彫刻刀とカッターで板の真ん中を切る挑戦 |ノコギリなし

彫刻刀で板を切る様子その他 |著作権・DIYなど

板の真ん中だけを自由に切りたい。

これってDIYや工作の好きな人なら誰もがぶつかったことのある壁ですよね。

今回は趣味で制作した自作防音室を改良するため、自宅にあった彫刻刀とカッターナイフで板を切ることに挑戦したお話です。

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1.今回の目的

ノコギリで板の真ん中を切れない様子

今回取り組んだのは「ノコギリや電動工具を使わない板の切り抜き」です。

正確には「マンション住まいのためうるさい電動工具の使用に抵抗があり、手持ちのノコギリも切り抜きには不向きなため家にあるもので代替案を模索した」際のお話になります。

最終的には自作防音室の壁に丸い穴を開けて換気扇を取り付けることを目標に、今回はその練習として頑丈な12mm合板のカットを試みます。

ドリルと彫刻刀で強引に板を切り抜いた円形穴

実は田村は以前にもロフト用換気扇を自作する際に「ドリルを使った板の切り抜き」に挑戦しているのですが、これがとても大変で非効率な方法でした。

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そんなわけで今回は手作業なりにもう少し上手く板をカットする方法を探していきます。

2.板を切る方法

まず初めにですが、基本的な「板を切る手段」について確認しておきましょう。

ある程度目処の立っている方もよければ参考までに見てみてください。

2-1 ホームセンター

ホームセンターの木材カット風景

素人DIYの味方、ホームセンター。実は1カット15~45円程度で大型加工機を使って木材のカットを受け付けてくれるところが多いです。店での購入品のみ、直線カットのみ、大きさと厚みの限界有りなどちょっとした制限はありますが、自宅での騒音が気になる場合などはとくにお勧めします。

2-2 ノコギリ

ノコギリで木を切る様子

こちらは皆さんご存知の工具ですね。通常の形状のものは直線のカットに使われ、真ん中のみのカットなどには不向きです。全工程を終えてから知ったのですが曲線カットやくり抜きに適した細い形状の手ノコもあるようなので、今からという方はそちらに頼るのもいいですね。

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※直径の小さな円形には不向きのようです。

2-3 ジグソー・丸ノコ

電動ノコギリの一種。ジグソーは直線のカットはもちろん、ドリルと併用すれば板の途中から丸や四角などを繰り抜いたり、専用の付属品で綺麗な円形を切り出したりなど一風変わった加工にも対応できるようです。丸ノコはもう少しごつい見た目で、直線カットに適しています。

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2-4 ホールソー・自在錐

それぞれ円形を切り抜くための専用電動工具。ホールソーはあらかじめ決まった直径の円形の刃を使って木材をカットするため、カット幅の微調整は苦手とします。自在錐(じざいきり)は自分で自由に直径を調整できる仕組みなので汎用性は高いです。

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※工具系の通販にありがちですが、どの商品もレビューの評価が結構バラバラです。いくつかのメーカーを見て少しレビューも吟味してみてください。

3.彫刻刀とカッターで板を切る方法

ここからは手動工具で板を切る仕組みと今回の使用工具について見ていきます。

3-1 手動の刃で板を切る仕組み

ハサミで紙を切る様子

刃が木材を切る仕組みには「紙のようにスパッと繊維を断つ方法」と「繊維を細い溝状に削り取っていく方法」の2つがあります。

ノコギリが木を切る仕組み

後者は一見難しく聞こえますが、簡単に言えば「万能ノコギリが木を切る仕組み」がこれに当たります。

万能(横挽)系ノコギリの刃をよく見ると狭い間隔で2列の刃があり、その傾斜面が向かい合うように作られています。
そして刃と刃の間に細く残る部分をずらっと並んだ刃がバラバラの木屑に変えることで木材を切り進めていくんですね。

今回はこの仕組みにならって狭い間隔で二重のカットラインを引き、刃の通る向きを変えながらカット作業をしていきます。

3-2 今回の使用工具

切り出し用の彫刻刀とカッター

今回使用したのは自宅にあったカッターと彫刻刀です。いずれも安価なセットのもので、彫刻刀は「切り出し刃」と呼ばれる形状のものを使います。

4.実際のカット作業

上の動画はクリックするまで読み込まれません。データ容量を気にしなくても良い環境でご覧ください。YouTubeサイトでご覧になられる方はこちらから。

以下では写真と一緒に検証の様子をご紹介していきますね。

4-1 カッター(通常使用)

カッターで板を切る様子

まずは板の繊維方向に沿ってカッターでの素直なカットを試みます。何度もなぞるように切っていくと4-5mmの厚さまではすんなり切れるのですが、それ以上はほとんど刃が進みません。カッターはあまり力を込めた切り方には向いていないので、ここが限界のようです。

4-2 彫刻刀(通常使用)

彫刻刀で板を切る様子

次は先ほどと同じく繊維方向に沿って彫刻刀でのカットを試します。引いたり押したりしながら真っ直ぐ彫り進めていきますが、こちらも4-5mmで刃が進まなくなってしまいました。

まだ力で切り込めそうでしたが、この先深く彫るほどに刃の厚みが抵抗になっていくのは明白なので、素直にギブアップです。(無理をすると板に刃が挟まって抜けたりするので要注意。※経験談)

4-3 カッター(ノコギリ式)

カッターで切れる板の厚みの限界

次はいよいよ2本のカットラインを引いてノコギリの刃の仕組みを模倣してみます。

二重線の内側に刃が向くようにしながら数回ごとに切るラインと向きを変えていくのですが、カッターの場合は間の木片が木屑になることなくそのままそっくり外れました。

幅にして1mm程度の溝ができているので刃に摩擦はありませんが、やはり4-5mmを境に切り進めなくなってしまいます。どうやら層構造になっている合板(集成材)は2層目で木目が変わってしまうため、カッターのみでくり抜くのはかなり厳しいようです。

4-4 彫刻刀(ノコギリ式)

彫刻刀をノコギリのように使って板を切り抜く様子

最後は本命のノコギリ式で使う彫刻刀です。彫った溝が単なるv字溝に変わってしまわないように刃の傾きを外側や内側に変えながら進めていくと、溝の中身が削れてノコギリとよく似た木屑が出始めます。集成材の中間層はやはり切りにくかったですが、この方法では力任せになることなく最後まで溝を貫通させることができました。

4-5 切り抜いた板

彫刻刀で切り抜いた板の穴

4つの試行錯誤を終えた板の様子です。彫刻刀で彫った切れ目はスッキリ綺麗な仕上がりとは言えませんが、趣味レベルのDIYとしては満足な精度です。5cmの溝を切るためにかかった時間は約20分でした。

5.まとめ

今回は手動の工具での板の切り抜きに挑戦してきました。

カッターでのカットは半ばダメ元の検証でしたが、繊維方向に沿って切るのであれば単板なら6mm程度の厚さまでは楽に切れそうです。柔らかい木のカットには案外ノコギリよりも便利かもしれません。
ただし手を滑らせて指を切ってしまう可能性はあるので、作業の際はお気をつけて。

今回の挑戦は作業音もなく個人的に全体を通して楽しめましたが、もし皆さんが電動工具を用意して使える環境なのであれば素直にそちらをおすすめします。やはり楽なものは楽ですからね。

本番のカットは完成済み防音室の壁面、それも円形の切り抜きです。今回のようにすんなりとはいかないかもしれませんが、作業の様子などはまた記事にもする予定ですので、良ければお楽しみに。

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