ギターを部屋の中で保管するとき、一体どんな置き方をするのがいいのか迷ってしまうことってありますよね。
とくに初心者のころは分からないことだらけで、
ギターって壁に立てかけてもいいの?
湿気対策は必要?
ギターはケースに入れて置いた方がいい?
など色々なことが気になってしまうものです。
今回は家の中でのことをメインに、ギターを保管する方法と基本的なギターの扱い方について見ていきましょう。
1.ギターの置き方の悪い例
ギターをしまう時にまず1番気になるのはギターの置き方ですよね。
部屋の中でギターを置いておく方法はたくさんありますが、実は中にはギターを傷めてしまうようなものも混ざっているんです。
まずは初心者の頃にしてしまいがちで、ギターにとってあまり良くない置き方から見てみましょう。
1-1 ギターを壁に立てかける

初心者の方にとても多いのが「ギターを壁に立てかけておく」という保管の仕方。
実は方法にもよりますが「ギターを壁に立てかけること自体」はそれほど悪いことではありません。
ただ、何も考えずに立てておくとギターを傷めてしまう危険がいくつも隠れているので注意が必要なんです。
ギターをたてかけてはダメと言われる理由
ギターを壁に立てかけるのがダメと言われる理由は、まずシンプルに「倒れやすい」から。
壁に立てただけのギターはちょっとしたきっかけで倒れてしまうことも多く、とても不安定です。
もしも倒してしまった場合、ギターに傷が付くだけで済めばいいですが、最悪ネックが折れてしまうこともあるので、左右に何もないような平面の壁にギターをたてて置くのはやめた方がいいでしょう。

そして、ギターを壁に立てかけてはいけないもう1つの理由は「ネックへの負担が大きい」こと。
「ギターを壁に立てかける」ということはヘッド部分でギターの重さを支えることを意味しますが、これはギターのネックにも力がかかってしまうということ。
ギターのネックは長い間力がかかり続けると変形して「反ったりねじれたりしてしまう」ことがあるので注意してください。
アコギはただでさえネックが順反りしやすいですし、エレキギターは本体が重たいのでネックへの負担も大きいため、出来ればギタースタンドを使ってやる方が良いでしょう。
ギターをたてかけるなら向きと場所に注意
そうは言っても、ギターを壁に立てかけておくというのはとても手軽で便利ですよね。
ギタースタンドが手に入るまでは壁に立てかけておくしかないという場合は、立てかける向きと場所に気をつけてください。
具体的には、ギターの表面が壁の方を向き、室内にはギターの背中が見えるようにおくこと。
そして、部屋の角や、壁と机・ソファなどの角になった場所に置くことです。

こうすればギターのネックに加わる力は「弦の張力」と反対方向になるのでほとんど打ち消されますし、ちょっとやそっとの揺れや衝撃では左右に倒れたりもしません。
この時、ギターはあまり斜めに寝かせるのではなく、あるていど地面と90度に近いほうがネックへの負担も小さくなります。
ただし、ネックがねじれる可能性は消えないですし、ギタースタンドはあるに越したことはないので、なるべく早めに用意してくださいね。
1-2 ギターを床に寝かせる
次によくあるのが「ギターを床に寝かせておく」というものですが、これもなるべく避けた方が良いでしょう。
というのも、この場合ギターの上に物を落としてしまったり誰かに踏まれてしまったりする可能性があるからです。
田村自身も、アコギを床に寝かせて一瞬目を離した隙に、上に物が倒れてきてアコギの表板に小さな凹みを作ってしまいました。

表面が少し凹むだけですんで良かったですが、当たりどころが悪ければ表版が割れていてもおかしくない出来事だったので、皆さんも気をつけて下さいね。

また、エレキギターの中にはギターを寝かせた時にヘッドの先が床についてしまい「床から反り返ったような状態」になるギターもあります。
このタイプのギターを横に寝かせてしまうとネックに大きな負担がかかってしまうので、たとえ机の上などであっても絶対にやめましょう。
※もし寝かせる時はネックの根元にクッションを挟んでください。
2.練習の合間はギタースタンドを使おう
ギターを弾く人には出来れば1つずつ持っていて欲しいのが、ギターを簡単で安全に立てて置ける「ギタースタンド」です。
例えば「ギターを弾いていたけどちょっと休憩しに行こう」という場合、毎回わざわざケースにしまうのは面倒ですよね。
かと言って、壁に立てかけたり床に寝かせたりだとあまりギターに良くないことが多いです。
そんな時にギタースタンドがあれば、スタンドの上にひょいとギターを置くだけでその場を離れられますし、戻ってきたらすぐにギターが弾けます。
また、ギターが倒れないようにする補助具がついたものも多いので、1つあると本当にとても重宝します。
※実は先ほど「寝かせておいたアコギに倒れてきたもの」とはギタースタンドに立ててあった友人のギターです。また別の友人でも「スタンドに立てていたギターが倒れネックが折れてしまった」という人がいるので、ギターの転倒防止がついている場合は面倒くさがらずに使うようにして下さいね。
ギタースタンドの値段は1000円〜1500円くらいですが、ギターを手軽に安心して弾けるようになると思えば決して高い買い物ではないので、楽器屋さんに行った時にはぜひ探してみてください。
3.ギターの保管方法と4つのポイント
その日1日の練習が終わって後は寝るだけという時間になった時、次にギターを弾くまでの「ギターの保管」はどうすれば良いんでしょうか。
これについては「毎日ギターを弾くからスタンドに立てて置けば良いや」などの演奏頻度で判断するよりも「部屋の環境」によって判断する方が良いと思います。
今回はギターを保管するときの注意点について4つのポイントから見ておきましょう。
3-1ギターを保管する部屋の湿度と環境
まずギターを保管しておく部屋はどんな環境にしておくのが良いんでしょうか。
例えばギターにとっての理想だけを並べてみると、
・湿度がおよそ50%で一定
・ホコリが無い
・直射日光が当たらない
・温度が適度(25度前後)
となります。
しかし、正直言ってこれは専用の保管室でも作らないと実現できませんよね。
なので、実際にギターを置く部屋の環境は、
・人が過ごしやすい湿度と温度
・ホコリだらけではない
・ギターは日陰側に置く
くらいでいいと思います。
つまり適度に掃除して、極端な湿気や乾燥などにだけ気をつければ良いんです。
これは他の記事でも田村がよく言うことなんですが、基本的に「人にとって快適な環境はギターにもいい環境」だと言えます。
仮にギターのためでも、結果的に健康的な部屋の環境作りが出来れば一石二鳥なのでぜひ挑戦してみてくださいね。
ただ、そうは言っても四六時中ずっと部屋を快適にしておくのは大変なもの。
そこでおすすめなのは「ギターをケースにしまうこと」です。
3-2 ギターの保管はケースにしまうと楽
本来ギターケースは「ギターを傷から守りながら持ち運ぶ」ためのもの。
しかし、ギターケースには他にも「ギターを保管する上でのメリット」が沢山あるんです。
ギターの湿度を調整しやすい
まずギターをケースに入れる最大のメリットは湿度が安定しやすいことです。
というのも、日本の湿度環境は季節によって大きく変わりますよね。
ギターを保管するときの湿度の目安は約50%だとよく言われていますが、夏はどうしても湿気でジメジメしてしまいますし、冬はかなり乾燥します。
さらに、エアコンで暖房や冷房をかけると室内の湿度はまた大きく変わりますよね。
ギターをスタンドに立てたままだと、これらの湿気や乾燥の影響をもろに受けてしまいますし、エアコンやクーラーの風が当たり続けるのもギターにとっては過酷な環境だと言えます。
なので、ギターケースの種類に関係なく、ギターが部屋の空気に直接触れているかどうかの違いは大きいんです。
また、ギターケースの中には「湿度調整剤」を入れておくとさらに良いでしょう。
ギターと湿度の関係についての詳細は「ギターが湿度から受ける影響と湿気乾燥への対策」という記事へどうぞ。
ホコリ避けになる
ホコリ避けと言ってしまうとなんだか大したことないようですが、意外とバカにできないものです。
というのも、アコギのサウンドホールに入ったホコリは掃除するのが大変ですし、エレキギター・エレアコのジャックの内側にホコリが入ってしまうのもギターにとってあまり良いことではありません。
もちろんどちらも神経質になるほどの話ではありませんが、「ホコリが無いに越したことはない」ですよね。
とくに寝室・布団と同じ部屋にギターを置く場合、ギターケースの「ホコリ避け機能」は便利なものですよ。
ギターの保管に向いているギターケースは?
ギターを保管しておくのにはセミハードケースかハードケースがおすすめです。
というのも、この2種類のケースなら置き方の向きなどをあまり気にせずにラフにおいて置けるからです。
また、しっかりした作りなので湿気や乾燥の変化を伝えにくく、ちょっとしたトラブルからギターを守る力も高いです。
逆にソフトケースの場合、ギターの保護能力がない状態でギターを壁に立てかけたり床に寝かせて置くことになってしまうので、この場合はギターの置き場所に十分気をつけて下さい。
「ギターケースの種類や用途ってどんなものがあるの?」という方はぜひ「ギターケースの種類と色々な交通手段での持ち運び方」という記事もあわせてご覧ください。
3-3 ギターの保管で弦は緩めるべき?
ギターを保管するときは弦を緩めるべき、という話は聞いたことがありますか?
これはギタリストの間では度々話題になっていて、「練習が終わったら弦は緩めておいた方がいい」という意見が日本では強いように思います。
しかし、実はギターの弦を緩めるべきかどうかは場合によるんです。
ギターの状態などを見ずにざっくりと言うなら、
毎日弾くようなギターならあまり弦を緩める必要はありません。
1週間に1回など、たまにしか弾かないギターなら少し弦を緩めておきましょう。
次いつ弾くか分からない場合は完全に弦を緩めておきましょう。
というのが、田村がおすすめしたい保管時の弦の緩め方です。
しかし、これはなかなかデリケートな問題なので「自分のギターに合わせた弦の緩め方」を出来るようになって欲しいというのが本音です。
なので出来れば「ギター保管で弦を緩めるメリットとデメリット」という記事にも軽く目を通してみて下さい。
※記事を読むのが面倒な方は少なくともどの弦も均一に「緩める・緩めない」ようにして下さい。
「1弦側はたくさん緩めて低音弦は少しだけ」のような緩め方だと取り返しのつかない(リペアが必要な)ことになってしまいますので。
3-4 弦を拭いて掃除しておこう
少しおまけ的な内容ですが、ギターを弾き終わったら片付ける前にサッとクロスで弦を拭く癖をつけるのがおすすめです。
というのも、この一手間だけでも弦はかなり錆びにくくなり、長持ちするようになるから。
少し時間がある時なら、弦を1本ずつクロスで挟むようにして丁寧に拭いてやりましょう。
とくに長い間ギターを保管して置く前には念入りに弦を掃除しておくと、「久しぶりにギターケースを開けたら弦が錆びの塊のようになっていた」なんてことにならずに済みますのでぜひお試しください。
田村も弦の錆びには苦労した人間なので、その対策や錆びを防ぐノウハウについて「ギターの弦の錆びによる影響とその防止対策」という記事にまとめておきました。
錆びに悩んでいる方にはお力になれると思いますので、良かったらぜひ読んでみてくださいね。
今回は、ギターの置き方について
・ギターは壁に立てかけない
・ギターを床に寝かさない
・ギタースタンドがあると便利
ギターの保管方法について
・まずは人に快適な環境を作ろう
・ギターはケースにしまおう
・弦を緩めるかどうかを判断しよう
・弦は掃除してから片付けよう
というポイントを押さえて下さい。
初めはギターの保管だけでこんなにたくさんのことを考えるのは面倒だなあと感じてしまいますが、一度習慣になってしまえば1分もかからないことばかりなのでぜひ実践してみて下さいね。
とくに、「部屋の環境をギターにとって良い状態にする」というのは人にとっても良いことだらけなので、これを機に部屋の環境を良くしていきましょう。
ギターを良い状態で保管するというのは結果的に早く上達することにも繋がる大切なこと。
ギターのためにもぜひ、メンテナンス面で出来ることを少しずつ増やしていってくださいね。