長持ちで有名なエリクサー弦だけど実際にどれくらい長持ちするの?
コーティング弦に興味はあってもその価格と不安から中々手が出せないでいる方は多いと思います。
今回は実際の音を録音した動画も併せながら、錆びと音色に対するエリクサーの寿命について考えていきましょう。
※この記事は一部エリクサー(Elixir)弦の特徴とポリ・ナノ・オプティウェブの違いに掲載していた内容の修正・加筆版になります。エリクサー弦の仕組みや種類などについては良ければ元の記事をご覧ください。
上の動画はクリックするまで読み込まれません。新品と10ヶ月使用の音色を比較した2分ほどの動画ですので、データ容量を気にしなくても良い環境でご覧ください。YouTubeサイトで見られる方はこちらから。
1.エリクサーの寿命と弦交換の時期
弦の寿命は、練習量や季節、使う人の基準によってかなり変わるもの。
田村はかれこれ5年以上エリクサーの弦を使っていますが、その弦交換頻度は生活や環境によって少しずつ変わってきました。
今回は弦の寿命を判断する基準の中でも、とくに「錆び」と「音色」に注目しながらエリクサー弦の寿命について見ていきましょう。
※田村が一般的な弦の寿命や交換時期を判断している方法は「弦の寿命と交換時期を判断するポイントとは」という記事にまとめてありますので良ければ合わせてどうぞ。
2.エリクサーの総合的な寿命
まずは全体を見て判断したエリクサーの寿命について考えてみます。
2-1 毎日たくさん弾いた時の寿命
例えば毎日3時間以上ギターを弾いた場合、エリクサー弦の寿命は
・夏場…1ヶ月弱〜1ヶ月半
・その他…2〜3ヶ月
くらいです。
弦の値段を考えると少し短いと感じるかもしれませんが、これはとにかく毎日何時間もギターを弾き、「錆び」についてはかなり厳しくチェックして弦交換する場合だと思って下さい。
また、夏の練習では手汗の有無などによって弦の寿命が大きく変わります。当時はエアコンもあまりつけずに3時間でも6時間でも練習をしていたので、冷房をつける場合はプラス1ヶ月くらいは長くみて大丈夫です。
2-2 週に10時間も弾かない時の寿命
1日に1時間または、休日などにまとめてギターを弾く場合は
・夏場…3〜5ヶ月
・その他…3〜10ヶ月
くらいです。
この場合はシーズンの変わり目(夏の前後など)に弦を交換するイメージが良いと思います。
ここ最近の田村の演奏頻度と弦交換頻度がまさにこれくらいで、特に人前で弾くことなどがなければ弦交換は年に2回程度です。
また、弾かずに置いておく時間が長くなる場合、演奏後の手入れをきちんとすることで大幅に弦の寿命が変わるので気を付けて下さいね。
※関連
ギターの弦の錆びによる影響とその防止対策
ギター保管で弦を緩めるメリットとデメリット
いずれも弦を長持ちさせるために試行錯誤した方法をまとめた記事ですので、良ければ合わせてご覧ください。
3.エリクサーはどれくらいで錆びる?
エリクサーの錆びに対する耐性はかなり優秀です。
演奏前の手洗いや演奏後の軽い掃除などを習慣にしていれば、夏場で2ヶ月弱は持つでしょう。
練習量が一日1時間程度でエアコンも使えるのであれば、半年以上は持つと思って大丈夫です。
冒頭で紹介した記事でも書いていますが、「アンチラスト」と呼ばれる仕組みを持つエリクサーのプレーン弦は他社コーティング弦と比べものにならないほど錆びに強いです。
当時の田村のように1弦2弦の赤錆に悩まされている方はぜひ、1度で良いので試してみて下さい。
エリクサーの錆びはコーティングのないプレーン弦や、ピッキングで傷んだコーティングのごく狭い範囲からゆっくりと進んでいくイメージです。
4.エリクサーの音色はどれくらい長持ち?
一定の基準で話すのがとても難しいのが音色の話です。
記事内でもなるべく客観的な視点で話していきますが、良ければ記事上の動画からぜひご自身の耳でも音の違いを確かめてみて下さい。
※動画の録音にはコンデンサーマイクを使い、使用エフェクトはLimiter(音量調整)のみです。
ここからは弦は常時張りっぱなし、練習は1日1時間、過度なチョーキングや変則チューニングはなしでの使用感について書いていきますね。
張り替えたて
一番ジャキジャキ、きらきらとした音が出る時期。
演奏へのレスポンスがとても早く、弦の元気が良すぎて少し扱いづらくもあります。張り替えて間もないエリクサーはテンションも高く音もギラついていて、一般的な弦に比べるとやや暴れ馬のような印象です。(音自体は綺麗です。)
1ヶ月
音色が全体的に落ち着いてきて、エリクサーで最も好きな音の出る時期です。
通常の弦であればそろそろ錆びやテンション感が心配になってくる頃ですが、エリクサーの場合、感覚的には3~4週間目がやっと始まりのように感じます。
3ヶ月
テンションが明らかに下がり、音色がもう一段階落ち着いてくる時期です。
1ヶ月での程よい変化とは違い、少し高音成分が魅力を失うような音の劣化が見られます。通常の弦であればそろそろ限界も感じ始める頃ですが、まだ十分にギターらしい音が出せるでしょう。
6ヶ月/半年
一つの節目ですね。これくらいの期間になると、日頃の演奏頻度や保管状況によって弦の状態にもかなり差が出てくるかと思います。
毎日弾いているとわかりにくいですが、弦のレスポンスや音色は少しずつ確実に悪くなっているので、そろそろ張り替えを考えても良い頃です。通常の弦であればテンションが如実に落ちて金属らしい響きがなくなり、段々とゴムっぽい音色になってきます。
10ヶ月
それなりに気を使って手入れをしていても、僅かな錆びが浮かんできたり、コーティングが傷んできたりする頃です。
6ヶ月以降の音色の変化は本当に穏やかなので、どこかで弦交換のきっかけを作らないと錆びやコーティングの方が先に音を上げ始めます。まだ倍音やギターらしさは保っている状態だと思いますが、高い音の響きやキラキラした雰囲気はもうほとんどなくなっているでしょう。
12ヶ月/1年以上
「ギターの音色を楽しむ」という意味ではそろそろ張り替えをおすすめします。
田村の場合ほとんど弾くことのないスペアのギターは「弦を緩めた状態で」1年以上エリクサーを張ったままにしていますが、通常の使用ではそろそろ音が物足りなくなってきます。1年もたっていれば、弦を張り替えて初めて気が付く音の変化や、自身の上達もたくさんあるでしょう。まだギターとしては弾ける状態かもしれませんが、もし良かったら一度弦を交換してみて下さい。
まとめ
今回はエリクサー弦の寿命に焦点を当ててお話をしてきました。
この手の話は調べれば調べるほどいろんなことを言う人に出会うと思いますが、つまるところ弦の寿命はどこまでいっても演奏の環境と人それぞれの好みです。なのでこの記事の内容もあくまで「そう感じた人がいた」くらいにとらえて下さい。
ライブや何かイベントなどに合わせてエリクサー弦を数週間で張り替える場面もあるかもしれませんし、逆に1年使ったエリクサー弦で人前に立つこともあるかもしれません。初心者の頃は弦が切れて泣く泣く弦を交換することも多いでしょう。
弦が影響するのはあくまで数あるギターの要素のうちのほんの一部なので、初めは節約、音色、錆びにくさ、なんでも良いのでどれか1つ「これだ」と思った基準に従ってみることをおすすめします。
普段気楽にのんびり楽しむギターであれば、エリクサーの弦は半年でも1年でも十分良い状態で弾ける弦だと思いますよ。
ただ、錆びはギターのフレットに確実にダメージを与えるものですので、錆びた弦を放置することだけはどうかしないで下さいね。