エレアコってどこのメーカーが良くてどんな特徴なの?
一言でエレアコメーカーとは言っても、本当にたくさんのメーカーがあるので、特徴を調べたり自分の好きなメーカーを探すのはとても大変ですよね。
「楽器屋さんで試奏しようにも、予備知識がなさすぎる」という方もきっと多いと思います。
そこで今回は、田村が実際に試奏させていただいて感じた各メーカーの特徴や、基本的な評価や価格帯、それぞれのメーカーの入門モデル・定番モデルのエレアコなどについて詳しくご紹介します。
主要なエレアコメーカーの一覧
・日本(国産)メーカー
YAMAHA(ヤマハ)
Yairi(ヤイリ)
Takamine(タカミネ)
Morris(モーリス)
・海外メーカー
Taylor(テイラー)
Maton(メイトン)
Cole Clark(コールクラーク)
Martin(マーチン)
Fender(フェンダー)
Gibson(ギブソン)
Epiphone(エピフォン)
こうして並べてみると、ある程度名の通ったエレアコメーカーだけでもかなりの数がありますよね。
海外メーカーにはまだ日本では有名とまでは言えないメーカーも含まれているので、聞き覚えのないメーカーも混ざっていると思いますが、世界的に見ればやはり有名なメーカーばかりです。
それではいよいよ実際のエレアコメーカーの特徴や値段を見ていきましょう。
また別の記事では値段、価格帯ごとにおすすめのエレアコも紹介するので、メーカーはなんとなくのイメージを持ってもらえれば十分です。
国産メーカー、海外メーカーの順番に紹介しますね。
通販サイトのギターは価格的に安いことも多いですが、ギターは木材による個体差もある楽器なので、通販サイトは口コミや評価の確認に使って、本体の購入はなるべく「楽器屋さんで試奏してから」にしましょう。
YAMAHA(ヤマハ)
ヤマハは言わずと知れた日本の楽器メーカーの1つ。
ヤマハの作る楽器や音響機器は全体的にクオリティが高いですが、エレアコでも「CPXシリーズ」など良いものを出しています。
ヤマハのギターについてとにかくよく言われる評価は「バランスのとれた音色と耐久力」が優れているということ。
頑丈で、どんなプレイにも対応できるバランスの良い音がすることから国内では人気が高いメーカーです。
ただ、マイナスの評価として「音のバランスは良いし扱いやすいが、その分メーカーとしての音の個性や魅力には欠ける」という声もあります。
たしかに、田村自身も他の海外メーカーとヤマハのエレアコを比べると、どことなく寂しさを感じることがあります。
アコギ慣れした方で、はっきりとした個性のエレアコをお探しの場合は少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
ただし、やはり音の均整が取れていて扱いやすいというのは大きな魅力ですし、エレアコ自体の癖がない分音作りのしやすさは本当に素晴らしいギターでした。
入門モデルのエレアコについてもしっかりした作りで、音の調整(EQ)がしやすく、バランスも良かったので「安くて、良いもの」を探している初心者の方にはぜひヤマハのエレアコをおすすめしたいです。
ヤマハの入門モデル(CPX600)の値段は新品で4万円弱くらいです。
K.Yairi (Kヤイリ)
ヤイリというメーカーは聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
実はヤイリギターにはK.Yairi、S.Yairiという2つのメーカーがあります。
KとSでは別のブランドで、一般に「ヤイリギター」と言えばKヤイリのことを指すことが多いです。
Kヤイリのエレアコは「温かみのある音」と「バランスのとれた美しい音」に定評があるギターです。
国産メーカーとして日本国内での人気も高く、ヤイリ好きのアコギ弾きの方もよく見かけます。
ヤマハのエレアコに比べるとやや音作りに慣れが必要そうでしたが、元の音(アコギ自体の生音)が艶のあるとても綺麗な音なので、「Kヤイリの音が好きでこのギターを選ぶ」というのもいいと思います。
また、ネックのシェイプが少し細いことから演奏性が良くて手に馴染みやすく、とても弾きやすいギターです。
楽器屋さんで10万円を切るKヤイリのエレアコ(新品)はまだ見たことがないので、入門用と呼べるモデルはないかもしれません。
新品となるとインターネット(相場より少し安い)でも10万円弱がいいところでしょう。
Takamine(タカミネ)
日本の映画の中で使われて、一時期楽器屋さんでよく宣伝されていたのがタカミネのエレアコです。
エレアコだけのイメージをする人が多いですが、実はアコギメーカーとして長い歴史を持っています。
タカミネのエレアコの音は高い音と低い音が強く出る、俗に言う「ドンシャリ」もしくは「シャリシャリ」系のサウンドのものが多い印象です。
アコギの生音が大好きな田村としては「中音域の迫力や色気が物足りない」と感じる音色でしたが、バンド内で合わせる場合の音抜けやハウリングへの耐性は良さそうなギターでした。
※生音もややドンシャリよりではあったものの、タカミネのアコギの構造と言うより、ピックアップの種類や取り付け位置によるものなのかもしれません。
ただし上位モデルはピエゾとマグネティックを合わせたデュアルピックアップになるので、これはまた全く音が違ってくると思います。
田村もタカミネのデュアルピックアップモデルは弾いたことがないので、音が気になる方はぜひ試奏させてもらってください。
タカミネのエレアコも店頭で10万円を切ることは珍しいですが、ネット上では7万円台からの販売があるようです。
Morris (モーリス)
モーリスというメーカーは海外メーカーだと思っている方も多いんですが、モーリスはモリダイラ楽器という日本の会社のギターブランドです。
知名度こそそれほど高くないですが、日本でモーリスを使っている人は意外と多く、入門モデルも値段以上のきれいな音がするギターです。
音色的には繊細さや上品さよりも、ガツンとくるしっかりした音が良く合う印象の音でした。
音作りのしやすさなどはヤマハに劣るものの、モーリスは国産メーカーの中では値段が安く、ギターの作りもしっかりしているので、実は初めてのエレアコにモーリスを選ぶ人は多いんです。
入門モデルの値段は3万円前半くらいです。
※安い入門モデルのエレアコはAmazonでの販売しかしていないようで、サウンドハウスの2万円台のものは「アコギ」なので気をつけてください。
Taylor(テイラー)
テイラーはアメリカのギターメーカーで、歴史こそそれほど長くないですが、近年のエレアコ界ではマーチンやギブソンを抜いて売り上げ1位を誇る人気メーカーです。
国内国外を問わず、エレアコ弾きで知らない人はいないと言えるほどのギターブランドですね。
テイラーの音は国産で言えばKヤイリに近く、「バランスが良く美しい」音がします。
また、テイラーが世界的に人気になった理由は「生音の美しさ」と、その「弾きやすさ」からだと言われるほどテイラーのエレアコは音が良く弾きやすいです。
テイラー社の方が言うには「女性や初心者でもアコギが嫌になってしまわないように」と言うコンセプトでボディ・ネックのシェイプを工夫し、とにかく弾きやすさを大切にしてエレアコを作っているそうです。
また入門モデルにも上位モデルと同じピックアップを採用しているので、他のエレアコメーカーと同じ値段で比べると、ラインサウンド(スピーカーから出る音)のレベルがかなり高いのも特徴。
田村は現時点での「ピエゾ単一タイプのエレアコメーカー」として、値段・性能共にトップクラスのメーカーだと思っています。
細やかなイコライズ機能はありませんが、その分機械部分はvol(音量)、high(高音)、low(
低音)とシンプルで誰でも扱いやすく、とくに調整しなくても簡単にアコギらしい良い音が出せるのも特徴。
テイラーが最近出した入門(アカデミック)モデルの値段は8万円ほど。
入門と呼ぶには少々高すぎますが、値段に対してとても質の高いギターです。
※テイラーに関してはサウンドハウスがかなり低価格でした。
Maton(メイトン)
メイトンは最近日本でも人気が出始めているオーストラリアのギターメーカーです。
メイトンのエレアコは世界トップクラス・アコギの神様とまで呼ばれるフィンガースタイルギタリスト、Tommy Emmanuel(トミーエマニュエル)が使っていることでも有名ですね。
メイトンの大きな特徴として、「基本的にオーストリア産の木で作られている」「ピエゾとコンデンサーマイクのデュアルピックアップ」「弦のテンションが低い」という3つが挙げられます。
とくに木材については他のギターメーカーと全く違ったものを使っているので、ギターの音もかなり個性が強いです。
生音はよくあるアコギに比べると穏やかで優しい印象(悪い意味ではない)で、テンションが低い分音量は出ませんが、エレアコとしての音は群を抜いてアコギらしく綺麗です。
メイトンギターはまだまだ国内の流通量が少ないですが、ピエゾとコンデンサーマイクのデュアルピックアップでエレアコを作るメーカーは今のところ少ないので、デュアルピックアップで探している方はぜひメイトンのあるお店を探してみてください。
ただ、音作りやミックスのバランスは少し難しいので、エレアコとして使いこなすにはかなり慣れが必要そうです。
メイトンは残念ながら入門モデルがないので値段は最低でも20万円を超えてしまいます。
※サウンドハウスでのメイトンギターの扱いはありませんでした。
Cole Clark(コールクラーク)
コールクラークはメイトンと同じくオーストラリアのギターメーカーです。
と言うよりも、正確に言うと元々は2つとも同じギターメーカーでしたが、途中でコールクラークがメイトンから独立したというかたちです。
なので特徴も良く似ていて、基本的にオーストリアの木だけを使って、コンデンサーマイクとピエゾのデュアルピックアップのギターを作っています。
ただ、コールクラークの場合は下位モデルのピックアップがピエゾのみになります。
弾いてみてメイトンと違った音の特徴としては、コールクラーク の方が低音感が強めなことと、高い音の成分がマイルドなこと。
メイトンに比べると柔らかな印象の音がします。
コールクラークはメイトンよりも楽器屋さんに流通しているので、こちらもぜひ探してみてください。
コールクラークも入門モデルと呼べるようなモデルは無く、値段設定は高めです。
※サウンドハウスでのコールクラークの扱いはありませんでした。
Martin(マーチン)
エレアコのシェア率が高いテイラーに対して、マーチンは「アコースティックギター」の方で圧倒的な知名度と人気を誇るギターメーカーです。
マーチンのアコギは昔から世界中でアコースティックギターの王道と評価されるほど音が美しく、田村も個人的にはアコギとしての生音が一番好きなギターメーカーです。
その音の良さはエレアコモデルにもしっかり受け継がれていて、きらびやかな高音からどっしりとした低音までの出音が繊細でとても綺麗です。
ただその分、テイラーなどと比べるとエレアコとしてややハウリングに弱い印象もあります。
弾くと欲しくなってしまいそうですが、きちんとアコギについて知りたいなら一度試奏しておいて損はないメーカーです。
マーチンも残念ながら入門モデルはなく、安くても10万円台にはなると思います。
Fender(フェンダー)
フェンダーはエレキギターの「ストラトキャスター」などのモデルでとても有名なギターメーカー。
フェンダーのエレアコはペグ(弦を巻き取る部品)が全てヘッドの片側についている見た目のシリーズもあり特徴的です。
田村はフェンダーのエレアコの試奏経験はなく、知り合いの演奏でしか見たことがないですが、音はメリハリがあってきれいな印象でした。
生音などは分かりませんが、少なくともギター作りの質は信頼できるメーカーなので気になったらぜひ試奏してみてください。
また田村も試奏させてもらえたらここに情報を追加しますね。
入門モデルの値段は3万円〜4万円弱です。
Gibson(ギブソン)
最近ギブソン社がなくなってしまうかもしれないとよく耳にしますが、ギブソンもギターメーカーとしてはとても有名なメーカーです。
(特にエレキギターで有名)
ギブソンのエレアコはどちらかといえばガツンとくるパワータイプのものが多いです。
優しく繊細な演奏というよりは力強くメリハリのある奏法の好きな人によく合うギターだと思います。
しっかりしたピッキングでのボディ鳴りがとても気持ちいいギターが多いので、パワフルにアコギを弾きこなしたい人にはおすすめです。
ギブソンも入門モデルはないですが、エピフォンという名前の廉価メーカーがあります。
※サウンドハウスはギブソンのアコギ・エレアコの扱いがかなり少ないようです。
Epiphone(エピフォン)
先程のギブソンギターの廉価版にあたるギターメーカーがエピフォンです。
エレアコからホロウギター、エレキギターまで、ギブソンのモデルを模した様々なギターが安く手に入ります。
「ギブソンの音が大好きだけど、本物には手が届かない」という人はぜひ一度試してみてください。
ただし、他のメーカーに比べて値段に対する音がいいとは思わないので、特別音が気に入ったり、ギブソンに憧れがないのであれば、田村としてはそれほどおすすめしません。
※誤解されそうですが、かく言う田村はEpiphoneのレスポール(エレキギター)を使っていますし、安くてギブソン系ギターが買えるのはとても価値があると思いますよ。
エピフォンから出ている入門モデルのエレアコはおよそ3万円ちょうどくらいです。
※サウンドハウスでのエピフォンギターの扱いはありませんでした。
メーカーからは選べない・決め手にかけるときは
さて、ある程度ギターに詳しい人だとメーカーの特徴を眺めているだけで結構楽しかったりしますが、初心者の人にとってはどれも大差なく感じてしまったり、混乱してしまうかもしれません。
そこで、「自分にあったギターを選ぶもっと簡単な指標が欲しいな」という方には「先に予算を決めてしまう」という方法がおすすめです。
この記事とは視点を変えて、価格帯ごとに田村がおすすめしたいギターメーカーやそのモデルについて「値段ごとにおすすめのエレアコと選ぶときのポイント」という記事で紹介しているので、エレアコ選びに迷ってしまったときは参考までにご覧ください。
まとめ
今回は国内・海外であるていど名前の通った11のメーカーについてのご紹介でした。
よくいろいろな場面で「百聞は一見にしかず」という言葉を耳にしますが、ギターについては本当に「弾いてみるまで分からない」と思っておいてください。
というのも、とくにアコギというのは実際に試奏させてもらうと同じメーカー・同じモデルですら1本1本の音に違いがあるものだからです。
なのでこの記事をよんで気になるメーカーが出来た方や、試してみたいことがある方はぜひ一度近くの楽器屋さんにいって、実際に自分の目、耳、手を使ってギターを試奏させてもらってくださいね。