自分の家に防音室が欲しい。けどそもそもどんな種類や設置方法があるの?きちんと知るのはなんだか難しそう。
これって自宅の防音を考える人なら一度はぶつかる壁じゃないでしょうか。
誰もがなんとなく知っている「防音室」という部屋ですが、実際にマンションやアパートの一室に防音室を作ろうとすると、
・費用の目安
・必要な広さ
・実際の防音効果
・種類や選び方
・使われる言葉の意味
などなど、色々とわからないことだらけですよね。
今回はギター好きの筆者田村が、市販防音室の試奏、家での防音対策、防音室の自作などで培った知識を使って、防音室の仕組みや種類・特徴などを基本から分かりやすくご紹介します。
1.防音室の基本知識
ただ、包み隠さずに書いてしまえば実際に思い通りに防音できる防音室というのは少なく、防音では自分の用途と相談しながら妥協点を探すのも大切なことになってきます。
1-1 防音室の簡単な仕組みと用語
まずは防音室の仕組みや音の性質、表し方などについて簡単に確認しておきましょう。
①音を跳ね返す(遮音)

防音室にとって一番基本となるのがこの「音を跳ね返す」こと。防音の世界ではこれを「遮音(しゃおん)」と言います。
硬く、重く、分厚いもので壁が作られているほどしっかり音を跳ね返すことができます。
②遮音だけだとダメ?

遮音がしっかりした防音室の中では音がほとんどそのままの大きさで何度も反射して響きます。
このままでは音が何重にも重なって聞こえるので耳が疲れてしまいやすく、さらに外からわずかに入ってくる音までよく響いてしまいます。
③音を吸い取る(吸音)

そこで、防音室の内側の壁には音を吸い取ってくれる素材を使います。これを防音の世界では「吸音(きゅうおん)」と呼びます。
こうすると音は反射するごとにどんどん小さくなっていくので、外からの音は目立ちにくくなり中の音でも自然な響きを作ることが出来ます。
④「100%の防音」と二重壁

実は防音の世界には「100%の遮音」や「100%の吸音」というものはありません。
つまり防音室というのは音が完全に消える魔法のようなものではないということ。
少しでも音を防ぐためによく使われるのが「遮音の壁を二重にして間に吸音スペースを作る」という方法です。
こうすることで音は壁の隙間で反射を繰り返して吸収され、外に漏れにくくなります。
⑤防音性能の表し方(Dr-)

防音室の性能には「どれだけ音を小さく出来るか」という意味で「Dr(ディーアール)」という数値が使われます。
例えば室内では90dB(デシベル)の音が部屋の外では60dBまで小さくなる防音室があったとすると、その防音室は音を30dB小さく出来ているので「Dr-30」ということ。
⑥dB(デシベル)って何?どれくらい?

「dB(デシベル)」という言葉は普段あまり耳にしませんが、音の強さを表す単位です。
よく使われる「cm」「kg」などの単位とは少し違って、「10dB増えるごとに音の強さが10倍になる」という意味を持っています。
つまり先ほどのDr-30(音を30dB小さく出来る)というのは、なんと音を1/1000の強さに出来るということ。
ただし感覚的な音の感じ方とはズレがあるので、実際には上の表のように具体的に考えられることが多いです。
例えば90dBの音を60dBに出来るということはカラオケやバイオリンの音を「日常の会話」くらいの大きさまで小さく出来るということだと思ってください。
⑦「低い音」は防音が難しい

実は音には「低ければ低いほど反射も吸収もされにくい」という性質があります。
つまり、同じ防音室でも高い音と低い音では漏れる音の量が違うということ。
例えばギターや歌声をしっかり小さくできる防音室でも、バスドラムやベースの音はほとんど筒抜けで聞こえることもあります。
「Dr-40」と一言で言っても「歌声に対してはDr-50」「バスドラムに対してはDr-30」の場合もあるので検証動画や試奏、モデルルームはとても大切です。
⑧音の高さとHz(ヘルツ)

音の高さは帯域、周波数などとも呼ばれHz(ヘルツ)という単位で表されます。
簡単に「高い音は数字が大きく、低い音は数字が小さい」という意味だと思ってください。
※Hzは音の1秒あたりの振動数を表していて高音ほど空気が速く振動します。
音の帯域やHzもなかなかイメージしづらいものなので、帯域は上の図を参考にしてください。
1-2 防音室は大きく分けると2種類

実は自宅用の防音室には大きく分けると2つの設置方法があります。
①簡易防音室をおく
これは「すでに完成した小さな防音室」を室内にもってきて設置するという方法。
例えば衣装ダンスや本棚を置くのと同じような感覚で部屋の一角に「防音ブース」を設置します。
②防音工事をする
こちらは音楽室や音楽スタジオのように「部屋自体を防音用に工事する」という方法。
部屋いっぱいを防音室として使えますが設置作業は大掛かりです。
違いについては後からそれぞれ詳しく触れますが、基本的に0.5畳〜4.3畳までは簡易防音室、4.5畳以上は防音工事で作る方が多いです。
今回はさらに「自作防音室」「無響室」と呼ばれる2つの防音室についても合わせて紹介していきますね。
1-3 防音室の費用は?

防音室にかかる費用は後で1つ1つ丁寧に見ていきますが、大まかには上の図の価格帯が一つの目安だと思っておきましょう。
きっと予想よりも高くて驚いてしまった方もいると思いますが、中古やレンタルなどの仕組みもあるのでそれについても一緒に見ていきましょう。
さて、それではここからは4つの防音室についての特徴や費用、具体例などを順番に紹介していきますね。
※「簡単な防音対策」については記事の最後にまとめてあります。
2.簡易防音室

防音室の中で最近人気になりつつあるのが「簡易防音室」と呼ばれるタイプのもの。
とくに正式な定義はありませんが、簡単に言えば「部屋の中に置ける小さな防音室」のことを簡易防音室と呼びます。
今皆さんのいる部屋自体を頑張って防音にするのではなく、「すでに完成した小型防音室を買ってきて置くだけ」なので「簡易」というわけですね。
費用は広さや防音性能によって7万円〜200万円ほど。
2-1 簡易防音室の防音効果は低い?
簡易防音室の効果はオーダータイプを除けばおよそDr-15〜40のものが多いです。
例えばDr-15というのは少し厚い布団にくるまって声を出すような手軽な防音効果ですが、Dr-40ともなると防音工事よりも効果が高いこともあるほどの性能です。
「簡易」という名前から防音効果も低いのでは?と思ってしまう方もいますが、実際はそうとも言い切れないんですね。
ただ、冒頭にも書いた通り「100%の防音」というのは基本的にありません。
紹介する防音室には検証動画も載せておくので、防音効果のイメージはそれをしっかりチェックしてみて下さい。
簡易防音室の隠れた防音効果
「手軽である」というのは簡易防音室の大きな特徴ですが、実は防音を考える上でもう一つ注目して欲しいポイントがあります。
それは「絶対に部屋が二重になる」ということ。

例えばある簡易防音室はDr-30で、100dBの音のうち70dBが外に漏れてしまうとしましょう。
このときもちろん防音室を設置した部屋の中には70dBの音が聞こえていますが、さらに廊下まで出てみると音は「部屋の壁」に邪魔されてさらに小さくなりますよね。
仮にこの部屋の壁がDr-20だとすると、廊下に実際に聞こえる音は50dBです。

つまり、廊下に漏れる音で考えるとこの部屋には「Dr-50の防音室と同じ力がある」ということ。
本来の防音能力「+α」の力を発揮できるというのは防音を考える上では意外と大きなメリットです。
※記事末で紹介しますが部屋のドアを防音すると簡易防音室の効果をかなり高めることができます。
※部屋の壁と簡易防音室が離れているほど壁の方向への「部屋としての防音効果」は高くなるので、音を漏れさせたくない側の壁と簡易防音室はなるべく離しておきましょう。
2-3 簡易防音室の広さの目安は?

防音室に必要な広さってなかなかイメージしづらいものですよね。
ここではキリのいい簡易防音室のサイズをいくつか例にして、広さや使い方の目安を表にしてみました。
さらに詳しいイメージなどは下の折りたたみ記事を見てみてください。
※上の図はギリギリ使えるサイズを想定して作ったので、とくに0.5畳〜1.2畳に書かれている楽器や物はもうワンサイズ上の防音室が使いやすいかと思います。
※部屋の広さや物のサイズをcmに直していますがいずれも「およそ」の値です。
サイズの詳細と6畳間での設置イメージ図
0.5畳 90cm×90cm

防音室としては一番小さなサイズ。歌やリコーダー、ハーモニカ、ウクレレなどの小さめの楽器が演奏可能です。フルートはほぼ身動きができなくなってしまうでしょう。
奥行きが30cmくらいの机を置けば小さなパソコンブースとしても使えます。
0.8畳 90×130cm

歌、フルート、ギターなどが演奏可能。ただし座っての楽器演奏はかなり狭く感じられるでしょう。
大型の勉強机は置けませんが、小さめのデスクを置けばパソコンブースや自習室などに使えます。
1.2畳 130×130cm

76鍵キーボードが演奏可能。ギターやベースを座って弾くにも十分な広さです。
勉強机が置けるサイズですが、引き出しを開くのはやや苦しいかもしれません。
1.5畳 130×180cm

チェロなど弓を使う楽器や88鍵キーボードもゆったり演奏可能。ギターなどを座って弾くにもかなり余裕のある広さです。アップライトピアノはギリギリ弾けるか弾けないかの境目なので要確認です。
勉強机の他にちょっとした棚などを置くにも適しています。防音室メーカーから勉強部屋・自習室として推奨されている広さです。
2.0畳 180×180cm

アップライトピアノをゆったり演奏可能。ギター・歌のレッスンやレコーディング環境としても申し分ないでしょう。
大きめの本棚や机を置いても広く、書斎として使える広さです。
3.0畳 180×270cm

やや狭いですが3型(C3、G3など)のグランドピアノが演奏可能。アップライトピアノのレッスンなども可能でしょう。大型のグランドピアノを弾くには狭いです。
もはや立派に部屋と呼べるようなサイズなので寝室にすることも可能です。
2-4 代表的な5つの簡易防音室
さて、ここからは代表的な簡易防音室についてひとつずつ具体的にご紹介していきますね。
ライトルーム
費用:10万円〜
サイズ:0.64〜1畳
特徴:吸音がメイン
防音性能:Dr-15
おすすめ度:★★★☆☆
製品ページ
ライトルームは「吸音による簡易な防音」を目指したテント型の吸音ルームです。
遮音性はおそらくほとんどないため音をきちんとシャットアウトすることは望めませんが、それでも中〜高音の強くで出るアコギや歌に使うのであれば中々の防音効果があります。
簡単に言えば音をよく吸う布団の中で音を出すようなイメージの防音室ですね。
しっかりとした防音をしたい方には向かないですが、比較的値段の安い簡易防音室としてはおすすめしたい防音室だと言えます。
サイズ・防音効果などの詳細
・サイズなど
ライトルームのサイズは「S(0.64畳)」「L(0.83畳)」「LL(1畳)」の3種類で、それぞれ「ライトルーム(ノーマル)」と「ライトルーム プラス(防音強化)」の2種類から選べます。
部屋の床の形はどれも正方形です。
※ライトルーム(ノーマル)には光を通すための窓がありますがライトルームプラスは音漏れ軽減のため窓がありません。(照明が必要)
またライトルームプラスではパーツの接続部分の防音性も補強されています。
公式ページに書いてある遮音性能はどちらも「Dr-15程度」です。
・防音効果の検証動画
Youtubeでのライトルーム公式アカウント「infistdesign」さんより3本の検証動画を引用・紹介させていただいています。
いずれもノーマル(窓あり)のライトルームを使っています。
①アコギとボーカルで検証(LLサイズ)
アコギを弾く男性と、歌を歌う女性による検証動画です。声やアコギの帯域だと中々効果が出ていますね。
②サックスでの検証(LLサイズ)
個人的にサックスでの使用はやや厳しいのではないかと感じた動画です。高い音は弱くなっていますが低音がかなり残っていますね。
③アコギでの検証動画(Sサイズ)
Sサイズのライトルームでの検証動画です。サイズの比較例としてどうぞ。
・公式ショップなど
ライトルームは楽天市場に公式ショップ「in-put(インプット)」を開いています。
Amazonでのライトルームの公式ショップは「インフィストデザイン(Infist Design)」です。
※Amazonのショップはサイズによって品切れ・入荷待ちの場合があるようです。
楽天市場のイシバシ楽器さんのショップの方が公式より送料が安いことがあるようなので掲載しておきますね。
だんぼっち
費用:7万円〜
サイズ:0.5〜0.8畳
特徴:吸音材はオプション
防音性能:明記なし
おすすめ度:★★☆☆☆
製品ページ
だんぼっちは基本の遮音材・吸音材をすべてダンボールにすることで「安くて手軽な防音室」を目指した防音室です。
簡易防音室としての知名度は高く値段的にもトップクラスで安いのですが、田村としては正直あまりおすすめはできません。
主な理由は検証動画などの遮音性がやや低めに感じること、室内の吸音用パーツがオプション(別売)なことの2つ。
だんぼっちを購入された方のサイトや動画ページにお邪魔すると「後から自分で防音性能を強化・改造して使っている人」も多く、個人的にはライトルームやこの後紹介するベリークなどの「簡易吸音室」の方が使い勝手が良いように感じます。
ただ元々のコンセプトが楽器用というより「歌ってみた・実況」用に近く、中には小さなPC台もついているのでそういった用途には適しているのかもしれません。
サイズ・防音効果などの詳細
・サイズなど
だんぼっちのサイズには約0.5畳の「だんぼっち(高さ148cm)」「だんぼっちトール(高さ192cm)」と、約0.8畳の「だんぼっちワイド(高さ148cm)」「だんぼっちグランデ(高さ192cm)」があります。
もともとゲーム実況や歌ってみたのために開発されたものなので座って使うための高さ設定のサイズもあり、どのタイプにも簡易テーブルが付いています。
防音性能はそれぞれ1種類のみですが、公式のオプションパーツとして吸音材(1万5千〜2万円)を付けることができます。
・防音効果の検証動画
※公式からの検証動画は出ていないようなのでyoutubeで個人的に検証をされていた「fumiko midori」さんの動画を引用・掲載させていただいています。
篠笛とウクレレでの検証
篠笛とウクレレを使っただんぼっち(改造前・改造後)の効果検証動画です。そのままでは大きな効果は感じにくいですが、fumikoさんの場合は吸音材や遮音シートを使うことで防音効果を高めていますね。
ブログ・youtubeでのだんぼっちレビューではこのように自分で改造をしている方を多く見かけます。
※ダンボールそのものに焦点を当てた「ダンボールの防音効果を5つの面から徹底検証」という記事も良ければ参考にどうぞ。
・公式ショップなど
Amazonでのだんぼっちの公式ショップは「株式会社VIBE」です。
※おまけ:だんぼっちの強化によく使われる防音素材の例
防音材について詳しくは「ホームセンターで手に入る防音材とその特徴 |100均・通販情報も」へどうぞ。
VERY-Q(ベリーク)

費用:12万円〜
サイズ:0.5〜1.0畳
特徴:吸音用と防音用の2タイプ
防音性能:Dr-18〜30
おすすめ度:★★★☆☆
製品ページ
ベリークは「自由に組み合わせて使える吸音パネル」が元になって作られた簡易防音室です。
簡単に言うと、吸音パネルとして作っていたパーツに天井やドアの仕組みをつけて「吸音ブース」に出来るように工夫したセットのことです。
仕組み的には先ほどのライトルームに近く、遮音よりも吸音に特化した簡易防音室だと言えます。
遮音材がない以上やはり本格的な防音には向きませんが、ギターや歌に対してはある程度の消音・防音効果は期待しても良いでしょう。
サイズ・防音効果などの詳細
・サイズなど
ベリークには吸音がメインの「VQ/HQシリーズ」と、防音性を強化した「VQP/HQPシリーズ」があります。
少しややこしいのですがアルファベットは「色、ベリーク 、プラス」を表しているようで、
1文字目が「V」ならグレー、「H」ならアイボリー
2文字目はベリーク(VERY-Q)の「Q」
さらに防音強化なら3文字目にプラスの「P」が入ります。
基本のサイズは「VQ/HQ」が0.5畳のみ、「VQP/HQP」は0.5畳か1畳から選べますが、それぞれオーダーも可能です。
公式ページに書かれている防音性能は「VQ/HQ」がDr-18、「VQP/HQP」がDr-30相当となっています。
・防音効果の検証動画
Youtubeでのベリーク公式アカウント「VERY-Q宮地楽器」さんより1本、同系列の「宮地楽器神田店」さんより2本の検証動画を引用・紹介させていただいています。
※動画の掲載は上の紹介と逆順です。
①アコギ(ドア開)
ベリークのドアを開けた状態でアコギを演奏した動画。②へ続きます。
②アコギ(ドア閉)
ベリークのドアを閉めた状態でアコギを演奏した動画。おそらくノーマルタイプのベリーク(VQ)でしょう。ライトルームとの比較はもとのギターの音と環境が違いすぎるので難しいですが、ベリークの方がややバランスよく音を吸収しているように聞こえます。
③バイオリン
防音強化のベリーク(HQP)の中でバイオリンの演奏をする検証動画。「Dr-30でも意外と音が聞こえるじゃないか」と思ってしまうかもしれませんが、音量自体は普通の話し声より少し小さいくらいまで下がっています。
・公式ショップなど
楽天市場での公式ショップは「宮地楽器 ららぽーと立川立飛店」です。
※楽天市場の他のショップは公式より値段が高くなっていたため今回は除外しています。ベリークのAmazonでの出品はありませんでした。
アビテックス(セフィーネ)

費用:63万円〜
サイズ:0.8〜4.3畳
特徴:優れた遮音・吸音力
防音性能:Dr35〜40
おすすめ度:★★★★☆
製品ページ
カタログページ(PDF)
アビテックス(セフィーネ)は「防音だけでなく心地いい音響を」というテーマで作られたヤマハの簡易防音室です。
防音の世界では恐らく1番有名な防音室で、その防音効果も本当に優れたものです。
ドラムなどであれば少しオプションも考える必要がありますが、歌やギターであれば通常のタイプでも十分すぎるくらいに音漏れを防いでくれます。
値段はかなり高いですが、きちんとした防音室を目指している人にとっては1番安くて確実なシリーズだと言えるでしょう。
サイズ・防音効果などの詳細
・サイズなど
アビテックス(セフィーネ)のサイズは「0.8」「1.2」「1.5」「2.0」「2.5」「3.0」「3.5」「3.7」「4.3」畳の9種類で、それぞれDr-35とDr-40の2種類の防音性能から選べます。
4.5畳〜30畳のサイズについては簡易ユニットではなく防音工事のように部屋を丸ごと防音する「据え置き防音室」として設置が可能で、防音性能はDr-30、Dr-35、Dr-40の3タイプから選べます。
※Dr-40以上も特注可能
・防音効果の検証動画
Youtubeでのアビテックス公式アカウント「yamahajp」さんより2本の検証動画を引用・紹介させていただいています。
①サックスでの検証(dr-40)
サックスを使った短くわかりやすい検証動画。かなり音が漏れているように感じるかもしれませんが、防音室としてはとてもしっかり防音できている方です。
ライトルームでのサックスを使った検証動画と比較すると参考になるでしょう。
②ピアノとサックスでの検証(Dr不明)
ピアノとサックスを使った検証動画。楽器のそば→屋外(防音室のドア開)→屋外(防音室のドア閉)の順に紹介されています。
タイプについての記載はないのですがおそらくDr-40でしょうか。家の外への音漏れはほとんど聞こえないレベルまで小さくなっていますね。
※次の簡易防音室「ナサール」の検証動画で「アビテックスとナサールの比較(Dr-35、フルートとサックス)」も紹介しています。
・公式ショップなど
アビテックスは通販サイトでの公式販売を行っていません。
ナサール
費用:49万円〜
サイズ:0.8〜4.3畳
特徴:優れた遮音・吸音力
防音性能:Dr30〜40
おすすめ度:★★★★☆
製品ページ
カタログページ(PDF)
ナサールは「高い遮音性と快適な響き」を目指したカワイ楽器の簡易防音室です。
知名度こそ少し低いものの防音性能はアビテックスと同様たしかなものです。
基本的に同じ防音性能でみればヤマハのアビテックスとほぼ同じ(少し安い)価格です。
また、ナサールにはアビテックスより一回り防音性能が低くて安いシリーズがあること、特定のサイズにDr-50の高遮音タイプがあることも知っておいて欲しいポイントです。
サイズ・防音効果などの詳細
・サイズ
サイズは「0.8」「1.2」「1.5」「1.7」「2.0」「2.4」「3.0」「3.7」「4.3」畳の9種類で、それぞれDr-30、Dr-35、Dr-40の3種類の防音性能から選べます。
また、ドラムなどの大音量楽器に対応するために「3.4」「4.0」「4.6」畳でDr-50のユニットもあります。
※4.5畳〜10畳サイズの簡易防音室はユニットタイプですがオーダー制です。
・防音効果の検証動画
Youtubeでのナサール公式アカウント「kawaionkyou」さんより1本、楽器店の「島村楽器 横浜みなとみらい店」さんより1本の検証動画を順に引用・紹介させていただいています。
①キーボードでの検証(Dr-40)
キーボード(電子ピアノ)を使った検証動画。ほとんど音が聞こえなくなっているのは凄いことですが、本物のピアノや生の楽器ではこれよりもかなり音が漏れて聞こえる可能性があることに注意してください。
この動画を強く弾いたグランドピアノやサックスによるアビテックスの検証動画と比較するのはおすすめできません。
②アビテックスとナサールの比較(フルート・サックス)
アビテックスとナサールのそれぞれ1.2畳タイプ、Dr-35のモデルをフルートとサックスを使って比較する動画。
フルートの演奏 ①10:50〜 ②13:03〜
サックスの演奏 ①15:30〜 ②17:29〜
※共に①がアビテックス、②がナサール
田村もヘッドフォンで何度か聴き比べてみたところ「フルートはアビテックス、サックスはナサール」の方がわずかに音漏れが小さいように感じますが、同じDr-35というだけあってそれほど防音性能に差はないのかもしれません。
中での音の響きは吸音の仕組みからかなり違うようなので実際に楽器屋さんなどで体験するのがいいでしょう。
・公式ショップなど
ナサールのAmazonでの公式ショップ名は「河合楽器」です。
2-5 レンタル出来る簡易防音室もある
実は簡易防音室の中にはレンタルで借りることができるものもあります。
有名なメーカーで現在レンタル制を採用しているのはヤマハのみですが、例えば買うと50万円を超えるアビテックスも月1万2千円くらいからで借りることができます。
カラオケで考えると1ヶ月のあいだ毎日1〜2時間(400円分)練習するのと同じくらいですね。
安いとは言い難いもののアビテックスの性能を考えると導入を考える価値は十分にあるでしょう。
ちなみにヤマハの場合はレンタル中の防音室をそのまま買い取ることもできます。
レンタルからの買取の場合、これまでに支払ったレンタル料は全て購入に充てることができます。
例えば元値が50万円の防音室を借りていてすでにレンタル料を合計20万円支払っているなら、買い取りでは残る30万円を支払うというもの。
一番長いレンタルプラン(48ヶ月など)だと最後に「+1ヶ月分」のレンタル料を払えば買い取れるように値段が設定されているようです。
ヤマハに限定はされてしまいますが、クレジットローンで防音室を買うことを思えばとてもお得かもしれませんよ。
また楽器屋さんではアビテックスに限らずとても低金利のローンやレンタル制度がある場合もあるので、一度地元の楽器屋さんに足を運ぶのも良いかもしれません。
2-6 中古の簡易防音室もある
簡易防音室にはもちろん中古品もあります。
例えば田村のお世話になっている楽器屋さんでは全国店舗の中古防音室をカタログにして置いてくれていて、取り寄せですがヤマハの古い型の防音室(Dr-30)が12万円〜で売られていました。
インターネットで中古品を探すのは中々大変ですが楽器屋さんであれば運送や組み立てなどの仕組みもしっかりしているので、ぜひ地元の楽器屋さんに足を運んでみてくださいね。
3.防音工事
次に、部屋の壁を丸ごと防音工事して作る「据え置きの防音室」について。
こちらは扉を含めて部屋自体が高い防音性能を持っている部屋のことで、学校にある音楽室や、映画館、音楽スタジオなどをイメージしてもらえると分かりやすいと思います。
昔の田村は防音工事といえば「高いけど効果はすごいもの」だと思っていたんですが、実際には必ずしもそうとは言えません。
とくに広めの防音室を考えている方にはお得な場合もあるのでしっかり紹介していきますね。
費用は広さや防音性能によって100万円〜400万円ほど。
3-1 防音工事の防音効果は?
一般的な施工法で作られる防音室の防音効果はおよそDr30〜40ほど。
実はこれは簡易防音室であるアビテックスやナサールとほぼ同じ数値です。
もちろん高い防音性能をもつ防音室を作ってもらうことは出来ますが、「防音工事だから簡易防音室より性能がいい」というわけではないんですね。
むしろ同じDr値で比べると「部屋としての防音性能」は簡易防音室の方が高くなるでしょう。
簡易防音室と違って防音工事は「工務店さんの腕前」によって完成度や防音効果が大きく異なるものなので、工事の依頼先はどうか慎重に選んで下さい。
3-2 防音工事のメリットは?
自宅の防音を考えるうえで、防音工事ならではのメリットは「自由に部屋を作っていけること」と「最高の音環境を目指せること」だと思います。
例えば一言で防音室が欲しいとは言ってもその理由は「アコギの練習がしたい」「オペラ系の歌が歌いたい」「ピアノを弾きたい」「ドラムを叩きたい」「スピーカーを使ってシアタールームを作りたい」「レコーディングルームが欲しい」など人によって違いますよね。
本来ならこれらの目的1つ1つに合わせて「どれくらい室内で音を響かせるのが良いのか」や、さらに言うと「どんな部屋の形が良いのか」も変わってきます。
簡易防音室は良くも悪くも「仕様が統一化されている」ので、多少のオプション変更は出来ても本当に満足いくまで音響を突き詰めたい方にとっては限界のあるものなんですね。
専門家の方にとことん自分の要望を伝えて、色々な提案や話が聞けるというのは防音工事の大きなメリットだと言えるでしょう。
また、部屋の形や内装なども皆さんの思い通りに相談しながら進めてくれるので、部屋の見た目や照明、雰囲気などを自由に決めていけるというのも嬉しいポイントです。
3-3 防音工事の費用の目安は?

防音工事の費用はおおよそですが上の表くらいが目安だと思います。
※金額は実際に工事された方や値段を公表している工務店さんなどからの情報を元にして書かせていただきました。
ちなみに簡易防音室としてご紹介した「アビテックス」「ナサール」についてはオーダーですが4.5畳以上にも対応しているので参考として並べておきますね。
アビテックスは簡易ユニットタイプではなく据え置き型でサイズは30畳まで、ナサールは4.5畳以上でも簡易ユニット式ですが柱の位置などに応じて自由に変形が可能でサイズは10畳までです。
4.自作防音室

こちらも最近増えているのが普通の人・素人による「自作の防音室」です。
防音室を自作している方を見ているとほとんどの方の作成理由は「作ったほうが安いから」というもの。
田村自身も防音室を自作しているのですが、その1番の理由はやはりこれでした。
費用は人によって2万円〜20万円ほど。
4-1 自作防音室の防音効果は?
防音室を自作する場合は設計から材料選びまで全て自分でやるということなので、「防音室」と呼べるレベルのものができる保証はどこにもありません。
つまり頑張ってもDrが10に満たないようなものが出来てしまう可能性は十分にあるということです。
田村自身も防音室を自作していますが、実際の効果は防音室内で「うるさくて早く出たい」くらいの音量で流した音楽CDが防音室の外では話し声より小さくなるくらいです。
測定器を持っていないのですがDrになおすと20前後でしょうか。
※音楽の再生には小さなスピーカーアンプで低音もある程度しっかり出るものを使用。
さらにこれに加えて部屋のドアにも簡単な防音対策をした結果、廊下に漏れるCD音はドアに近づいてかなり耳を澄ませないと気づかないレベルまで小さくなりました。
4-2 誰でも自作出来るの?
本音を言うと防音室の自作は誰にでもおすすめできるものではありません。
まず防音室の費用ですが、材料費だけをみるとたしかに安上がりです。
しかし、実際には下調べや設計、組み立てにもかなりの時間と労力がかかるので、その過程も楽しめるような人でなければそもそも損をしてしまうと思います。
また、ネット上にある自作防音室には良いものもある反面、失礼ながら「これはほとんど防音効果がないだろうな」と感じるものや「実際には使えないだろうな」というものも沢山あります。
あとでいくつか田村視点での良い例・注意して欲しい例を紹介しますが、つまり失敗すると費用に関係なく「全く効果のないただの囲い」になってしまうリスクがあるということ。
DIY(日曜大工)や工作が元から大好きだという方以外はあまり考えないのが近道かもしれませんよ。
4-3 参考になる自作防音室の例
実際に防音室を自作した方の作品をいくつか紹介しておきます。
登場する防音材についてわからないことがありましたら「ホームセンターで手に入る防音材とその特徴 |100均・通販情報も」という記事をご覧ください。
「SONARの使い方」さん /小さめでシンプル

費用:3万円〜
サイズ:90×90×180cm
遮音材:MDFボード
吸音材:ウレタン(マット)
柱:なし(戸当たりのみ)
「SONARの使い方」さんの作品ページへ
構造と解説
まずは、もっともシンプルとも言える「板で四角く囲って吸音材を貼り付ける」という構造で防音室を自作しているのが「SONARの使い方」さんのサイト。
柱は戸当たり以外一切使用せず、MDFボード(合板のようなもの)同士の固定は木工ボンドとL字金具2つずつというお手軽設計です。
吸音材は節約のためにマットレスの中身を抜き取って使用したそうです。
おそらく人1人が立って歌えるボーカルブースを作る上でこれ以上安くて簡単な仕組みのものはないでしょう。
強度面にやや難があり、サイズも90×90cmが限界なのでギターなど楽器類の練習は厳しいですが、シンプルで作りやすい自作防音室です。
田村が防音室を自作する前にもこのページを拝見して、「90×90cmなら柱なしでも出来るのか」と衝撃を受けた記憶があります。
「たむすぎたー」(このサイト) /広めでシンプル

費用:2万7千円〜
サイズ:140×140×150cm
遮音材:針葉樹合板
吸音材:グラスウール
柱:あり
防音室を自作した際のまとめページへ
構造と解説
お次は田村がギターの練習やレコーディング用に自作した防音室。
柱で簡単な枠組みを作って外側に木の板、内側に薄いプラスチックダンボールを貼り付け、その間にグラスウールを詰めてあります。
(本当は内壁を有孔ボードや薄い木の板にしたかったんですが予算の都合で断念しました)
柱を使う分やや難易度が高いですが、DIY素人が作る広めの防音室としてはかなり簡単で低予算だと言えるでしょう。
ギターを座って弾ければいい、とにかく安く、なるべく部屋は圧迫せずに、と考えているとこの構造とサイズに落ち着きました。
「こおろぎさんち」さん /有孔ボードを使用

費用:6万円〜
サイズ:80×100×197cm
遮音材:ベニヤ板+遮音シート
吸音材:グラスウール+有孔ボード
柱材:あり(パネル式)
「こおろぎさんち」さんの作品ページへ
構造と解説
比較的安い自作防音室のなかでは珍しく有孔ボードを使っているのが「こおろぎさんち」さんの作品。
壁や天井などのパーツごとに枠組みを作って、外側から順にベニヤ板、遮音シート、グラスウール 、有孔ボードを取り付けてパネルを作り、そのパネル同士をつないで組み立てる構造です。
この仕組みは「防音室を移動させるときパネル同士を外すだけで済むように」というコンセプトのようですが、DIY素人にはちょっと難易度が高すぎるかもしれません。
有孔ボード本来の低音吸収や音の拡散はこのサイズ設計だとなかなか厳しそうに思えますが、遮音と吸音の仕組み的には参考になる防音室だと思います。
こちらも防音室を自作する前に拝見させていただいて、なんとか田村もパネル式で作れないかと考えた記憶があります。(お手上げでした)
注意して欲しい3つの自作防音室
個人的に「これは少し予備知識を持って読んで欲しい、安易に真似しない方が良いかもしれない」と感じた自作防音室の例も折りたたみで載せておきますね。
「house publishing」さん /ダンボール吸音

費用:10万円〜
サイズ:170×300×220cm
遮音材:コンパネ、石膏ボード、遮音シート
吸音材:ダンボール
柱材:あり
「house publishing」さんの作品ページへ
吸音材にダンボールを使って防音室を作っているのが「house publishing」さんのサイト。
きちんと柱を組んで外側に石膏ボード、内側にコンパネ(木の板)を貼ってさらに防音室の外を遮音シートですっぽり覆うという3重の遮音対策がされています。
おそらく石膏ボードとコンパネの間は柱の厚さ分の「空気層」があり、きちんと2重構造になっているようなので防音性能はなかなか高いでしょう。
ただ、一点だけ注意してほしいのが室内の吸音材をダンボールで作っていること。
記事中では1万5千円分ほどのダンボールを短冊状に切って貼り合わせパネル状にしていますが、これはとてつもなく時間と根気のいる作業です。
ダンボールは値段に対して決して吸音力の高い素材ではないので、作業の手間や防音性能だけを考えると別の吸音材を考えたほうが良いでしょう。
ちなみにこの「house publishing」さんは元々ダンボールを使って色々なものを作る活動をされているサイトで、今回の防音室づくりもダンボールを活かして挑戦されています。
効率面からは注意して欲しいですが、1人の工作好きとして「自分の好きな材料だけで作りたいものを作ってみよう」という試みに心が暖かくなりました。
防音素材としてのダンボールについては「ダンボールの防音効果を5つの面から徹底検証」という記事で紹介しています。
「SAKUMAG.」さん /クローゼットぶち抜き

費用:2万7千円〜
サイズ:70×70×200cm(目算)
遮音材:クローゼット+遮音シート
吸音材:グラスウール吸音ボード
柱材:なし
「SAKUMAG.」さんの作品ページへ
家にある備え付けのクローゼットの仕切りを外して防音ブースにしたのが「SAKUMAG.」さんのサイト。
クローゼットの壁に遮音シートをタッカーで打ち付けて吸音ボードを貼り付けています。
一見すると手軽そうですがこれに関しては様々な理由で注意して欲しいです。
まず、一般的にクローゼットというのはサイズがあまりにも狭いこと。人1人が辛うじて立てるものの身動きが取れないことも多いと思います。
次にクローゼットの壁とドアへの負荷が大きいこと。遮音シートは大変重たい素材なので、本来軽いクローゼットの扉を支える金具には荷が重すぎますし、タッカーを使用するということは壁に穴をあけるということでもあります。
また構造上、低音に関しては普通に室内で音を出すとき以上に隣の部屋に響いてしまう可能性が高いです。
実は田村自身も同じ発想でクローゼットに入ってみたことがあるのですが、通常のマンションなどで安易に真似はしないほうがいいかもしれません。
「漢の防音室DIY」さん /防音パネル

費用:15万円(?)〜
サイズ:180×90×180cm
遮音材:なし
吸音材:防音パネル
柱材:パネルのジョイントパーツ
「漢の防音室DIY」さんの作品ページへ
防音用のパネルを組み合わせて防音ブースにしたのが「漢の防音室DIY」さんのサイト。
自社の防音パネルと専用のジョイントを使って制作したようです。
この自作防音室で注意して見て欲しいのは、どれだけ安く見積もっても15万円をゆうに超えると予想されること。
アイディアは面白いと思うんですが組み立て方や費用の面から、参考にする場合のカテゴリーは「楽しむ・節約するという意味での自作防音室」よりも「ベリークなどのような既製品」に近いかもしれません。
5.完全な防音室?「無響室」とは

これは少しおまけ的な内容ですが「無響室(むきょうしつ)」という防音室を知っていますか?
無響室とは壁にたくさんの吸音材を使うことで「音の反射・反響を限りなくゼロにした防音室」のこと。
詳しい説明はまたの機会にしますが、無響室では「吸音材自体が跳ね返してしまう音」すら出さないために、吸音材を「溝の深い楔形」に組みます。
もちろん外からの音も一切入らないように外の遮音壁はどっしり作られていることも多いので、ある意味ではまさに「完璧な防音室」と言えますよね。
ところが、実は無響室は本来「音響実験」に使うためのもので、楽器の練習や音楽鑑賞、集中するための勉強部屋などには全く向いていないんです。
一切の音が跳ね返ってこない「静かすぎる空間」というのは実は人にとって不自然で大きなストレスになってしまうものなので、無響室は「面白い防音室」程度に知っておいて下さい。
ちなみに写真の無響室はヘッドホンやイヤホンで有名な日本の音響機器メーカー「audio-technica(オーディオテクニカ)」(福井事業所)さんのもつ設備・施設紹介から「無響室使用の実例」として引用させていただきました。私たちが日ごろ「良い音」に触れることができるのは純粋な音だけで測定を行える無響室と技術者の方のおかげなのかもしれませんね。
6.その他の簡単な防音対策
ここまで読んできて、「自分には防音は無理かもしれない」と感じてしまった方もいらっしゃると思います。
しかし、防音についての悩みはなにもきちっとした防音室でしか解決できないわけではありません。
例えばちょっとしたドアの防音対策などは比較的簡単で安くて済みますし、防音関係では「顔だけ中に入れて歌う防音ブース」のような思いもよらないアイディア商品が売られていることもあります。
ここではそんなちょっと手軽な防音対策を紹介しておきますね。
簡単なドアの防音対策
自分でするドアの防音は防音対策の中でもかなり安くて簡単に出来、効果も大きいです。
その方法はもともと空いているドア周りの隙間を専用のテープやゴムで埋めてやることだけ。
もちろん二重ドアなどに比べれば小さな効果でしかないですが、これだけで「音の筒抜け感」はずいぶんとマシになります。
簡易防音室の効果を高めるためにも有効なので、よければぜひお試しください。
・ドアの隙間を防音テープとゴムで埋める方法 |音漏れ・エアコンに
アコギ(歌)の練習場所と防音対策
以前アコギ弾きの方のために書いた防音系の記事をいくつかご紹介します。
練習場所についてはアコギに限らず活用できますのでよければ参考にしてください。
・アコギの練習場所と環境。その利用方法や注意点について。
・アコギの消音で、練習の音を小さくする方法
防音のアイディア商品
最後は王道なものからちょっと面白いものまで、手軽な防音グッズをいくつか紹介しておきます。
・防音イヤーマフ、耳栓
周りの音を聞きたくないときや集中したいときに王道なのが防音仕様のイヤーマフ(ヘッドフォンのような形のもの)や耳栓ですね。
耳栓で30dB、イヤーマフで34dBもの遮音効果があります。
・消音マイク
正式名称ではありませんが、口に当てて歌うことで声を小さくすることが出来る道具。
同系列の中ではウタエットという商品が定番で79dBの歌声を68dBにする効果があるようです。
・ISOVOX
非常に特殊ですが頭だけを中に入れてレコーディングをするための小さな防音ブースです。
※Amazonでは現在売り切れ状態で再入荷の予定がわからないようです。
・防音カーテン、カーペット
こちらも定番ですが、防音のカーテンやカーペットも騒音対策に一定の効果があります。
とくに下の階への足音対策としてのカーペットはとても効果が高いです。
防音カーテンに低音を防ぐような防音効果はないものの、あるとないとではかなり音の印象が変わるでしょう。