2018年9月10日

エレアコのピックアップの種類・特徴・選び方を徹底解説

楽器屋さんでエレアコを探していると「〇〇ピックアップ搭載」という紹介文をよく見かけるけど、今一よく分からないな…

きっとそんなふうに思ったことがある方って少なくないですよね。

実はエレアコのピックアップはエレアコ自体の音質を大きく左右するとても大切な装置なんです。
例えばアコギの生音がボディの木材や構造によって大きく変わるように、エレアコの音には明らかにピックアップの種類による音の特徴が出てきます。

今回は、そんなピックアップについて基本からそれぞれの特徴まで詳しく見ていきましょう。


スポンサーリンク

1.ピックアップとは?

ピックアップとはエレアコの中に取り付けてある小さな集音装置のこと。

簡単に言えば、ピックアップというのはアコギの音を拾ってスピーカーに送ってくれる「小型マイク」のような役割をしています。

エレアコのピックアップは大きく分けると

・ピエゾピックアップ
・マグネティックピックアップ
・コンデンサーマイク
・デュアルピックアップ

の4種類に分けられます。

音の個性はピックアップの種類によって大きく違いますが、多くのエレアコに積んであるピックアップは「ピエゾピックアップ」で、その次に「マグネティックピックアップ」が定番・スタンダードなので、試奏などのときにはその2つを基準にして考えるのが良いでしょう。

「コンデンサーマイク」と「デュアルピックアップ」はオプション的な要素が強く、少し値段の高い上位モデルのエレアコに関係して来ることが多いです。

さて、ここからはそれぞれのピックアップの仕組みや、音の特徴の違い、使い勝手などを順番に見ていきましょう。


2.ピックアップの仕組みと種類

田村は以前「エレアコって?仕組み・使い方・メーカー・選び方などを徹底‪解説‬」という記事の中で「普通のマイクとピックアップの仕組みは少し違う」というお話をしたことがあります。

例えば普段私たちが使っているマイクは、声(=空気の振動)をキャッチしてスピーカーに送ってくれる道具ですよね。
ところが、エレアコのピックアップの場合は、空気だけでなくて「板の振動」や「弦の振動」を直接音としてスピーカーから出すことも出来るんです。

そして実は、エレアコのピックアップはこの「音の拾い方」によって下のような3種類(+1種類)に分けられています。

1.ピエゾピックアップ式
「ボディの表板の振動」を音として感知するセンサーが入っているタイプ。
コンタクトとインブリッジという2つの取り付け方がある。
明るく力強い音で、多くのエレアコに採用されていて人気も高い定番ピックアップ。

2.マグネティックピックアップ式
サウンドホール部分に「弦の振動」を音として拾うセンサーが付いているタイプ。
集音はエレキギターと同じ仕組み。
音が少しパキパキしやすいものの安く手軽で、ピエゾタイプに次いで人気のピックアップ。

3.コンデンサーマイク式
ボディの中に「空気の振動」を拾うとても小さなマイクが入っているタイプ。
一般的なマイクとほぼ同じ集音方法。
自然な響きを出せるものの音がこもりがちなため、他のピックアップと合わせて使うことが多い。

デュアルピックアップ
上の3種類のピックアップから2つ以上を組み合わせてあるタイプ。
高級モデル・上位モデルのエレアコに多い。
それぞれのピックアップの短所長所をうまくカバー出来ることが多く、音がよりリアル。

少しわかりにくいかもしれませんが、簡単に言えばそれぞれ「ボディ板の振動」、「弦の振動」、「ボディ内の空気の振動」を感じ取って音に変換しているということ。

そして「デュアルピックアップ」とは、その中から2種類のピックアップを組み合わせたもののことです。

3種類のピックアップはそれぞれ全く音の捉え方が違うので、音の個性も大きく違ってきます。
ここからはそれぞれのピックアップごとに音の特徴と使い勝手を紹介していきますね。


3.ピエゾピックアップ

ピエゾとはボディの振動を感知して音に変えるタイプのピックアップのこと。
基本的には表板の裏側、もしくはブリッジの下に取り付けられることが多いです。

ピエゾタイプのピックアップはボディ鳴りの鮮明で明るい音が出せる反面、本物のアコギと比べるとやや硬めの音になりやすいという特徴があります。

生音と比べれば「やや作り物っぽい」音ではありますが、表現力も使い勝手も比較的高く、エレアコでは定番とも言えるピックアップです。

ところで、ピエゾピックアップは実は取り付け位置によって「コンタクトピエゾ」と「インブリッジピエゾ」という2つの名前があります。
これによって音の特徴もかなり変わってくるので、簡単に紹介しておきますね。


3-1 コンタクトピエゾ

平べったい形のピエゾピックアップを表板の裏側にペタッと貼り付けてあるもの。
ただ単に「ピエゾピックアップ」と言われた場合、この「コンタクトピエゾ」である場合が多いです。

後で紹介するインブリッジと比べて響きが自然で柔らかく、温かみのある音がします。
自分でアコギに貼り付けてエレアコ化することも出来ますし、貼り付け位置によってかなり音の印象を変えられるのが面白いです。

コンタクトタイプでは基本的に2箇所に貼り付けたピエゾピックアップの音を混ぜてあるエレアコが多いです。
またインブリッジとコンタクトを両方取り付けたタイプもあります。


3-2 インブリッジピエゾ

ピエゾピックアップをエレアコのブリッジ(サドルの下)に埋め込んであるもの。

コンタクトタイプのエレアコより音がきらびやかで音抜けもいいですが、音色は固くなってしまいます。
インブリッジピエゾの取り付けは自分ではなかなかできないので、リペア工房などで依頼するか出来合いのエレアコを買いましょう。

単一でインブリッジピエゾだけを使ったエレアコは珍しく、コンタクトピエゾと合わせることで音色を柔らかくしてあるものが多いです。


3-3 単一ピエゾは色々な方におすすめ

初めてエレアコを買う、幅広いジャンルで使いたい、値段も安い方がいいという方には、圧倒的にピエゾ式のエレアコをおすすめします。

理由としてはまず、ピエゾピックアップは「ハウリング」と呼ばれるノイズにある程度強く、バンドでの音抜けと鮮明さがずば抜けて良いから。
ドラム有りのバンドライブなどで、きちんとアコギのアタック音や実音を表現したいのであればピエゾ一択と言っても過言では有りません。

さらに、ピエゾタイプは使い方によってはアコギのレコーディングでも大きな力を発揮してくれます。(ボディ音に特化した録音、レコーディングマイクとのミックス、ホワイトノイズが少ないなど)

ポップやロックバンドでエレアコを使いたいと言う方はぜひピエゾピックアップを検討してみてみましょう。


4.マグネティックピックアップ

マグネティックピックアップはエレキギターにも使われていて、弦の揺れを磁気で捉えて直接音として拾うピックアップのこと。

アコギらしいボディ鳴りや響感を拾うのは苦手ですが、弦の揺れから繊細なニュアンスを表現することができます。
また取り付けが簡単で価格も低めなので、自分でアコギに取り付けて試してみるには手軽なピックアップでもあります。


単一マグネティックはおすすめ出来ない

単一のマグネティックピックアップをおすすめしないのは「アコギ」である意味が薄れてしまうから。

というのも、弦の振動にはボディの響きが大きくは反映されないので、結果「アコギっぽい音と響き」をかなり失ってしまうことになるんです。
なので、マグネティックピックアップだけでアコギ本来の美しい鳴りや響きを表現するのは少し難しいと言えるでしょう。

自分でアコギに取り付けてみるならまだしも、新たにエレアコとして買うほどのものではないと田村は思っています。

また、マグネティックピックアップだけが搭載されて売られているエレアコは、ただのアコギとしても良くないレベルのものが多いのもおすすめできない理由の1つ。

※もちろん、マグネティックピックアップ自体は立派なピックアップなので、そのレベルやアコギ本体のレベルは一概には言えませんが、マグネティックピックアップ単一のエレアコは作り自体が粗雑になりがちな気がします。
ただ最近ではマグネティックらしくない綺麗な音のエレアコも見かけるため、気になったらぜひ試奏してみてくださいね。


5.コンデンサーマイク

コンデンサーマイクとは音楽において様々な場面で使われる高性能なマイクのこと。
通常のマイクと同様に「空気音」をピックアップします。

コンデンサーマイクを使ったピックアップはエレアコ内で響いている「音自体」を拾うことができるので、音の響き方がとてもリアルです。
※このアコギ独特の響き感のことを、エレアコではよく「空気感」という言葉で表現します。

ただし、コンデンサーマイクが拾う音は「普段聴くアコギの音」(=ボディの外の音)ではなくボディの中の音なので、実は実際の生音より少し音がこもりがちになってしまうという特徴があります。

基本的にコンデンサーマイクだけを積んだエレアコというのは非常に少ないですが、その理由は「ハウリングに弱く大きな音を出せない」ことにあります。
他のピックアップと合わせて使う場合にも、音にリアルな空気感を持たせる目的で小さめにミックスされることが多いです。


単一コンデンサーマイクはおすすめ出来ない

ソロギターなどの静かな演奏の場合、一見コンデンサーマイク単一のエレアコでも良さそうなんですが、田村としてはあまりお勧めできません。

理由は「そもそもコンデンサーマイクだけをアコギ内部に入れるメリットが分からない」から。

もちろん、コンデンサーマイクそのものはアコギの空気感を表現できる素晴らしいピックアップです。
しかし、あえてアコギ内部に専用マイクを入れなくても、サウンドホールの前にマイクスタンドを立ててやれば、変にこもることのない綺麗な音を拾ってくれるんです。

また現実的にはハウリングの影響で、コンデンサーマイクだけ積んだエレアコをバンド演奏や大きな会場での演奏に使うのは難しいと言えるでしょう。

なので、コンデンサーマイクタイプ(単一)は「iRigなどの後付けマイクを使いたい」などの場合に初めて検討するくらいで良いかと思います。

※iRig :楽器演奏や録音を補助する商品のシリーズで、iRig-Acousticはサウンドホールに取り付けるクリップマイクです。また機会があれば詳しく紹介しますね。



6.デュアルピックアップ

少し珍しいですが最近増えてきていて、とくにソロギターやレコーディング(DTMなど)をされる方に人気なのがデュアルタイプ、つまり2種類のピックアップを搭載したエレアコです。

どのピックアップをどんな音量バランスでブレンドするかは皆さん次第ですが、簡単に言えばデュアルタイプはそれぞれのピックアップ同士の良いとこ取りをしようというもの。
ここまでに紹介した3つのピックアップから特徴の違う音をまぜて出せるので、単一のものと比べると表現力が高く、より生音っぽいアコギらしい音がします。


例えば、コンデンサーマイクとピエゾを両方積んでいるようなタイプだと、ピエゾの綺麗で力強いボディ鳴りに対して、コンデンサーマイクの自然な響きをミックスしたりするということが可能になるんです。
日本ではまだマイナーですが、Maton(メイトン)、Cole Clark(コールクラーク)などのメーカーがこの「ピエゾ+コンデンサーマイク」のデュアルピックアップでエレアコを作っています。

また、日本のメーカーで言えば、Takamine(タカミネ)のエレアコにも「ピエゾ+マグネティック」のデュアルピックアップのものがあります。
この場合は弦の自然な表現とアコギっぽいボディ鳴りのミックスというイメージでしょうか?

デュアルタイプは、一種類のピックアップではどうしても欠けてしまう表現力の補完ができるため、こだわり抜いてエレアコを選びたい場合はデュアルタイプ(もしくはカスタム)を視野に入れても良いと思います。

音を混ぜるバランスは自分で調節できるので、音作りも格段にしやすいです。
※コツや慣れが必要という意味で初心者の方には難しい

ただし、デュアルピックアップ式のものは上位機種が多く、値段もかなり上がってくるので慎重に検討するようにしてください。


デュアルピックアップはどんな人におすすめ?

さて、デュアルピックアップタイプは見ての通り素晴らしいエレアコですが、田村は誰にでもはおすすめしません。
というのも、基本的に値段が10万円を超えてくるので、軽い気持ちですすめるには高すぎるからです。

例えばエレアコの値段として10万円〜30万円と言う値段は、これからギターを始めたい人やまだギターのことがよく分からない人がパッと手を出せる金額じゃないですよね。

でも、趣味として本気でエレアコのソロギターをやりたい、生涯を通してエレアコを楽しみたいと思っている方はぜひデュアルピックアップのエレアコも検討してみて下さい。
やはり「アコギとしての音の良さ」や「表現力の高さ」は頭1つ飛び抜けています。

またラインサウンドがきれいなのでレコーディング、DTMなどに興味がある方にもかなりおすすめです。

田村が現在使っているのはピエゾ単一のエレアコですが、田村もいつかはピエゾとコンデンサーマイクのデュアルにも手を出してみたいものです。


7.それぞれのメーカーが得意なピックアップ

さて、ピックアップの種類についておおよそのことが分かったところで、次はどのメーカーがどのピックアップを得意としているのかも簡単にまとめてご紹介しておきますね。


7-1 ピエゾタイプが得意

YAMAHA(ヤマハ)
Yairi(ヤイリ)
Takamine(タカミネ)
Taylor(テイラー)
Morris(モーリス)
Martin(マーチン)
Gibson(ギブソン)
Fender(フェンダー)
Epiphone(エピフォン)

ほとんどのメーカーはここに入ります。
最近ではデフォルトで「マグネティック単一」を売り出すメーカーがほとんどないため、デュアルや後付けでない場合は基本的にこのピエゾメーカーから探すことになるでしょう。


7-2 マグネティックタイプが得意

FishMan(フィッシュマン)

フィッシュマンは実はエレアコメーカーではなく「ピックアップ自体」のメーカーですが、エレアコでよく見かけるマグネティックピックアップ(単一)はフィッシュマン製の後付けタイプである場合が多いため紹介しておきます。
アコギメーカーでもフィッシュマンを標準搭載したエレアコを作っていることもあるくらいで、ピックアップメーカーとしてはかなり有名です。

コンデンサーマイク付き(デュアル)など色々なタイプがあるので、アコギへのピックアップ後付けを考えている方は第1候補として考えてもいいメーカーです。



7-3 デュアルタイプが得意

Maton(メイトン)
Cole Clark(コールクラーク)

デュアルピックアップのエレアコを扱うメーカーは増えていますが、どっしりメーカーの主軸として「ピエゾ+コンデンサー」タイプのデュアルピックアップを扱っているという意味ではやはりこの2つが有名です。
どちらもオーストリアのメーカーで、とてもナチュラルなアコギサウンドを出せることで有名ですが、その分値段も高いことが難点だと言えます。

最近では「ピエゾ+マグネティック」タイプのデュアルピックアップであれば色々なメーカーから安く出ていますが、「本物のアコギっぽさ」という面ではやはり「ピエゾ+コンデンサー」とは程遠いものがあります。


7-4 それぞれのメーカーの特徴は?

さて、ざっくりとしたメーカーの紹介になりましたが、ほとんどは「ピエゾ」に割り振ってしまったのでメーカーごとの違いはイマイチよく分かりませんよね。

ここで登場したそれぞれのメーカーの特徴は「エレアコのメーカーごとの値段・特徴・使い勝手を徹底比較」という記事で詳しく説明しているので、興味がある方はぜひそちらも合わせてどうぞ。


まとめ

普通のアコギとエレアコの一番大きな違いとして、この「ピックアップ」がある程度しっかりしたものでなければ全くいい音が出せないということがあります。
つまりエレアコの場合、生音だけがいくらきれいでもダメということ。

よくわからない場合はピエゾタイプのものを選んでおけばある程度間違いありませんが、とくにデュアルタイプを考えている方はしっかりと自分の使用用途にあったピックアップを選んで下さいね。


スポンサーリンク
広告と関連記事(by google)

関連記事・まとめ記事

この記事についての関連記事と、まとめ記事、カテゴリーページへのリンクです。

関連記事

エレアコのメーカーごとの値段・特徴・使い勝手を徹底比較
エレアコ弾きに知ってほしいハウリングの原因と対策
エレアコのDIの役割と使い方
エレアコに使う電池の役割とアルカリ・マンガンの違い

まとめ記事

エレアコって?仕組み・使い方・メーカー・選び方などを徹底‪解説‬

カテゴリー

アコギ・エレアコについて