部屋の防音対策をしたいけど、防音材ってホームセンターや、あわよくば100均でも手に入るものなの?
これって防音に悩む人なら誰もが浮かべる疑問ですよね。
防音対策というからには、とにかく遮音材、吸音材、柱材などの「防音材料」がなければ始まりません。
今回は、田村が防音室を自作したときにホームセンターの中で探した防音材と、100均や通販サイトで見つけた防音素材について、種類や値段、特徴、使い道などを詳しくご紹介します。
1.ホームセンターには防音の材料がたくさん
ここで言う「防音材」は防音専用の吸音材や遮音材はもちろん、防音に使える普通のアイテム、素材のことも指しています。
ホームセンターを歩き回ってみるとそこには家具やDIY(日曜大工)用品、防音対策専用の商品など本当に色々なものが売られていますよね。
今回はその中で、田村が「防音対策に使えそうだ」と感じた材料を、
・吸音材
・遮音材
・使えそうで使えないもの
・防音DIYとして便利な道具
の4つに分けてご紹介します。
※ホームセンターごとに取り扱い商品は違うので、ここに書いてあっても売っていない場合があります。逆に後で紹介する「通販で見つけた防音材」も置いてあるかもしれません。
2.ホームセンターの吸音材
まずはホームセンターで手に入れることが出来る吸音材について、順番に見ていきましょう。
ウレタンスポンジ

防音用の発泡ウレタンのシート。
ウレタンスポンジは吸音効果が非常に高く、吸音バランスも良いことで知られている防音材で、切り貼りなどの扱いもとても簡単です。
厚みと密度によって値段は変わってきますが、シンプルなシートタイプだと20×1000×2000mmで4000円弱くらい。
吸音材の中では高い方に入りますね。
より吸音率を高くするために表面に凹凸を付けたタイプのものは50×300×300mmあたり1600円、50×910×1820mmあたり1万円と、さらに値段は上がります。
吸音効果は高いので、防音費用の節約と合わせて考えると、部屋全体というよりは必要に応じて部分的に使っていくと良いかもしれませんね。
グラスウール

建築材として建物の保温にも使われるグラスウールのシート。
ガラス繊維でできたワタのような素材です。
ウレタンスポンジやロックウールと比べると吸音効果がやや低いものの、とにかく吸音材としてはかなり安いことが特徴です。
これも密度や厚みによって値段が変わってきますが、「10k」という密度のタイプは50×430×2880mmのシートが8枚入って3000円弱くらい。
田村のよく行くホームセンターには10kまでしか置いていませんでしたが、16k〜32kのグラスウールがあればそちらの方が吸音効果は高いです。
吸音材としてはずば抜けて安いグラスウールですが、切り貼りのときに細かいガラスの繊維が手についてチクチクしてしまうこともあるので、扱いは少し難しいです。
実際に田村が防音室の自作に使った吸音材もこのグラスウールです。
ウレタンチップ圧縮材(ミクセル)

ウレタンチップ圧縮材とは、ウレタンスポンジの破片を圧縮してシート状に再成形した吸音材のこと。
値段はウレタンスポンジより安く、吸音性や耐久力はウレタンスポンジと同程度なのでお得な素材と言えるでしょう。
見た目はカラフルであまり綺麗ではないですし、多少ウレタンスポンジのモロモロ屑が出ることもあるようですが、そこが気にならない方にはぜひおすすめしたいです。
ミクセルPUというウレタンチップ吸音材の値段は10×1200×2000mmで2000円弱でした。
カーペット・じゅうたん

一見すると防音と無関係のただの家具のようですが、カーペットやじゅうたんにはバカにできない吸音効果があります。
布団などで試してもらうと分かりますが、木の床がむき出しなのと上に柔らかい繊維質のものがあるのとでは、部屋の中の音の響き方は全く変わってきます。
手軽に吸音できますし、階下への防音性を高めたカーペットもあるので、ぜひ一度検討してみてください。
値段は180〜200cm四方で3000円くらいみておくといいと思います。
またカーペットの中には「遮音等級」という基準が書いてある場合もあるので、よく探して見てくださいね。
田村が防音室に使ったジョイントマットは遮音等級1級でした。
カーテン

カーペットと同じく、カーテンにもある程度の吸音効果が期待できます。
とくに「防音カーテン」と呼ばれるものは重たく遮音効果があるので、吸音だけではなく音漏れや音の侵入も防げる優れものです。
値段は本当にピンからキリまでですが、薄手の安いカーテンだとあまり吸音・遮音ともに効果がないと思うので、リフォームのついでや余裕があれば「防音カーテン」と呼ばれるどっしりしたカーテンも検討してみて下さい。
布団・クッション
普段何気なく使っている布団やクッションも実はかなり吸音効果が高いです。
ただ問題は壁に使うには重すぎる場合が多いこと。
使い方によっては大きな吸音の助けになりますが、新たに防音材として買うものではないかもしれません。
部屋の中に布団を敷いておく、畳んだ布団が置いてあるだけでもかなり吸音効果があるので、今ある布団や、使っていない古い布団をうまく活用してみて下さい。
有孔ボード

有孔ボードは沢山の穴が空いた木の板のこと。
使い方にコツがいりますが、吸音の難しい低音にも効果があることで有名です。
ただし、ホームセンターの有孔ボードは4×910×1820mm板で2500円くらいなので、安いとは言い難いですね。
また、「空気層」の幅を考えて作る必要がある、他の吸音材に比べて加工が難しいなど少し扱いにコツのいる吸音材だと言えます。
低音の防音・吸音対策には必須のアイテムなので、ぜひ検討してみてください。
隙間防音テープ

吸音材と呼んでいいのかとても微妙ですが、どちらかというと吸音に含まれるのが「隙間テープ」です。
これはドアの隙間に貼り付けることで戸当たり音や音漏れを軽減するための消音テープで、値段は1mあたり300円ほど。
ホームセンターの場合は切り売りされていることが多いですね。
ドア下の大きな隙間には遮音対策も一緒にしないと効果が出にくいですが、ドアの周りを簡単に埋められる優れものです。
また防音だけでなく光熱費の節約にもかなりの効果を発揮します。
実際に田村も部屋の防音対策でお世話になった素材なので、詳しい効果や使い方は「ドアの隙間を防音テープとゴムで埋める方法 |音漏れ・エアコンに」へどうぞ。
3.ホームセンターの遮音材
次にホームセンターで手に入る遮音材について見ていきましょう。
石膏ボード

石膏ボードは防音に限らずDIY界では壁の材料として有名です。
石膏ボードは重く、頑丈で、安いという遮音材としても壁としてもとても優れた特徴を持っています。
ただし、1つ欠点を挙げるとすれば通常のゴミとしては捨てられないこと。
余ったり要らなくなった石膏ボードは「産業廃棄物」として専門の業者さんに有料で引き取ってもらう必要があります。
加工方法は難しくはなく、コツがつかめればカッターなどの簡単な工具を使って自宅でも加工できるそうなので、計画的に使うなら有力な遮音材の1つだと言えます。
石膏ボードは、9×910×1820mmサイズで300円という安さなので遮音材としてのコスパはかなり高い材料です。
(12mm厚でも400円ほど)
針葉樹合板・ベニヤ板・コンパネ

針葉樹合板(ラワン合板)やベニヤ板とは木の合板のこと。
遮音性は石膏ボードよりもやや低いくらいですが、大きな差があるものではありません。
合板を使うメリットは加工が容易なことと、石膏ボードに比べれば廃棄が楽なこと。
もちろん自分で全て加工するとなれば大変ですが、木の板はホームセンターで好きなサイズにカットしてもらえることが多いです。
田村も防音室を自作したときには木材を切る作業はすべてホームセンターの方にお任せしました。
ただし、合板を使う場合は「ホルムアルデヒド放散量」を表す「F」という値に気をつけましょう。
F☆☆☆☆は家具などにでも使える安全なものですが、F☆など星の数が少ないものは有害なホルムアルデヒドを多く放出してしまうので、素人が室内で使うには危険です。
木の板を捨てる際の分別方法は自治体や板のサイズによって違ってきますが、収集してもらえる場合は木製家具などの扱いに近いと思います。
値段は木の種類と厚さによって変わってきますが、田村が防音室自作に使ったものは12×910×1820mmの針葉樹合板で値段は1100円ほど。
1枚の重さは約10kgでした。
制振ゴム系素材

重たくてどっしりとしたゴム製の素材。
制振や滑り止めに使われることが多いものですが、防音(遮音)やドアの隙間を塞ぐためにも役立ちます。
防振、防音用には5cm幅くらいの厚手で細長いタイプのゴムを切って使うことが多く、うまく使えばとても便利な素材です。
幅の広いシート状のゴムロールも切り売りされていましたが、値段は3×500×1000mmで1700円もしたので、大規模に使う場合は後で紹介する「遮音シート」を使った方がいいかもしれません。
4.防音に使えそうで使えない素材
ここからはホームセンターに売っている「防音に使えそうだけど使えない素材」についてご紹介しておきます。
ここに書く材料は防音材決めに迷ってしまう原因にもなるので、スパッと諦めてしまうのがおすすめです。
プラダン

プラダンとはプラスチックダンボールの略称で、その名の通りプラスチックで出来た頑丈なダンボールのことを指します。
プラダンは防音素材として取り上げられることも多いですが、遮音性や吸音性は「ない」と思って下さい。
素材としてとても軽い上に繊維質でもないので、プラダンの間にある細長い空気層でほんの少し吸音される程度の防音効果です。
ただし防音材ではなく内装や壁紙のように「ただのDIY」として使う分には使いやすい素材だと言えるでしょう。
発泡スチロール
保冷や断熱材としては大活躍で、皆さんもお馴染みの発泡スチロール。
ある程度クッション性があり、気泡をたくさん含んだ構造をしているので「空気層的な吸音性があるんではないか」と言われることもありますが、残念ながら発泡スチロールの吸音性は無いに等しいものです。
発泡スチロールの気泡は音を通しやすい上に1つ1つの泡が独立した「独立気泡」と呼ばれる構造なので空気の摩擦を生めず、ほとんど音を吸収することが出来ないんですね。
スタイロフォーム

スタイロフォームとは発泡スチロールを頑丈にしたような断熱素材のこと。
しっかりした壁のような見た目ではありますが、吸音にも遮音にも全く役に立ちません。
ネットで調べると「遮音効果がある」と言う人もいたものの、人の耳では聞こえないようなものすごい高周波に限定した場合でもない限りは遮音性はほぼないと思ってください。
これも防音に使うには軽すぎますし、発泡スチロールと同じく「独立気泡」と呼ばれる素材の構造からも吸音性もほとんどないと言えます。
断熱材としては優れたものですが、加工の際にでるクズも掃除が大変なようなので、防音用にあえて使う意味はないでしょう。
ダンボール

「使えない」と言ってしまって良いのかが非常に微妙なのが紙製の「ただのダンボール」です。
ダンボールは遮音性こそないものの、束になればある程度の吸音効果があります。
というのもダンボールは柔らかい繊維質(紙)で出来ていて、さらに間に空気層の構造を持っているので、ある程度音を熱に変換してくれるんですね。
しかし、費用と吸音効果の釣り合いを考えると、「ダンボールは買ってまで使う防音材ではない」と言えます。
無料でもらえる場合は良いですが、防音用に購入して使うには他の材料の方がコスパが良いでしょう。
ちなみに板状の大きなダンボールなら多少値段は下がるものの、防音において元を取るのは難しい素材です。
ダンボール防音室の「だんぼっち」などを含め、ダンボールの防音効果について詳しくは「ダンボールの防音効果を5つの面から徹底検証」という記事をご覧ください。
5.防音に使えるDIYグッズや工具など
さて、ホームセンターで売られている防音材は一通りご紹介しましたが、ここからは「防音に役立つDIY材料」についてもご紹介しておきます。
防音室を自作した時は田村も全くのDIY素人で苦労したので、「あの時知っていれば計画が楽だった」というものだけいくつか厳選しておきますね。
柱材

DIYに使いやすい柱材として有名なのが1×4材、2×4材などと呼ばれる木材。
ホームセンターであればどこでも扱っているようなオーソドックスな木材で、とくに2×4材は柱のDIYには定番中の定番だと言えます。
1×4、2×4などは柱の太さを表していて、それぞれ19×89mm、38×89mmのこと。
長さが1820mmの場合は1×4材で250円、2×4材で400円くらいなのでホームセンターでの防音DIYを考えている方はぜひ覚えておいてください。
ちなみに、防音DIYでは「なんとか柱なしで安く簡単に出来ないか」と考えてしまうことも多いと思いますが、田村も色々な案を考えた末、「結果的に柱があった方が安く簡単に作れる」という結論にいたってので参考にしてください。
ディアウォール

ディアウォールとは「壁に穴を開けることなく柱を固定する道具」のこと。
写真の左側にサンプルが写っていますが、柱(2×4材のみ使用可能)の上下にディアウォールを取り付けるだけで突っ張り棒のように固定することが出来る優れもの。
簡単な仕組みですが、縦方向の強度は相当なものです。
田村も「もっと早くこれを知っていれば」と何度思ったか分からない万能アイテム。
最近はディアウォールを使った防音強化計画を考え中です。
アイデア次第で無限に防音DIYの可能性を広げてくれる一押し商品で、お値段は柱1本分の上下セットで1200円くらいです。
金具類

最近では金具類は100均でも買えてしまいますが、たくさん使う場合は絶対にホームセンターの方が良いです。
例えばネジなどは200〜300本入りで300円ちょっとなので1本あたり一円ちょっとの計算です。
刺さりやすさ強度などもあるので、ネジに限らず金具はホームセンターで仕入れましょう。
ちなみに、また詳しくご紹介する機会もあるかもしれませんが、「L字金具を使って柱なしで簡易防音室を作ろう」と考えると値段はむしろ高くなり、強度は大きく落ちることになるので要注意ですよ。
コーキング剤

コーキング剤とは「タイルや壁の隙間を埋めるための補修剤」のこと。
防音室を自作した時には仕上げの隙間埋め作業で大活躍してくれました。
コーキング剤を使うためには専用のコーキングガンと呼ばれる工具が必要ですが、合わせてもお値段は600円くらいなので、「防音の仕上げに隙間埋めがしたいな」と思った時には思い出してくださいね。
6. 100均に防音材はある?

もしかすると100円均一でも防音に使える素材があるんじゃないだろうか?
これって家の防音対策を考えている人なら一度は考えたことがあると思います。
誰だってなるべく安く防音材を手に入れたいですからね。
ただ、はっきり言って100均のアイテムは防音材としては「使えない」と思ってください。
強いて言うなら、ドアの戸当たりを軽減するための「防音テープ」が唯一の防音グッズですが、これは戸当たり軽減にしか効果はありません。
つまりドア自体の音漏れ改善にはほとんど使えないということ。
もちろん、たくさん集めれば立派に防音に使える素材だってありますが、吸音率、遮音性(透過損失)とコスパを考えると、やはり部屋の防音素材探しはホームセンターなどを当たった方が良さそうです。
吸音素材として100均の有孔ボードに目をつける人もいるかもしれませんが、サイズ、重さ、厚みのどれを取ってもやはり割高だと言えます。
「防音対策に使えるアイテム」ならある
防音材を100均で手に入れるのは諦めたほうがいいですが、防音対策に必要な小道具を買うには100均はとても便利です。
特におすすめしたいのはドライバーセットやカッターナイフなどの「工具」です。
これからもずっと使うなら別として、「今回1回使えれば良いや」という方は予算の節約につながると思います。
ただし、がっつり使う工具はきちんとしたものでないと組み立てに苦労することがあると思うので、その辺りはうまく使い分けてくださいね。
DIYがお好きなら「工具セット」をホームセンターで探した方が長い目で見ると便利なのでおすすめです。
ちなみにネジについて、100均で売られているネジは10〜50本で100円ですが、ホームセンターなら200〜300本で300円なので、これも必要な本数に応じて考えましょう。
7.通販の防音材

皆さんご存知の通り、今はAmazonなどの通販サイトでほとんどのものは買うことが出来ます。
今回ご紹介した防音材ももちろんですが、さらに追加で皆さんに知って欲しいのが「遮音シート」です。
遮音シートとは「出来る限り重く」作られた厚さ数ミリのゴム製シートのこと。
普通の素材に比べて重さと密度が高いので、音を効率よく跳ね返すことが出来ます。
単一では「膜」としての振動を起こして効果が薄いと思いますが、板や壁、吸音材に貼り付けることで遮音効果を大きく高めることが出来ます。
遮音シートは一部のホームセンターでは売られているようなのですが、田村の行きつけでは売っていませんでした。
遮音シートの最大のメリットは90cm×10mという大きさで値段が3000円〜5000円であること。
普段は通販を使わない田村も、防音室の補強や部屋の防音強化のために現在購入を検討中です。
購入した場合はまた使い勝手なども記事にしますのでお楽しみに。
※二作目の自作防音室を製作した際に遮音シートを使用しました。
参照:0.8畳の小型防音室(ver.2)を自作したお話|予算6万5千円
8.実際の防音対策について
さて、実は田村が家で取り組んでいる防音対策DIYはほとんどホームセンターの材料だけで行なっています。
他の記事でも防音の具体的な方法や、防音室自作の作業工程、素材などについてご紹介していますので、良ければ「防音について」から気になる記事をお探しください。
・ホームセンターには沢山の防音材がある
・使えそうで使えない素材には要注意
・100均防音はコスパが悪い
・通販もうまく使おう
今回はこの4点を押さえましょう。
部屋の防音対策やDIYは実際に材料と方針を決めるまでが大変ですよね。
本当は自分の足でホームセンターに行って「防音に使えそうなものは無いかなー」と探して歩けばいいんですが、この記事はそのさらに下見だと思っていただければ幸いです。
ずっと迷っていても防音は出来ないので、初めは「ドアだけ、窓だけ」などの低めの目標を決めて挑戦してみましょう。
田村も家でアコギを練習するためにもっと色々な防音対策に取り組んでいく予定なので、そのノウハウはまた記事にして皆さんと共有出来ればと思います。
ぜひお楽しみに。