換気扇のフィルターって便利だけれど、もしかするとものすごく換気能力を低下させているのでは?
今まで当たり前のように換気扇フィルターを使っていた田村ですが、ある日を境にそんな疑問が頭をよぎるようになりました。
今回はそんなモヤモヤした思いを晴らすべく、実際に2つのメーカーのフィルターについて換気扇の駆動音と換気速度の比較検証を行なったときのお話です。
この記事の検証内容は動画にもなっていますので、実際の音や動きについては良ければそちらをご覧ください。
※上の動画はクリックするまで読み込まれません。データ容量などを気にしなくても良い環境でご覧ください。YouTubeサイトで見られる方はこちらから。
1.換気扇フィルターへの疑問

さっと貼り付けるだけで換気扇本体にホコリや汚れが吸着するのを防いでくれる換気扇フィルター、便利ですよね。
田村自身お風呂や台所の換気扇にも使用しながら何の不便もなく過ごしていたんですが、そんな状況が変わったきっかけは7月にロフト用の室内換気扇を自作した事でした。
※暑い夏のロフトに冷房の風を送るお話|換気ダクト製作
せっかく作ったものなので少しでも良い状態をキープしたいと換気扇フィルターを貼り付けてみたところ、2つのことに気がつきました。
①明らかに音がうるさくなった

まず1つ目がこちら、駆動音の変化です。
ロフト用に用意した換気扇は回っていることが分かりにくいくらい静かなものだったのですが、いざフィルターを貼ってロフトで眠りにつこうとすると驚くほど換気扇の音が目立って聞こえてきます。
初めは部屋の音響や位置関係のせいかもしれないと思ったのですが、試しにフィルターを外してみたところすぐに換気扇の音は静かに戻りました。
②送風量が大きく落ちた

2つ目がこちら、換気効率の大幅な低下です。
1階とロフトをダクトで繋ぐことで効率よく風を送れていたはずが、ダクトから出る風が急に弱々しくなってしまいました。その風量はサーキュレータで換気していたころよりも弱いくらいで、これでは何のために換気ダクトを作ったのか分かりません。
そこで今回行った換気扇フィルターについての検証を決意します。
2.今回の検証内容
今回検証した内容は大きく分けて4つです。
①どれくらい音に変化があるのか
②どれくらい風量に変化があるのか
③フィルターの良し悪しによって変化があるか
④他の換気扇は大丈夫なのか
検証前に使っていたのはダイソー(100円均一)で売られていたフィルターだけだったので、フィルターとの相性が悪かった可能性も0ではありません。また、もし全ての換気扇に同じような影響があるのであれば今後お風呂場や台所で使っているフィルターも見直していく必要があります。
2-1 使用した換気扇フィルター

今回の検証で使用した換気扇フィルターはダイソーで売られている30×30cm(3枚入り)110円のものと、新たにホームセンターで購入した30×30cm(3枚入り)330円のもの。
ホームセンターで買ってきたのは東洋アルミというメーカーの商品で、ダイソーのフィルターに比べると少し厚手でしっかりした質感です。
2-2 調べた換気扇

今回調べた換気扇はロフト自作の際に購入した17×18cmの小型換気扇(FY-08PD9/1.9W)と、賃貸のお風呂場に備え付けられていた32×32cmの中型換気扇(VD-15ZC10/15.5W)の2つ。
お風呂場の換気扇はロフトで使用したものと比べてパワーが7倍、吸気口の面積が3倍以上あるので、フィルターの影響も小さいことを願うばかりです。
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3.換気扇フィルターと駆動音の検証

まずはハンディレコーダーと騒音計を使って、どのくらい換気扇の駆動音が変わったのかを客観的に調べてみます。
3-1 小型換気扇の駆動音

フィルターなしの場合に比べて、フィルターをつけての駆動音(dB)が明らかに大きくなっていますね。録音した音声からもはっきりとした違いが感じ取れます。
ダイソーと東洋アルミでは東洋アルミ製フィルターの方が数値が小さいですが、その差は1dBで全体の2%ほど。今回は非常にざっくりとした測定なのでこのレベルの差は「同じ」と判断します。ただし録音音声には音色の違いがあるので通気性の良し悪しはありそうです。
3-2 中型換気扇の駆動音

先ほどと違って、フィルターの有無によってほとんど測定値(dB)の差がありません。フィルター2枚の差も「ほぼ同じ」と言えるレベルです。
録音ではフィルターをつける前後で音色に変化が見られるので、換気扇が新品で静かな時に調べれば多少の音量増加はあるかもしれません。とは言え、換気扇のサイズとパワーが大きいほどフィルターから受ける影響が小さくなるのは間違いなさそうです。
4.換気扇フィルターと換気速度の検証

次は最も重要な換気扇の換気速度(風量)を調べていきます。
計測は稚拙な方法ですが排気口に45Lのゴミ袋を取り付け、袋が膨らむまでの時間を測ることで行いました。
4-1 小型換気扇の換気速度

フィルターの有無によって換気時間にはなんと1.6~1.8倍もの差が開きました。
つまり送風量がそのまま2倍弱変わるということです。
一回切りの計測では不十分ですが東洋アルミとダイソーにも10%ほどの違いが出たことから、通気性能はダイソーの方がやや優れているのかもしれません。
とは言っても、換気効率が半分にまで落ちてしまうのであればフィルターの使用そのものがあまり現実的ではないですね。換気扇の知識は浅いのですが、そもそも用途が異なるのかもしれません。
4-2 中型換気扇の換気速度

フィルターの有無による換気速度の差はほぼ全くありませんでした。
むしろ誤差のレベルでフィルターありの2組が早い結果となってしまったので、ゴミ袋の取り付け方や浴室ドアの開閉管理などが甘かった可能性があります。
本当はもっと容量の大きな袋で計測できると良かったのですが、少なくとも中型の換気扇ではフィルターによって大幅に換気能力が損なわれるということはなさそうです。少しホッとしました。
5.換気扇フィルターは使用すべき?
今回の計測を通して見えてきたことが3つあります。
①数ワットの小型換気扇にとってフィルターによる負荷はとても大きいこと。
②15~20Wの中型換気扇の場合フィルターによる性能損失はそれほど大きくないこと。
③フィルター2社に素人レベルで気になるほどの性能差はないこと。
今回の計測は全体的にラフでお世辞にもきちんとした検証とは呼べませんが、上記3点についてはある程度の信頼がおけそうです。
それを踏まえた上で、田村は今後小型の換気扇にはフィルターを使わないことにし、中型の換気扇にはしっかりとフィルターを使っていこうと思います。
もちろん皆さんが実際にフィルターを使うかどうかは必要な換気量などに応じて判断していただければ良いのですが、基本的に換気扇にとってのホコリや汚れは百害あって一理なしのもの。数%換気効率が落ちる程度で済むのであれば田村からは積極的にフィルターを使うことをおすすめします。
また、現在おまけとしてフィルター2社の集塵能力(ホコリや汚れの吸着力)も検証中です。結果が出るのに少し時間がかかるのでもしかすると記事を分けることになるかもしれませんが、またここにも追記しますのでよければお楽しみに。