アコギのブリッジ浮きの原因と修理の方法

アコギのブリッジ浮きを修理する様子メンテナンス

少し古くなってきたアコギでよく起こるのがブリッジ浮き(剥がれ)というトラブルです。

ただ、その影響やリペア料金、自分で修理するデメリットなどについてはイメージが湧きづらいですよね。
とくに瞬間接着剤などでの修理を考えている方はどうか踏みとどまって欲しいです。

今回はブリッジ浮きの基本的な説明から始めて、実際に田村が行なったリペアの内容までを詳しくお話します。

1.ブリッジ浮き/剥がれとは

アコギとブリッジの隙間

ブリッジの浮き/剥がれとは、本来ぴったりとくっついているはずのアコギのブリッジとボディの間に隙間ができてしまうことを言います。
文字通り「ブリッジが浮いている/剥がれている」という意味ですね。

まずはこのブリッジ浮きについての基本を確認しておきましょう。

1-1 ブリッジ浮きの見つけ方

紙を使ったブリッジ浮きのチェック

ブリッジ浮きはよほど酷くない限り目視では発見できないので、ブリッジの角に薄い紙を押し当てて「紙が入るかどうか」で判断します。

5mm以上紙が入るようであれば立派なブリッジ浮きだと考えていいでしょう。

ブリッジ浮きの起こりやすい場所

ブリッジは構造や張力の関係で①、②、③の順に剥がれやすいです。
今回の田村の場合は①、②がわずかに浮き始めた段階で気がつきました。

弦交換のときに「メキメキ」という音が鳴る場合や、3〜4年以上使っているギターの場合は少し気にかけてみてください。

1-2 ブリッジ浮きの原因

張力と湿気と熱によるブリッジ浮きのイメージ

ブリッジ浮きの直接の原因は弦によって引っ張られる「張力」による経年劣化だと言えます。

演奏後に弦を緩めるなど多少の対策は出来ても、これは「弦を張る」というギターの仕組み上どうしても避けられないもの。

ですが、同時に日頃の管理で注意して欲しいのが湿気と熱です。
基本的にアコギに使われる接着剤というのは水性(水に溶ける)で、さらに「熱で緩みやすい」という特徴を持っています。

つまり、炎天下で直射日光にさらされ続けたり、高温になる車の中、雨で濡れた状態、結露するくらいのジメジメした環境などはブリッジ浮きを大きく加速させてしまうということ。

ギターが濡れてしまったときや車のトランクに入れての長距離移動では弦を大げさに緩めておくと良いでしょう。

1-3 ブリッジ浮きの影響

ブリッジを通して音が伝わる仕組み

ブリッジが浮くと確実に起こるのが「音痩せ」です。

本来であればアコギの音は弦→サドル→ブリッジ→ボディの順に伝わることで綺麗に響くんですが、ブリッジが浮くということは1番大切なボディへの伝達が上手くいかなくなるということ。
とくに中高音の豊かな広がりはブリッジ浮きの進行と共にかなり痩せてしまいます。

また、ギター演奏にとって致命的なのがブリッジの共振、つまり「ビビり」の発生です。

ブリッジが浮くと特定の音に「ビーン、ブーン、ビヨーン」などの異音が混ざることがあります。
通常のビビり音と比べると微かですが、田村はこれがかなり気になりました。

演奏には影響しませんが、弦を張るときにメキメキとボディが軋み出した場合にも一度ブリッジの不調を疑ってみましょう。

2.ブリッジ浮きのリペア

ブリッジ浮きのリペア風景

では、次は肝心のブリッジ浮きのリペアについてです。

まずはギター工房さんにお願いする場合のリペアの料金や期間その内容について見ていきましょう。

2-1 リペア料金と時間の目安

料金:〜2万円
時間:3日〜1ヶ月

ギター工房/リペアショップさんによって多少は変わりますが、ブリッジ浮きのリペア料金はおよそ1万8千円前後が多い印象です。

また、ブリッジの圧着乾燥には最低でも丸一日はかかるので、修理期間はどれだけ短くても3日です。
なので修理の時間は早いリペアショップで1週間くらい、平均的には2〜3週間くらい、人気店であれば1ヶ月ほどみておくのが妥当でしょう。

2-2 リペアの内容

ブリッジ浮きのリペア内容は程度や状況によって、

①ブリッジは外さずに隙間に接着剤を流し込み再接着する。

②ブリッジを外して汚れや塗装を除去し、面取り(木を削って平面にする)などをしながら接着面を整え、最後に接着剤をつけて接着する。

のいずれかになるでしょう。
ギターの状態にもよるので、一度リペアショップに相談に行ってみてください。
(②での修理が基本になるとは思います。)

3.自分で修理する方法

ブリッジを圧着する様子

ここからはブリッジ浮きのリペア方法についてです。

今回田村がおこなったのは「ブリッジとボディの隙間に専用の接着剤を流し込み、圧着する」という方法です。

本当はしっかりとブリッジを外して調整しようかとも思ったのですが、ブリッジ浮きがまだ軽度であったことや、ギターがエレアコでサドルの下にピックアップと配線が通っていたこと、その他の色々なリスクを考え断念しました。

あとで少し触れますが、ブリッジを剥がすためにはブリッジに熱を加える必要があるので、エレアコの場合はとくに慎重に判断してください。

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セルフリペアについて(注意点など)

少しお節介ですが、セルフリペアについて田村からの注意です。

セルフリペアは皆さんが根っからの工作好きで「リペアも趣味で楽しみたい!」という方でないのなら田村としては止めたいです。
理由はブリッジがギターにとってとても大切なパーツだから。

ブリッジをいじれば良くも悪くも今とは音色が変わります。
とくにブリッジを一度外す場合はオクターブチューニングの狂い(ギターが音痴になる)や、他のパーツの損傷、ブリッジの買い替えが必要になるなど色々なリスクを伴います。

田村は実際にいくつかのセルフリペアに挑んでいるので声を大にしては言えませんが、決して友達や後輩におすすめできるものではないです。
まして、皆さんにとって大切なギターであればなおさらです。

それでも挑戦したい方は、この下に田村のわかる範囲の知識や実際に行った作業をまとめておきますので参考にしてください。

3-1 仕上がりと予算、作業時間

ブリッジリペアの仕上がり

予算:〜3000円
修理期間:4日〜5日
(作業4時間、圧着1日半、放置3日)

少しだけはみ出たボンドが残ってはいるものの、ブリッジの仕上がりは満足で、ビビりも解消されています。何よりも、音色が豊かに戻りました。
ただし音には確証を持てないレベルのごくごく僅かな丸みを感じたため、もしかするとブリッジを外しての掃除をしなかったことや田村の腕前不足が影響しているのかもしれません。

田村が実際に使ったお金は1600円ほどですが、1から道具を揃えるともう少しかかるでしょう。
逆に放置期間は所用でかなり長くなっているので、実際はもう少し短くても大丈夫です。

3-2 修理に必要なもの

ブリッジ浮きの修理道具

ブリッジの修理で使う道具はそれほど多くなく、今回田村が使った道具を全て1から揃えても総予算は3000円を超えません。

※道具というのは何かで代用が効く場合も多いので好きに用意してもらって大丈夫ですが、「タイトボンド」「c型クランプ」だけは絶対に代用/省略しないことをおすすめします。

タイトボンド

タイトボンド

多くのリペアショップやギター工房で実際に使われている水性の木工ボンドです。
強力な接着力を持ち、水や熱を加えることで緩む性質を持っています。

100円というわけには行きませんが値段も安く、タイトボンドを使っている限りは万が一失敗してしまってもリペアショップで容易に修正してもらえます。
リペアやクラフトに挑戦するのであれば悪いことは言わないので1つ持っておいてください。

種類はoriginal(赤ラベル)一択です。容量は小さめで十分でしょう。
ホームセンターで入手可能。

c型クランプ

c型クランプ

物を挟みこんで固定/圧着するための工具です。
用途は限定的ですが今回のリペアに限っては必需品だと言っていいでしょう。

ブリッジの固定したい部位によって最低2つ、出来れば3つ用意しましょう。

間違ってもブリッジの上に本や重しをたくさん置いて代用しようなどと考えないでください。圧着力がはるかに弱い上にアコギの表板に大きな負荷がかかって壊れてしまう可能性があります。

ネットで探した中で最も使い勝手が良さそうで安価なものです。
ホームセンターは大型タイプがない場合あり。

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サイズの目安
アコギブリッジに使うクランプの大きさ

今回田村が用意したクランプは口幅(クランプの最大固定幅)75mm、奥行き140mmのものでした。
つまり、厚みが75mmのものまでを挟めるということですね。

サウンドホールとブリッジの長さ

ギターにもよりますが、サウンドホールからブリッジまでの距離はおよそ11〜12cmほどなので、奥行きはある程度余裕のあるクランプを選びましょう。

アコギのサウンドホールにクランプを差し込む様子

また、口幅はブレーシング避けの台座(後述)を抜きにして最低でも55mmほどは必要なので、ブレーシングのあるギターの場合最低70mmは超えていた方が良いでしょう。

ブレーシング避けの台座
ブレーシング材の位置と大きさ

ブレーシングとはアコギのボディを支え音を響かせるための板材のこと。
高さ10〜15mm、厚みが1〜2mmほどの薄い木の板です。

ギターによっては付いていないこともあるので、分からない場合はサウンドホールから表板の裏側を触って判断してください。

クランプとブリッジとブレーシング材の位置関係

ただのC型クランプでブレーシングのあるアコギのブリッジを固定しようとすると、このブレーシング材が邪魔でうまくブリッジを圧着出来ません。
(無理するとブレーシングが割れます。)

クランプのブレーシング避け例

なので、この場合はクランプの受け皿部分に木のブロックなどを付けて、ブレーシングを迂回して固定できるようにしましょう。

※このとき、クランプの口幅が狭くなりすぎるとサウンドホールに入らなくなってしまうので気をつけてください。
ギターにもよりますが目安として最低でも55〜60mmほどの幅は必要です。

ギター保護用のゴムなど
クランプからギターを保護する保護材

クランプは金属なのでそのままで強い力を加えるとアコギに傷や跡が残ってしまうことがあります。

なので出来ればクランプとアコギが接する部分にゴムシートや紙を折り重ねたもの、ダンボールなどを挟んでクッションを作ってやって下さい。

写真のゴムシートは前に防音室を自作した際の端材で、1本300円ほどの制振用の素材を切ったものです。

マスキングテープ

マスキングテープとブリッジリペアでの使用例

はみ出してしまったタイトボンドや作業中の擦り傷からギターを保護するためのテープです。
接着力が弱く、ギターに跡を残すことなく剥がすことが出来ます。

比較的安く12mm〜で好きな幅を選んで買えるタイプです。
ホームセンターの方が数十円安いです。

木の板

クランプを支えた木の板

クランプの重さを支えたり、その他状況に応じて使います。
実際の作業編も参考にしつつ臨機応変に対応してください。

木の板はホームセンターで100〜数百円、運が良ければ100均でも見つかるかもしれません。

あると便利(注射器と紙コップ)

注射器と紙コップとブリッジリペアでの使用例

注射器(シリンジ)と紙コップはなくても良いですが、あると接着作業が楽です。
とくに薄めたボンドを使うときは注射器があると便利です。

リンクは10本入りですが、田村が探した中では最も安価でアコギ向きかと思います。
注射器は100均の化粧コーナーなどにもおいていますよ。

3-3 ブリッジ接着の手順

道具を一通り揃えたら実際の大まかな作業を確認していきましょう。

実際にこうすんなりとは進みませんが、主にはここで紹介する3つの作業を目標にリペアを進めていきます。

①マスキング

ブリッジの周りをマスキングした様子

マスキングとはアコギを傷や汚れから守る作業のこと。
作業中にクランプや木材が当たりやすい部分、タイトボンドがはみ出しそうな部分などをあらかじめマスキングテープで覆っていきます。

②接着

ブリッジ浮きの隙間にタイトボンドを流し込む様子

接着はクランプの固定位置などを十分に確認してから行います。
ブリッジ浮きの隙間を掃除して、タイトボンドを流し込んでいきましょう。
タイトボンドは原液と水で少し薄めたものの2種類を使うのがおすすめです。

③固定と圧着

ブリッジをクランプで固定圧着する様子

圧着とはブリッジとボディがきちんと接着できるようにしっかり押さえながら乾かすこと。
接着からクランプを使った圧着までは慎重に、手早く行いましょう。
一度固定が完了したら丸1日ほど静置し、ボンドをしっかり固めます。

3-4 実際に行った修理工程

ここからは1つ1つの作業を少し詳しく説明していくので、記事内容は折りたたんでおきます。
タップで開閉しますのでお好みでご覧ください。

素人レベルですが、大切なギターのために万全を期したので何か参考になれば幸いです。

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クランプの台座とクッション作り
ブレーシング避けの台座部分

まずはクランプの受け皿の上にブレーシングを避けるための台座を作ります。
田村が使ったのは27mm角の木のブロックです。

ブリッジ避けの仮固定

ブロックを固定する方法は何でもかまいません。
田村の場合は両面テープが見当たらなかったのでテープでぐるぐるまきにして固定しました。

クランプの保護クッション作り

その上に何かクッションになる素材を貼り付ければ台座の完成です。

アコギのサウンドホールにクランプを差し込む様子

台座が出来たら、クランプがアコギの中に入ることを絶対に確認しましょう。

紙によるクランプのクッション材

田村の場合は木のブロックが大きすぎてギリギリ入らなかったため、クッションをルーズリーフを折りたたんだ薄いものに変えざるをえませんでした。
※ギリギリで入るクランプの口幅は55mm弱でした。

クランプの口幅に余裕がない場合は木のブロックのサイズには要注意ですよ。

マスキング
クランプからギターを守るマスキング

クランプの準備ができたら、慎重にアコギの中に入れて確認しながらまずはクランプがぶつかりやすい箇所をあらかじめマスキングしておきます。

アコギのサウンドホールにクランプを差し込む様子

サウンドホールの上部、ブリッジ付近のボディはこんな風にクランプを出し入れする際に傷ができやすい場所です。

クランプを支えた木の板

また、田村はクランプ自体の重さが余分な不可としてアコギにかかってしまわないように木の板を柱として使う予定なので、その下にもマスキングテープを貼っておくことにしました。

擦り傷用のマスキング完成図

これですり傷用のマスキングは終了です。

タイトボンドからギターを守るマスキング

次に、ブリッジの接着でどうしても接着剤が付いてしまうブリッジの周りをぴったりとマスキングしていきます。
このとき多少は隙間が空いても構わないですが、ブリッジの下にテープが入り込んでしまわないように気をつけてください。

ブリッジリペアのマスキングが完成した様子

丸みのある部分はマスキングテープを細かく切ったりしながらなるべく隙間なく保護しましょう。
田村は練習がてら1周ぐるっとマスキングしましたが、接着箇所の周りだけで十分ですよ。

シュミレーション
実際にクランプを置いてみる様子

マスキングが終わったら、実際にクランプや道具を使いながら固定の流れを確認しておきます。
このシュミレーションがとても大切です。

予定していたブリッジクランプイメージ

例えば田村は当初、こんな風にブリッジの両端を直接クランプするつもりでいました。(イメージです)

ブリッジ下のブレーシング位置

ところが、いざ実際に裏側を触ってみるとそこには複雑なブレーシングやピックアップの導線が施されていて、とてもクランプで挟める状態ではないことが分かりました。

ブレーシングを避けるための橋渡し

そこで、急遽本来のクランプ位置にゴムの切れはしで脚を作って木の板を渡し、その真ん中あたりをクランプする方法に切り替えました。
これでひとまずはクランプの力をしっかりブリッジの両端に伝えられます。

ブレーシング材とクランプ位置の下書き

似た状況の方は、木の板側にブレーシングや配線の位置を大まかに書いておくといいでしょう。
こういったトラブルは接着剤を付けてからではとても対応できないので、事前に本番と同じ形での仮止めまではしてみて下さいね。

接着
タイトボンドを薄める準備と道具

接着では容器3つと注射器、細く切った紙、ティッシュを用意しておきます。
容器には水、薄めたタイトボンド、タイトボンドの原液を用意しておくと良いでしょう。

タイトボンドと水を混ぜる様子

タイトボンドを水で薄めるのは毛細管現象を使って接着剤をブリッジの奥まで入り込ませるため、また残っている古いボンドや木面に染み込ませて親和性を良くするためです。
目安ですがタイトボンドと水は7:3もしくは6:4くらいが良いでしょう。

ブリッジの隙間を掃除する様子

まずは軽く湿らせた紙を使ってブリッジ浮きの間にある埃などを取り除きます。
ブリッジに通して軽く動かせば十分でしょう。

ブリッジの隙間にタイトボンドを注入する様子

次は水で薄めておいたタイトボンドを注射器で注入していきます。
マスキングの上に少しはみ出すくらいの量をつけておくと良いです。

タイトボンドを奥まで浸透させる様子

この状態で新たに紙を挟んで軽く揺すってやると、タイトボンドは紙に沿って自然と隙間に入り込んでくれます。
はみ出たままのボンドはティッシュで拭き取ってしまいましょう。

原液のタイトボンドを塗布する様子

最後はタイトボンドの原液を使います。
ヘラなどを使って、ブリッジの隙間の上に直接つけましょう。

原液はおそらく勝手には浸透してくれないので、紙を隙間に通してスライドさせるようにして隙間に引き込みます。
余ったボンドは忘れずにティッシュで拭き取ってくださいね。

ブリッジの接着固定の様子

あとはリハーサル通りにクランプで圧着固定すれば接着の手順はお終いです。

放置と弦交換(完成)
ブリッジの固定とタイトボンドの乾燥

最後はギターを数日間静置して乾燥させるだけです。
タイトボンド公式によると、最低24時間たてばしっかりと固まりまるそうです。

ジメジメせず、動かす必要のない場所をあらかじめ準備しておくと良いでしょう。

クランプの重さを分散させる枕

田村の場合、クランプの重さを分散させるための枕を作って噛ませました。(写真右側の木の板。新聞で厚みを調整しています。)
これはオプション的なものなのでお好みで用意してください。

ブリッジを圧着する様子

また、今回はクランプ位置が真ん中によってしまった都合上、両端に500mlのペットボトルを置きました。
気持ち程度ですが、アコギを傷めない範囲であれば圧着力は強いに越したことはないです。

マスキングとクランプを外した様子

先程書いた通り、タイトボンドのホームページによるとボンドの圧着と乾燥にかかる時間は約24時間。
心配であれば1日半〜2日ほどおくといいでしょう。

田村の場合は所用もあって3日間放置した後クランプとマスキングを解きました。

はみ出したタイトボンドを削る様子

ふちに残ってしまったマスキングテープやボンドは爪楊枝などで削ってやれば綺麗に取れます。
薄く伸びて乾いてしまっているボンドは軽く湿らせたティッシュなどで拭き取りましょう。

ブリッジ浮きのリペア完了

最後は弦を張って再びブリッジが浮いてしまったりしなければリペア完了です。
まだ少しはみ出たボンドが残っていますが、あまり無理に削るよりはこのままの方が強度が保てるので、今回はこれで良しとしましょう。

お疲れ様でした。

4.(おまけ)ブリッジを外す/剥がす

最後にブリッジを外して修理したい方向けに簡単な手順やリンクの紹介をしておきます。
どれも田村の調べた範囲での主観によるものですが、よければ参考にしてください。

ブリッジを外してのリペア

ここで紹介する内容はあくまで「田村ならこうしようと思う。」というレベルのものです。
至らない点も多いと思いますがご容赦ください。

4-1 追加で必要になるもの

※すでに紹介したものは除いています。

ラバーヒーター

ラバーヒーターは通電するとどんどん温度が上がっていくヒーターです。
値段が高い上に、ある程度は電気工作の知識がないと扱いが難しいかもしれません。

あとで紹介しますが、ラバーヒーターの代わりにアイロンを使っている人もいます。
とにもかくにも、ブリッジを熱するときには木やパーツを傷めないように細心の注意が必要です。

ヘラ(スクレーパー)

熱を加えて緩くなったブリッジとボディの間に差し込むヘラです。

加熱することもあって薄い金属製のものが良いでしょう。

ヤスリ

外したブリッジの面取りやボディの設置部を整えるために使うヤスリです。

個人的には紙やすりをうまく使うのがいいと思います。
番手は少し粗いものから始めて徐々に細かくしていくと接着面を綺麗に出せるでしょう。
(数字の小さなものほど目が粗い)

リンクはセット販売のものです。
紙やすりを一枚ずつ買うのはホームセンターがおすすめです。

4-2 ブリッジを外すリペアの手順

※実際に田村が行ったわけではないので、想定外のことも起こるかもしれません。

①ブリッジ周りを保護する

ブリッジの周り(ボディ)を熱から守る対策を考えます。
(タオルを置く、かまぼこ板で覆うなど)

②ブリッジを温める

ヒーター、アイロンなどを使ってブリッジを温め、タイトボンドを緩くします。
もちろんですがアイロンなどを使う場合は直接ブリッジに押し当てるのはNGです。
また温度の上がり過ぎには気をつけてください。

とくにエレアコのピックアップへの影響は未知数なので慎重に。

③ブリッジを剥がす

緩くなったブリッジの隙間にスクレーパーを差し入れて少しずつブリッジを剥がしていきます。
力ずくで無理に一度に剥がさず、慎重にボンドを緩めながら進めるのがいいでしょう。

エレアコの場合、ピックアップの動線を切ってしまわないように気をつけてください。

④接着面を整える

水や紙やすりなどを使って接着面の古いボンドや汚れなどを落としていきます。
塗装を削る場合もあるそうですが、自信がないならやめておきましょう。

ごく薄い塗装を剥がすよりも、それに失敗したときの影響の方がはるかに大きいと思われるからです。

⑤接着

接着についてはブリッジを外さない場合と変わりありません。
しっかりとシュミレーションをした後、素早く圧着して静置してください。

このとき、ブリッジの位置がずれるとチューニングが合わないギターになってしまうので本当に注意してください。

4-3 参考リンクとコメント

田村から見て信頼が置けそうだ、ブリッジを外すなら目を通しておいて欲しい、と思うページを2つ紹介しておきます。
どちらも仕事としてリペアを請け負っている方のページです。

リペアマン遠藤の仙台リペアブログ

ラバーヒーターによるブリッジ剥がし

こちらは島村楽器仙台ロフト店のリペアマンさんが書いたブログ記事。
熱源にはラバーヒーターを使っています。

作業中の写真が多く、文章も分かりやすいためとても参考になると思います。
この写真も同ブログより引用させていただきました。

リペアマン遠藤のリペアブログ〜その13〜アコギブリッジ剥がれの巻

Keith Guitars BLOG

アイロンによるブリッジ剥がし

こちらはキースギターという個人の工房さんの書かれた記事。
熱源にはアイロンを使っています。

こちらも作業中の写真が多く、参考になります。
写真は同ブログより引用させていただきました。

アコギ ブリッジ剥がれ修理

くどいようですが、セルフリペアには時間もかかる上にリスクも伴います。
見た目上の料金は安くても決して「お得」なわけではないというのが田村の実感なので、出来ることなら信頼の出来そうなリペアショップを頼ってみて下さいね。

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