベランダの持つ熱は太陽とは比べ物になりませんが、それでも太陽より1000億倍も近い距離から(それも室内に向けて)熱を放射するので、ベランダが少し熱を持つだけで人はかなりの「暑さ」を感じてしまうのです。
1-2 エアコンの仕組みと限界

夏のお昼の時間帯などはエアコンから冷風が出なくなったり弱まったりすることがあります。
もちろんエアコンそのものの故障の可能性もありますが、最も考えられる原因は「室外機が暑くなりすぎている」というもの。
少し難しい話ですが、エアコンは部屋の空気から「熱のエネルギー」を取り出して室外機に送り、外の空気に渡すことで室温を下げています。(室外機から熱風が出てくるのはこのため)
なので直射日光などで室外機やその周りが熱くなりすぎると、せっかく取り出した熱を外気がほとんど受け取ってくれなくなり、エアコンは空気をうまく冷やせなくなってしまいます。
そのためエアコンから温風が出始めた場合は設定温度を下げてよりたくさんの熱を集めるか、室外機の周りを冷やす工夫が必要です。
※エアコンは室外機の温度が低いほど効率よく空気を冷やすことができます。
空気を冷やす仕組み(詳細)
物理の世界には、「熱は必ず温度の高い方から低い方へと伝わる」という決まりがあります。
つまり、それは普通に風を循環させていても絶対に外気温より冷たい風は出せないということ。
そこでエアコンは「空気を圧縮したり元に戻したり」することでその問題を解決しています。
というのも、実は空気には「圧縮すると温度が高くなる」という性質があるから。
温度が高くなる理由は「空気の中に広がっていた熱がギュッと1箇所に固められるから」だと思ってください。
エアコンはその性質を利用して、室温の空気を室外機で圧縮することで「外気より熱い状態(熱を外気に渡せる状態)」にします。
そして無事に熱を外気に渡したら今度は「圧縮を解除」します。
すると空気は「外気に渡した分の熱」を失った状態で元に戻るので、初めより低い温度にまで冷えるのです。
つまり、「圧縮した空気」より室外機の周りの気温が高くなるとエアコンは全く空気を冷やせなくなり、逆に室外機の温度が低いとたくさん熱を捨てて効率よく空気を冷やすことができます。
※実際は部屋の空気を直接圧縮しているのではなく、もう少し効率の良い「冷媒」と呼ばれる気体で同じことをしています。
1-3 建物の温度と蓄熱

熱帯夜の理由としてよく挙げられるのが建物自体の蓄熱です。
蓄熱というのは建物の外壁や屋根、ベランダなどが太陽の光から受け取った熱を「焼け石」のように溜め込んでしまうこと。
熱を蓄えたコンクリートの建物は日が沈んでもなかなか冷めず、夜遅くまでじわじわと熱を放出してしまいます。
とくに、最上階と角部屋は建物の外壁と触れる面が多いのでこの影響が大きいと言われています。

しかし、実は外壁や天井には「断熱」や「遮熱(しゃねつ)」など熱を通さないための工夫がされているので、外壁の熱がそのまま筒抜けで部屋に入ってくるようなことはありません。
蓄熱は「街の夜の気温」を上げてしまうもので室内にも緩やかに侵入してきますが、「エアコンが効かないほどの暑さ」の原因は他の部分にある可能性が高いと言えるでしょう。
※ただし日当たりの良い角部屋や最上階はベランダの蓄熱も起こりやすく、普通の部屋に比べると窓から入ってくる放射熱がとても多くなる可能性があります。
2.窓は熱の出入り口

閉め切った部屋への熱の出入りは、大部分が「窓から」だと言われています。
というのも、窓ガラスは「薄く、大きく、透明」な上、断熱も遮熱もされていないから。
例えば、
①ガラスは石に似ていて温度が変わりにくい性質を持っていますが、断熱された壁と比べるとかなりよく熱を伝えます。これを熱伝導と言います。
②体感温度と室温を大きく上げてしまう「放射熱(赤外線)」は窓ガラスではほとんど防ぐことができません。
③窓を通ってくる陽の光など「目に見える光」にも室温を上げる効果があります。
④換気扇を回したり窓を開閉すると部屋の空気が大きく入れ替わります。
さて、これだけ暑くなる要素ばかり並んでいると嫌になってしまいますが、順番に対策していきましょう。
3.効果的な部屋の暑さ対策
それではいよいよ具体的な対策を見ていきます。
今回の目標はここまでのお話から
①ベランダの温度を下げて熱放射を減らす
②室外機の温度をなるべく低く保つ
③窓からの放射熱(=輻射熱)の侵入を防ぐ
④窓自体から伝わる熱の侵入を防ぐ
の4つです。
手軽で実際試してみてほしいものから順にお話ししますね。
3-1 打ち水

打ち水とは、ベランダや家の周りに水を撒いて辺りの気温を下げること。
日本では夏の風物詩にもなっているような古くからの習慣ですが、実際打ち水には大きな効果があります。
①打ち水の仕組みと効果

打ち水をすると、まずは低い温度の水がかかることで地面の温度が下がります。
そして水は蒸発するときに「気化熱」と呼ばれる熱を周りから奪う性質をもっているので、撒いた水は蒸発することでさらに地面や周囲の温度を下げてくれます。
つまり、水が残っている間はあたりの地面や空気を冷やし続けてくれるのです。
また、気温は「太陽で温まった地面の温度が空気に伝わる」ことで上がっていくので、打ち水で地面の温度が下がると近くの気温は上がりにくくなります。
室外機の周りを冷やしたり熱放射を減らしたりすることにもつながるので、もし窓を閉めてエアコンをつけている場合でもぜひ試してみてください。
※川沿いや森林の風が夏でも涼しいのは気化熱によって常に冷やされていることが大きな理由の1つ。逆に都会が暑くなりやすい原因としてアスファルトやコンクリートがほとんど水分を含まないことが挙げられます。
②打ち水をする時間帯

打ち水をするタイミングは1日家にいる日であれば「朝、正午、夕方」の3度、お仕事やお出かけの日には「朝、夕(帰宅後)」に撒くことをおすすめします。
朝打ち水をすることで午前中に地面が温まるのを防ぎ、一番地面が熱くなる正午に少しでも熱を冷まし、もう温度の上がらなくなる夕方に日中溜まった熱を逃すイメージです。
コンクリートのベランダは地面のような「吸水性や保水性」がないので、深夜でも寝苦しい日や、洗濯物の出し入れのついでなど、気が向いたときこまめに水を撒いてあげると良いでしょう。
③効果を高める一工夫

ベランダや舗装道路に打ち水をすると、水のほとんどは地面をあまり冷やさないうちに排水溝へと流れていってしまいます。
そのため、打ち水をするときは「5分くらいかけて数回撒く」のを1セットにすると大きく効果が高まります。
例えば筆者の家のベランダは1回目の打ち水は5分もすればほとんど乾いてしまいますが、2回目、3回目は分かりやすく乾くのが遅くなっていきます。
※エアコンをつけている時はその5分で換気や掃除をすると、部屋の湿気が追い出されて体感温度が下がりやすくなるのでおすすめです。
また、色々調べていくと地面のように水を吸って保持してくれる「保水タイル」なんてものも開発されているそうで、
「ベランダに園芸用のハイドロボールをうまく配置すれば清潔に保水できるのでは、、」なんて考えていた筆者には画期的なものでした。
お値段安くはないのですが、個人的にぜひ使ってみたい商品です。
3-2 サンシェード(日除け)

サンシェードとは、窓際に設置する日除けシートのこと。
日本で昔から使われている「すだれ」や「よしず」と同じ役割で、ベランダと部屋をまとめて日陰にすることができる優れものです。
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①サンシェードの使い方

サンシェードは一般的に窓枠の上とベランダの手すり(もしくは地面)などに紐や金具で固定して使います。
部屋とベランダ、場合によっては室外機に当たる日光もまとめて和らげてくれるので、その効果はとても大きいです。
専用の金具を使えば建物に穴を開けたりすることなく取り付けることができるので、賃貸でも使うことができます。
筆者は去年の夏に1000円台のものをダメもとで購入したのですが、設置前と比べると日中の家が驚くほど過ごしやすくなり、明るいブラインド(目隠し)としても便利なのでとても気に入っています。
②弱点(デメリット)

設置すれば一夏の暑さを和らげてくれるサンシェードですが、少し不便な点もあります。
まず、一つは洗濯物にあたる日光の量が減ってしまうこと。
サンシェード越しの光と風でも夏場の洗濯物は全く問題なく乾きますが、「しっかり太陽の光をあてて干したい!」という方にとってはやはり大きなデメリットになってしまいます。
そして、もう一つは台風などの強風に弱いということ。
サンシェードはまるで船の帆のようにベランダに広げて設置するものなので、強い風にさらされると留め金のまわりが破れてしまったり、ベランダの手すりや窓枠に大きな負荷をかけてしまう可能性があります。
なので台風が直撃しそうな時には一度サンシェードを外して室内に取り込んだり、うまくベランダの隅に寄せて風を受けないように固定しましょう。
③すだれ/よしず/グリーンカーテン
日除けの道具には、日本にも昔から使われてきたすだれやよしずなどがあります。
また、伝統とは少し違いますが「グリーンカーテン」といってヘチマなどのツル植物を育てて作られる「緑の日除け」も有名ですね。
どれも見た目に趣があり、とくにグリーンカーテンは植物の持つ水分が蒸発することで風を冷やしてくれるという「天然の冷風扇」のような効果まである優れものです。
ただ、すだれとよしずは窓を覆うような大きなものは収納がやや難しく、捨てる時にサイズによる分別も考える必要があるので、とくにこだわりがなければ筆者からは扱いやすいサンシェードをおすすめします。
グリーンカーテンは他にない魅力も多い方法なので、少し準備に時間が割けそうで、園芸や虫予防などが好き、もしくは気にならないという方はぜひまた調べてみてください。
④室外機の日除け

日中にエアコンを使う場合、室外機が日陰にあるかどうかによって冷房の効率はかなり変わってきます。
設置したサンシェードで運よく室外機も影にできると良いのですが、どうしても日があたってしまう時は室外機の上にすのこなどを重ねて置いて簡易的な日除けにしてもいいかもしれません。
※木の板でもいいのですが、室外機との間に隙間を作って風が通ることが大切です。また、黒色のものは太陽の熱をよく吸収してしまうので避けましょう。
リンクは別の調べ物で偶然見つけたアルミ製の反射シート。DIYがお好きな方ならプラダン、養生テープ、接着剤、アルミホイルが家に余っていれば簡単に作れそうです。
3-3 窓ガラス用フィルムシート

ガラスフィルムとは、窓ガラスに貼るために作られたシート状のフィルムのこと。
すりガラス風、透明、マジックミラー風など色々な見た目のものがあり、窓に貼り付けるだけで室内に入ってくる光(放射熱)の量を調節することができます。
ブラインド(目隠し)として有名なものですが、きちんと遮熱効果のあるものも販売されているのでそちらを探してみましょう。
※なぜ筆者が実際に貼り付けていないかと言えば、家にあるのがずっと昔ブラインド用に買ったフィルムで光をよく通し、サンシェードによって役目を失ってしまったからです。リンクはきちんと遮熱タイプのものです。
①ガラスフィルムの貼り方

ガラスフィルムは多くの場合「水と霧吹き」を使って窓ガラスに貼り付けます。
シールやノリでくっつけるのではなく、水の力を借りて吸盤のように「ピッタリ吸いつける」イメージです。
ほとんどの場合は「貼り付け方」が商品購入ページか同封の説明書に書かれていると思うので、それに従うようにしましょう。
貼り付ける時には窓ガラスを綺麗に拭いて満遍なく濡らすと失敗しにくく、数滴の中性洗剤を混ぜる指示がされているのは水が薄く広がりやすいようにするためです。
※写真に写っている食器用洗剤のJOYは昔と今で成分が違い、古いものは弱アルカリ性、新しいものは中性になります。
②アルミホイル

遮熱の仕組みを追求していくと、窓に専用のフィルムではなくアルミホイルを貼るという方法に行き着くことがあります。
それはアルミホイルが安くて、赤外線を含むほとんど全ての光を跳ね返す性質を持っているから。
実際に窓の内側にアルミホイルを貼って実験してみたところ、体感的にもベランダからの放射熱をかなり軽減できるようです。
ただし、すべての窓を覆ってしまうと部屋は真っ暗になり、スマートフォンなどの電波も跳ね返されてうまく通信ができなくなる可能性があるので要注意です。
また、アルミホイルは熱伝導がとても良い素材なので、室内に貼り付けると「窓自体の熱」を効率よく室内に渡してしまう性質があり、アルミを貼った部分に触れると通常の窓と比べてかなり熱を持っているように感じました。(細かい話は割愛しますが、そこから改めて放射熱も発生します)
つまりアルミホイルは熱の侵入経路として最大の「光と放射」をほとんどカットできる代わりに、窓の「熱伝導」は助けてしまうことになるのです。
全体で見ればアルミホイルでも暑さを軽減できますが、これらのことからマジックミラー系の遮熱フィルムや専用の遮熱シート(カーテンの一種、カーテンの項目で紹介)には完全に性能が劣るため、筆者からは一度そちらを検討してみることをおすすめします。
※アルミホイルを窓に貼ると比較的短期間でも跡が残って掃除が大変だったので、悪いことは言いません、やめておきましょう。
3-4 カーテン

多くの家で使用されているカーテンには、実は光と一緒に熱の出入りを防ぐ重要な役割があります。
ただしその遮熱・断熱の性能は商品や使い方によって変わってくるため、少しだけ改めて見ておきましょう。
①カーテンの断熱効果

カーテンの一番分かりやすい効果は外からの光や赤外線を遮って室内を陰にしてくれること。
そしてもう一つ、地味ですがとても大切なのが窓と部屋の間に「空気の層」を作ってくれることです。
空気はもともと「対流」と呼ばれる空気の流れがなければとても熱を伝えにくい性質を持っています。
カーテンと窓のせまい隙間に挟まった空気はなかなか動くことができず、部屋にもあまり入ってこられないので、カーテンをピッタリ閉めておくだけで窓の断熱効果を大きく補強することが出来るのです。
②断熱性を高める工夫

まず一番手軽で簡単なのはカーテン同士の間を洗濯バサミなどで軽く止めて、両端もなるべくピッタリと壁に触れるまで閉めること。
カーテンを隙間なく閉めることで対流によって部屋に入ってくる暖かい空気は減り、その断熱効果は大きく上昇します。
さらに、カーテンが床すれすれまで届いていて、遮光だけでなく遮熱にも効果のある素材で作られたものであればベストだと言えるでしょう。
とはいえカーテンそのものを買い替えるとなると少し話が大きくなってしまうので、床との隙間が大きい場合や熱が通り抜けてくる場合には、簡単に後付けできる「遮熱シート」などを使ってみるのもいいかもしれません。
③遮熱シート(カーテン)
遮熱シートというのは主に放射熱をカットするために作られたシートのこと。
アルミなどの素材が使われていて、赤外線や光の大部分をカットすることができます。
また、丈(たけ)も床にべたっと垂れるくらい長いものが多く、そのまま5cmくらいは垂らして使うことが推奨されています。
遮熱シートは今あるカーテンと一緒に取り付けられる場合が多く、窓にピッタリくっついているわけではないのでアルミホイルのように窓の熱を伝わりやすくしてしまう心配もありません。
部屋はかなり暗くなってしまうものの、開け閉めができて真夏の部屋を快適に過ごせると思えば、日中に照明をつけていてもお釣りが来るくらいです。
リンクは探した中では比較的安くて「アルミ素材」の明記があったもの。少しかわいい柄です。
4.エアコンなしで過ごす工夫
ここからはエアコンの冷房をなるべく使わずに夏を乗り切る方法についてのお話です。
夜遅くになっても気温が下がりにくい都市部で「エアコンなしでも魔法のように涼しく」は中々難しいものですが、それでも打ち水と組み合わせてなるべく効果の高い道具やその使い方について、いくつかご紹介しますね。
4-1 扇風機

まずは夏の友、説明の必要もないくらいの扇風機とサーキュレーターです。
人の体感温度はそよ風くらいの風があたるだけでもかなり下がるので、じっとしていて少し汗ばむような気温でも涼しさを感じることが出来ます。
換気のために使うのであれば窓の外に向けるのもいいのですが、快適に過ごすためには「弱くてもいいので自分に風が当たっていること」が大切です。
そのため基本的には打ち水をした後のベランダ近く、窓際から自分の方に向けて風を送るのが良いでしょう。
寝る時には体の少し上を風が通るようにしたりリズムモードや首振りモードで直風を避けると体に優しく、ずっと風を受け続けることによる負担を減らせます。
4-2 エアコンの送風機能

眠る時など、扇風機のまとまった風が気になってしまう時はエアコンの送風機能を使うのもおすすめです。
縦向きに首を振れるので、部屋全体の空気をしっかり循環させられるだけでなく、扇風機と比べるとかなり自然な風を感じることができます。
一般的な送風機能の電気代は、扇風機と同じか風量で考えると安いくらいで考えて良いでしょう。
4-3 冷風扇
冷風扇というのは、「気温以下」の涼しい風を出すことのできる扇風機のこと。
多くのものは水の気化熱を利用して風の温度を下げるもので、中には専用のアイスバッグを凍らせてセットできるようになっているものなども売られています。
冷風扇は「打ち水の効果を受けた風」を送り出し続けることができるので、一般的なイメージよりも涼しさを感じられるはずです。
自作氷ペット冷風扇

最近ではSNSなどで「自作の氷ペット冷風扇」を見かけることも増えました。
氷が溶け切るまでの時間制限があり結露の対策も必要ですが、ペットボトルや保冷剤を凍らせるだけで比較的簡単に作れるのでよければ寝る前などに試してみてください。
自作の場合は扇風機との距離や取り付け方、ペットボトルのサイズなどによって氷が溶けるまでの時間と風の冷たさが変わるので、好みの位置を探してみましょう。
※冷風扇の場合は、窓際よりも室内においた方が涼しさを感じられます。
4-4 涼感系の寝具

睡眠の質は体力に直接関係してくるので、汗や熱気を溜め込んでしまわないような、通気性がよくさらさらとした掛け布団やシーツなどもエアコンなしで過ごす場合はおすすめです。
ネットに入れれば洗濯機で丸洗いできるものも多く、ベタつく感じが少ないだけでもグッと寝付きやすく感じます。
布団の場合は下にすのこを敷いてみるのも効果的です。
4-5 蚊取り線香(アースノーマット)

暑さ自体とは関係ないのですが、どうしても紹介しておきたかったのがアースノーマットです。
春の終わりから夏にかけて窓を開ける機会が増えてくると、網戸があってもどうしてもコバエや蚊などが入り込んでくることがあります。
アースノーマットはいわゆる「ピレスロイド系」と言われる殺虫成分を含む電子的な蚊取り線香で、蚊によく効くのはもちろん、コバエなどの小さな虫にもかなり強力な忌避効果(きひこうか/嫌がって近寄らなくなること)があるようです。
初めは家に入り込んだ蚊をやっつけるために購入した筆者でしたが、1日に数回15分ほど焚いていると毎年見かけていた春先のコバエの侵入が驚くほど減ったことから、今では必須のアイテムになってしまいました。
通常使用では人や哺乳類への害はないとされていて、筆者は締め切って30分くらい使用すると少し喉の渇きを感じる程度です。
ちなみに蚊以外のコバエなどを完全に落とすことは難しく、ゴキブリはまだ出たことがないのですがおそらくほんの少し嫌がる程度です。
ただ、侵入してこなければ殺虫の必要もないため、虫に悩む全ての方に心からおすすめめします。
※ピレスロイドは大型の昆虫や魚類にも作用するのでペットを飼われている方は十分にご注意ください。
※コバエはベランダの側溝に溜まったわずかな土や植木鉢の底などで繁殖する場合があるため、疑わしい場合は一度大掃除をしてみましょう。
※ゴキブリにお悩みの方は「ゴキブリ 侵入 防ぐ」などで調べると有効な策がたくさん見つかると思います。
リンクは標準的なタイプですが、アースノーマットには黒豚の見た目のものや木目のあるおしゃれな本体のものもあります。
4-6 暑さに負けない体づくり
「暑さに負けない」というのは「日本人たるもの最後は根性論」という意味ではなく、夏の激しい温度変化に対応するには健康に気を遣うことも大切という意味です。
決して詳しいわけではないのですが、筆者が試してみて良かったと思っているのは、暑くなる前に(半身浴などでもいいので)しっかり汗をかくこと、きゅうりやナス、トマトなどの夏野菜を食べること、水分と塩分をこまめに取ること、そして出来るのであればたまに太陽の下で散歩や運動をすること。
とはいえ、「暑さに負けないためにしっかり体を休めたい。けどそれには暑すぎる。」という方も少なくないと思います。
とくにエアコンのついていない家にお住まいの方は、とにかく打ち水などで少しでも温度を下げながら熱中症対策と健康のことを最優先にしてお過ごしください。
とても長くなってしまいましたが、今日は最後までお読みいただきありがとうございました。