2020年3月7日

鉄筋コンクリート賃貸の防音性 |実際の音漏れと部屋ごとの違い


鉄筋コンクリート(RC)は防音に強いって聞くけど、実際どれくらい静かなの?

これって賃貸探しで防音を大切にしたい人にとってはとても重要な問題ですよね。
ところが部屋の防音性というのは実際に住んでみないと分からないことも多いもの。

今回は田村の持っている防音についての知識を踏まえつつ、実際に鉄筋コンクリート造りの賃貸に住んで感じるRC構造の防音能力についてお話しします。


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1.鉄筋コンクリートと防音の関係

鉄筋コンクリート(RC)造りというのは建物の構造の1つ。

以前「防音賃貸の探し方 |音に強いマンション・アパートって?」でもご紹介した通り「鉄筋」と呼ばれる骨組みをコンクリートで覆うことで造られていて、防音性に優れた構造として広く知られています。

鉄筋コンクリート造りの建物が防音に強いとされる1番の理由は「壁がコンクリートで出来ているから」です。
コンクリートというのは音を跳ね返す力(遮音性)がとても高く、木造や鉄骨造りの石膏ボードの壁に比べてはるかに優れた防音能力をもちます。

ただし、コンクリートの床や壁だからといってお隣や上下階の生活音が全く聞こえなくなることはありません。
また鉄筋コンクリート造りのマンションでも石膏ボードの壁で仕切られた部屋もあることに注意が必要です。

2.コンクリートの防音能力



さて、本題の鉄筋コンクリートの防音性について話す前に少しだけ「コンクリート」の防音能力について触れておきましょう。

実は防音に強いと言われるコンクリートの壁や床にも「得意な防音」と「不得意な防音」があります。
これを知っているとこの先の話がグッと分かりやすくなりますので、少しだけお付き合いください。

2-1 コンクリートは空気音に強い



まずコンクリートの壁や床が最も得意なのは「空気音」を跳ね返すこと。

空気音というのは空気中を伝わる音のことで、簡単に言えば話し声やテレビの音などです。
コンクリートはこういった音をそっくりそのまま元の部屋に跳ね返すことで音漏れを防ぐ能力が非常に優れています。

2-2 コンクリートは固体音に弱い



次に、コンクリートが苦手なのが「固体音」を防音すること。

固体音というのは壁や床の中を振動として伝わる音のことで、例えば足音や重たい物を落としたときの音などのことです。
コンクリートや鉄筋は「振動を弱めずに遠くまで伝えやすい」という性質を持っていて、つまり足音なども弱めることなく周りに響かせてしまいます。

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遮音・吸音・制振 防音の世界では音を跳ね返すことを遮音(しゃおん)、音を吸収して弱めることを吸音、振動を弱めることを制振と呼びます。

どれか1つの要素だけが優れていても防音としては不十分で、多くの場合はいくつかの素材で役割分担をします。
今回のテーマであるコンクリートは「遮音」に特化した防音素材ですね。

3.鉄筋コンクリートの賃貸で聞こえる音

では、鉄筋コンクリート構造のマンションでは実際どんな音がどれくらい聞こえるのでしょうか。

賃貸マンションでよく見られる「厚さ10cm程度のコンクリート壁に直接壁紙を貼った部屋」(叩いても全く響かずコツコツという音がする)を例にしてみてみましょう。

3-1 お隣さんからの音



隣から聞こえる音はドアの音や足音などの固体音がメインで、空気音はあまり目立ちません。

まず、空気音はコンクリートの壁でほとんど遮音されます。
例えば話し声は男性の低い声が少し聞こえる程度。テレビの音や音楽などは普通の音量では聞こえず、掃除機の「ウィーン」という大きな吸い込み音すら微かなものです。

逆に聞こえやすいのは固体音。
足音などの音は上下階だけに響くと思われがちですが、コンクリートで床が繋がった構造の場合は案外横の部屋にも聞こえてしまうもの。
同じように、ドアなどを乱暴に開け閉めすればその振動音も壁を抜けてよく響いてしまいます。

隣に低い声でよく喋る男性が住んでいる場合、何を話しているかまでは分からなくても多少気になってしまう方もいるかもしれません。
また、隣の人がドタバタと音を立てて生活する人の場合は鉄筋コンクリートと言えども苦労することになるでしょう。

3-2 上下階の音

上下階での音の響き方は「上から下」と「下から上」でかなり違います。
順番に見ていきましょう。

①下の階から上の階



下の階からの生活音は基本的に固体音がメイン。全体的に音量は小さめですが寝ているときは空気音も聞こえることがあります。

まずは空気音ですが、元々のコンクリートでの跳ね返りやすさと音の向き(真上に向かって話すことはあまりないですよね)によって床を通り抜ける音はごくわずかです。
日中起きているときであればまず聞こえないでしょう。

そして固体音である足音やドアの開閉音はそれに比べるとやはり響きやすいです。
しかしほとんどの振動は床や壁から伝わってくるものなので、天井に届くまでに音は一回り小さくなっています。
なのでこちらも日中であれば気にならないことが多いでしょう。

ただ寝ているときに限っては「床に耳をつけて耳を澄ませている」状態に近いので、とくに布団の場合、話し声も含めて下の階の音が少し気になってしまうことはあるかもしれません。

②上の階から下の階



さて、鉄筋コンクリートのマンションで騒音として取り上げられやすいのが上の階からの生活音です。

下の階の場合と同じく、日常生活の中で上の階からテレビの音や話し声が聞こえることはまずありません。

しかし一方で聞こえやすいのは足音や物を落とした時の音。
こちらは床から天井を通して直接下の階に響くので、ほとんどそのままの大きさで音が伝わってしまうんですね。

最上階の場合は普段は静かなんですが、雨の日には雨音が聞こえる部屋が多いです。

3-3 水道・その他の音



最後は隣り近所から直接と言うより、マンション自体の設計によって聞こえてしまう音です。

例えばトイレを流した時に水が流れる音などは、同じ鉄筋コンクリートでも水道管の周りに防音設計がされているかによって大きな差が生まれます。
防音対策がされていればほとんど気になることはありませんし、逆にお隣さんがトイレの水を流すたびにゴーッという音が響いてくるマンションもあるので注意が必要です。

また、エレベーターのすぐ横の部屋などはエレベーターの駆動音(モーターの音)などが聞こえる可能性があることも覚えておきましょう。
どちらも内見だけでの判断がかなり難しい部分なので、口コミサイトでの確認などが有力です。

特に部屋が横一列に並んでいて壁の厚さが10cm程度の場合、程度の差こそあっても水道の音は聞こえる場合が多いです。

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窓の外/街の音 窓の外から聞こえてくる街の音というのは、窓の厚み、冊子の建て付け、部屋の階数、道路からの距離などによって決まります。

なのでこれは建物が鉄筋コンクリート造りかどうかにはあまり関係がなく、大通りに面していれば車の音などは聞こえますし、閑静な住宅街に面していればとても静かです。
もちろん、部屋の階数が高いほど音は静かになっていきます。

逆に、学校のチャイムや消防車の音、選挙カーの音、工事の音などの騒音は例え10階くらいの部屋であってもはっきり聞こえてしまうものなので、ある程度の諦めは必要でしょう。

4.鉄筋コンクリートの部屋同士の違い

さて、鉄筋コンクリート造りと言っても結構色々な生活音が聞こえることにがっかりした人もいるかもしれませんね。

田村自身も昔は「鉄筋コンクリートなら普通の音なんて聞こえないのでは?」と思っていました。
しかし残念ながら鉄筋コンクリートも万能ではありませんし、中には鉄骨造りと変わらない防音性の部屋まであるのです。

もちろん、無音とまではいかなくてもとても静かな鉄筋コンクリートの部屋だって確かに存在します。

では、その違いは一体どこから生まれるのでしょうか。
ここからは鉄筋コンクリートの防音性を左右するいくつかの要素を見ていきましょう。

4-1 コンクリートの厚さ



まず最もシンプルで防音能力に影響するのが壁に使われるコンクリートの厚さです。

実は最初に紹介した「厚さ10cm程度のコンクリート壁」というのは法律で最低限の厚みとして定められた値で作られた物件を想定して書いたもの。
実際に賃貸物件でとても多いパターンの部屋には違いないのですが、少し値段の高い賃貸や分譲マンションでは18〜20cm程度の厚さをもつコンクリートの壁も決して珍しくありません。

防音(遮音)というのは単純に厚みが倍になれば効果も倍になるというわけではないのですが、それでも厚みが増せば音を跳ね返す効果はかなり高くなります。
厚さ20cmの場合、話し声などはよほどの大声でなければ全く気にならないでしょう。

4-2 吸音(制振)の有無



とくに鉄筋コンクリート造りの防音を考える上でとても大切になるのが吸音(音を吸収して弱めること)です。

ここまでも見てきた通り、コンクリートというのは空気音を反射する「遮音」の能力にはとても優れた材質です。
ところが、足音などのように一度振動として伝わった音は逆にしっかりとそのままの音量で遠くまで響かせてしまうという弱点を持っています。

なので防音のためには足音がコンクリートまで伝わらないような工夫をしたり、水道管の周りを吸音材で覆って振動を吸収する必要があるということ。
※より正確に言えば振動を弱めることは制振と言う。

ただしこれは壁の内側の設計や工法に関わるお話なので、残念ながら素人が見た目だけで判断することは難しいでしょう。
あとで少し紹介しますが、例えば二重壁/床にすることで返って遮音性が下がってしまうこともあるのです。

4-3 石膏ボードの壁



鉄筋コンクリートの賃貸を探しているとたまに普通の物件よりかなり安い部屋を見かけることがあります。

こういった安い賃貸の場合、もしかすると壁はコンクリートではなくて鉄骨造りの建物などと同じ石膏ボードで出来ているかもしれません。
というのも、実は「鉄筋コンクリート」というのは骨組みの作り方を指す言葉で、なにも「壁をコンクリートで作らないといけない」という決まりはないからです。

もちろん鉄筋コンクリート造りであればコンクリートの壁を使っている建物が多いですが、中には「コンクリートの壁は2部屋おき」などの建物もあるということは覚えておきましょう。

4-4 GL工法と二重床



やや難しい話になりますが、これは二重構造の壁や床についてのお話です。

少し防音の知識があると「二重壁=防音に強い」と思ってしまいますが、実はこれが曲者。
「ただの二重の壁」の場合は壁の隙間で起こる「共振」という現象によってむしろ音が大きくなってしまうことがあるんです。

例えばGL工法というのはコンクリートの壁の上に少しだけ隙間を開けて石膏ボードを取り付けることを指しますが、中〜低音の遮音性を下げてしまうことが知られています。

また、コンクリートと床の間に支柱を立てる二重床も、制振と吸音がなければ結果的に防音性を下げてしまう場合が多いようです。

つまり、同じ2重構造でも「防音のために作られたかどうか」によってその効果は大きく変わってしまうということ。
意外にもコンクリートに壁紙を直貼りした部屋の遮音性は高いんです。

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壁先行と床先行

もう少し掘り下げた話をすると、二重床の部屋の造りには「壁先行工法」と「床先行工法」という2つの種類があります。

これはコンクリートの下地の上に壁と床のどちらを先に作るかという工事方法の違いで、実はこの2つの部屋では隣の部屋への遮音性が少し異なります。
図をよく見ると壁先行は床板が壁によって分断されていて、床先行はそのまま隣の部屋の床と繋がっていますよね。

つまり床先行工法は足音などが直接隣の部屋まで伝わってしまうので、防音には少し不利ということ。
ただ建築の手間やコストは床先行の方が安くて済みます。

建物の構造にはこんな違いもあるんですね。

5.部屋の探し方

ここまでお伝えした鉄筋コンクリート造りの部屋の防音性はみなさんの想像より良かったでしょうか、悪かったでしょうか。
内心「あれ、思ったより生活音って聞こえるものなのかな?」と感じた方も多いと思います。

ただ、今回ご紹介したのは防音仕様の立派なマンションではなくて、鉄筋コンクリートという構造の建物が持つ最低限の防音能力にすぎません。
つまり、この構造をベースにして防音に強い設計をされたマンションもまだまだたくさんあるということなので安心して下さいね。

さて、実際に部屋を探すときには「防音賃貸の探し方 |音に強いマンション・アパートって?」でも紹介した通りアパマンショップ などの賃貸サイトや仲介業者を頼ることになります。

そして身も蓋もないような話ですが、なるべく防音性の高い物件を探すには少し家賃が平均より高い物件を当たるのが最も確実です。
普通より大幅に安い鉄筋コンクリートマンションにはそれなりの理由があると思っておいた方がいいでしょう。

例えばコンクリート壁の厚みを10cmから20cmにすればそれだけコストがかかりますし、静かなマンションはどうしても人気が出て相場より家賃が高くなりやすいですからね。

とはいえ、壁がコンクリートで出来てさえいれば少なくとも空気音の防音性が鉄骨や木造に負けることはまずありません。
鉄筋コンクリートが世間的に「防音に強い」と言われているのは伊達ではないです。

鉄骨と鉄筋コンクリートの比較や内見の方法などについては出来れば近いうちに記事にしたいと思うので、よければまた見に来てくださいね。


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