すり合わせ作業の様子① |準備〜レベリングまで

メンテナンス

この記事は田村が行なったすり合わせ作業の様子をお伝えする記事の前半です。

今回はネック調整が終わった後のすり合わせの下準備からレベリングまでの作業工程をご紹介します。

※「自分ですり合わせる」ということについての手順や説明、注意点、必要な道具やネック調整などについては「ギターのフレットを自分ですり合わせた方法 |予算2000円」をご覧ください。

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1.作業場所を作る

さて、初心者の方にとっては第一関門のネック調整が終わったらいよいよすり合わせをするための作業環境を整えていきます。

まずはフレットを削ったときに出る鉄粉が床や机に飛び散ってしまわないようにギターの下に新聞紙を敷いておきましょう。
写真では床でやっていますが、大きくて作業しやすい机などがあれば机の上でも構いません。

このとき、真っ平らな面にギターを置くのはあまり良くなく、すり合わせ中にネックに負担をかけてしまうことになるので、ネックの下にはクッションを噛ませておいてください。
田村の場合は部屋にあったティッシュケースとクロスを使っています。

2.ギターのマスキングと保護

次はすり合わせ作業でギターが傷ついたり汚れたりしないようにマスキングなどの保護対策をしていきます。

①指板のマスキング

まずは指板を鉄粉と傷から守るためにマスキングテープをぴったり貼って丁寧に保護していきましょう。
幅の広いlowフレットは2枚を重ねて、幅の狭いhighフレットはマスキングテープを半分に割いて、隙間なく貼りました。

ここで田村の反省点なんですが、マスキングテープはあらかじめ

・1フレットを2枚でカバー出来る幅のもの
・1番細い最終フレットより少し狭い幅のもの

の2種類を用意しておくとテープを縦に割く手間が省けるので作業がスムーズです。

②ナットは外すか保護する

ギターの「ナット」はすり合わせのとき邪魔になるので、外せる方は外してしまいましょう。
田村の場合は途中まで忘れていたんですが、外せそうにない場合はここも保護しておいてください。実際に作業した感想としてはナットは断然外しておいた方がいいです。

③アコギの場合

アコギの場合は鉄粉がサウンドホールの中に入ってしまうので、紙を貼るかサウンドホールカバーをしたりして塞いでおいてくださいね。
実際、すり合わせでは結構この辺りにも鉄粉が落ちます。

3.フレット面取り用のマーキング

次はマジックペンを使って面取り用のマーキングをしていきます。

この作業はフレットの上側をマジックペンで黒く塗っておくことで面取りの際に「どこを削ってどこが削れていないか」をはっきりさせるための作業。

例えばフレットが削れて溝が深くなってしまっている部分はすり合わせても最後まで削れないので、そこだけに黒色が残ることになりますよね。
逆に言えばフレットの黒い部分(=低くなった部分)がなくなればすり合わせ完了ということ。

面取り用のマーキングはフレットの削り幅を最低限に抑えるためのとても大切な目印なので、全てのフレット上面を丁寧に黒塗りしておきましょう。

4.ヤスリの準備

次はフレットのすり合わせ(レベリング)や磨き上げなどで使うメインのヤスリを準備します。

まず、すり合わせ作業で最初に使うのは1番荒い目の紙やすり(ここでは320番)なので、これを適当な大きさにちぎって木のブロックに貼り付けます。
専用の道具で言うと「フレットレベリングファイル(レベラー)」の代用に当たります。

ハサミを使うと刃を傷めてしまうので、数回折り目をつけて「割る」ようなイメージでちぎってください。

このときの反省点として、紙やすりは「もともと裏側が両面テープになったもの」が良いです。
とくにナットを外していない方はテープが邪魔で1フレットを削りにくくなってしまうので、両面テープ付きの紙やすりを使うかテープを貼る幅を狭くしておきましょう。

5.すり合わせ(レベリング)

それではいよいよフレットを均一に削るすり合わせ(レベリング)の作業に入っていきます。
320番の紙やすり、もしくはフレットレベラーを使ってフレットの凸凹がほぼ完全に消えるまですり合わせていきましょう。

すり合わせでのヤスリがけのコツは、フレットの上にブロックを軽くおくようなイメージで押し当て、ネックに沿って大きく動かすことです。
ヤスリを動かす幅が短すぎると同じ部分だけが削れてしまうので要注意ですよ。

試しに恐る恐るゆっくり2〜3往復させてみた様子。
田村の場合は削れてしまっていた2弦1フレットと3フレットが黒っぽく残っていますね。
逆に他の部分はたったこれだけで結構マジックが剥がれていました。

1フレットから最終フレットまでを万遍なく削れるようにヤスリを大きく動かしましょう。

5分ほどすり合わせた様子。
3フレットの窪みは早くも薄くなってきていますね。

田村が感じたコツとしては「決して急いで削ろうとしない」こと。
無理に力を入れたりスピードを速めたりしなくても十分削れるので、フレットにそっと触れるくらいの力加減で丁寧に進めていきましょう。

田村の場合は「ナット」をつけたままで作業していたことと紙やすりをテープで貼っていたことが災いして、そのままでは1フレットのヤスリがけが少なくなってしまう気がしたので、途中でヤスリの向きを変えたりしながらすり合わせていきました。

※向きを変える場合でも「部分的に削る」ようなことはしない方が良いと思います。

さらに5分後の様子。

3フレットの溝はもうほとんど分からないくらいまで薄くなっています。
たまに定規を当てて均一に削れているかも確認しながら、慎重に丁寧に進めていきます。

開始から30分ほどで何箇所かマスキングテープが剥がれてきてしまった様子。

剥がれてしまったところを上から補修していきます。
このとき、ヤスリをもっと大きく動かせるようにナット部分にもマスキングテープを貼っておきました。
(ナットは外すのがおすすめですが、つけたままでする方は初めからマスキングテープで保護しておきましょう。)

同じく開始30分後のフレットの様子。

3フレットの溝は完全に消え、1フレットもマジックペンが残っているのは細い溝だけになってきました。
この辺りからフレットの均一さを高めるために、ヤスリをフレットと平行に動かしたりもしています。

開始40分後の様子。

1フレットの溝に残っていたマジックペンもほぼ消えたので、320番のヤスリによるすり合わせ・レベリングはひとまずここまでで次に進みましょう。
※600番のヤスリも使う方はこの段階で「本当にうっすら面取り用のマジックペンが残っている」くらいにとどめておくと余分な削りすぎを防げます。

6.フレットの傷消しと磨き上げ

さて、ここからは320番のヤスリで出来たフレット上面の傷を600番〜2000番のヤスリを使って滑らかに磨いていく作業です。

320番

まずは現在(320番のレベリング後)のフレットの拡大図。
金属っぽい光沢はありますが、拡大してみると表面に傷があったり角がギザギザしていますね。

②600番

320番のヤスリを600番のヤスリに付け替えて作業をしていきます。
やることは先ほどの「レベリング」でやったことと全く同じなので、ヤスリ付きのブロックを使ってフレット表面を均一に磨いていって下さい。

ただし、320番ほどではないにしても600番はまだまだ「フレットを削る」能力が高いので、削りすぎないように注意しながら丁寧に作業する必要があります。

600番のヤスリで5分ほどすり合わせた様子。
1フレットの溝ももうよく見ないと分からないくらいになりましたね。

別の角度からの様子。

写真が少し分かりにくいですが、320番と比べて少し滑らかになっています。
ギザギザ感はまだ残っていますが、ここで1000番のヤスリに進むことにしましょう。

※ここからの内容は、今思い返せば作業後半の「フレットの角を丸く削る作業」が終わった後でもう一度する磨き上げと役割が重なってしまうので、ここではスキップしても大丈夫だと思います。この赤枠内の内容が省略できる作業に当たりますので参考程度にご覧ください。

 

 

③1000番

1000番になってくると「フレットを削る力」もかなり落ちてくるので少し気が楽です。
もう大きく均一が崩れる心配はないと思いますが、油断せずに丁寧にすり合わせて行きましょう。

5分ほどすり合わせた様子。

やはり写真では見にくいですが、フレットの金属光沢がだんだん綺麗になっていっているのが分かるでしょうか。
フレットの淵がまだギザギザしていますが、この「角」に当たる部分は後で別の処理をするので安心して下さい。
次の1500番に進みます。

④1500番

1500番のヤスリにはもうほとんどフレットを削る力はありません。
ここからは「フレットを磨く」ようなイメージですり合わせていきます。

5分後の様子。
目で見える傷がほとんどなくなりましたね。
拡大すると既にかなり金属光沢があるのが分かります。

⑤2000番

2000番は紙やすりとしては仕上げ用の細かさです。

5分後の様子。
表面だけ見ればもうこれで完成でも良さそうなくらいツルツルに見えますね。

紙やすりでの「すり合わせ・レベリング」作業はここでひと段落ですが、よく見るとフレットの角が四角く尖っている上に、その部分にはまだギザギザが少し残っていますよね。
次はこの「フレットの角を丸くする作業」に入っていきましょう。

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すり合わせ作業の様子② |フレットの角を丸く削る〜仕上げ

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