ギター弦の3種類の巻き方 |マーチン・ヤマハ・ギブソン巻き

メーカーごとの弦の巻き方メンテナンス

ギター弦の巻き方には人によって本当に色々なこだわりがありますよね。

実は大手ギターメーカーが出荷時に採用している弦の巻き方も同じではなくて、大きく3種類に分けることが出来るのをご存知でしょうか。

中にはメーカー独特の巻き方を取ってマーチン巻き、ギブソン巻きなどと呼ばれている弦の張り方もあります。

シンプルに弦を巻いていくのも良いですが、たまには少し変わった巻き方をしてみたり、自分のギターが新品だったころの弦の巻き方に合わせてみるというのも面白いかもしれませんよ。

今回は通常のペグでの弦の巻き方を3通りご紹介します。

※弦交換の基本的な方法については「ギター弦交換の方法 |きれいに張り替えるコツと注意点とは」をご覧ください。

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1.弦の巻き方の名前について

まず、ギブソン巻き、マーチン巻き、などという弦の巻き方の名前ですが、とくにこだわらないで下さい。

というのも、これらは俗称なので、インターネットで調べていても、楽器屋さんの知り合いに聞いても、実は「名前と巻き方が人によって違う」ことがほとんどなんです。

「マーチン巻き」は全ての人が同じ巻き方のことだったので間違い無いと思いますが、「ギブソン巻き」は人によってバラバラで、今回田村がご紹介する3つの巻き方が全て出てきてしまいました。

なので、今回は実際に楽器屋さんの新品ギターを見て回って、「このメーカーはこう巻かれていることが多かった」という基準で弦の巻き方の名前としました。

とくにギブソン巻きに関しては楽器屋さんの新品ですら巻き方が2つに分かれたので、名前については参考程度に思って下さい。

2.シンプル巻き(王道)

シンプル巻きのギター

田村の知る限りギターの弦交換で最も多く使われているオーソドックスな弦の巻き方がこれです。

これはただ下に下にと弦を巻き取っているだけなので、見た目もとてもシンプルで簡単ですね。

まずはこんな風にストレートに弦を巻く方法と、その特徴から見ていきましょう。

1-1 シンプル巻きの方法

シンプル巻きの様子

①ペグ穴に弦を通して巻き始める
②半周して回ってきた弦の先端より下側に弦を巻いていく
③さらに半周で回ってくる弦の折り目より下に弦を巻いていく
④そのまま下へ下へと弦を巻き取って完成

①のときに弦に指で折り目を付けずに巻けるようになると、巻き上がりがきれいになります。
ポイントは最初の1周目で弦を引っ張っておく力加減です。

1-2 ほとんどのギターメーカーはこの巻き方

エレキギターの場合はロックペグや特殊なペグの場合を除けばほとんどのギターでこの巻き方が使われています。
Fender(フェンダー)などの大手メーカーでも弦の巻き方はシンプルなんです。

アコギの場合はTaylor(テイラー)、Takamine(タカミネ)、K.Yairi(ケーヤイリ)、Maton(メイトン)などのメーカーがこの巻き方を使っています。

というよりも、後で紹介するメーカー以外はアコギでもこの巻き方が一般的だと言って良いでしょう。

ちなみに、この巻き方のGibson(ギブソン)ギターもチラホラありましたが、少数だったので「楽器屋店員さんの弦交換によってそうなった」可能性がありますね。

1-3 シンプル巻きの音と特徴

この弦の巻き方の特徴は、とにかくシンプルに弦が巻いてあるということ。

それは、弦の振動がきれいにペグに伝わりやすいということを意味します。
また、弦交換が簡単できれいに巻きやすいというのも嬉しいメリットですね。

やはり1番オーソドックスで王道的な弦の巻き取り方なので、残る2つの方法を試す場合も、この弦の音を基準にして比べてみるのが良いかもしれません。

2.ヤマハ・ギブソン巻き(弦を挟む)

ギブソン巻きのギター

次は少し変わった巻き方で、弦の先端が間に挟み込まれるように弦がまかれています。

「挟み巻き」とでも呼べば良いのか、これはYamaha(ヤマハ)とGibson(ギブソン)のアコギなどで使われている巻き方ですね。
(もう1社アコギのメーカーで見たことがあるんですが忘れてしまいました。)

楽器屋さんをいくつか回っても新品のギブソンギターはほとんどがこの巻き方だったので、これが俗に言う「ギブソン巻き」の正しい姿なのかもしれません。

このギブソン巻きは趣味でギターを弾かれる方のギターでもたまに見かけることがあるので、ある程度普及している巻き方のようです。

2-1 ギブソン巻きの方法

ギブソン巻きの様子

①ペグ穴に弦を通したら巻き始める
②半周して回ってきた弦の先端を「弦の下」に潜らせる
③さらに半周で回ってくる弦の折り目の下に弦を巻いていく
④2回目で回ってきた弦の先端の「下側」に弦を巻いていく
⑤後は下へ下へと弦を巻き取って完成

シンプル巻きと同じで折り目を付けないこと、1周目の力加減が大切ですが、ギブソン巻きの場合は②から③あたりでしっかり力強く弦を引っ張っておくことがきれいに巻くコツです。

2-2 ギブソン巻きの音と特徴

ギブソン巻きの一番の特徴は、弦の先端が弦自身に挟まれてロックされていること。

おそらくこれは弦交換の後で弦先を短く切った場合でも音色やチューニングを安定して維持するための工夫だと思います。
田村も長い間この巻き方で弦を張り替えていましたが、最近では1つ目のシンプルな巻き方か、次に紹介する3つ目の巻き方をする場合が多いです。

3.マーチン巻き(枕を作る)

マーチン巻きのギター

最後はかなり凝っていて、弦の先端が半周回ってから「弦の巻き始めの下」をくぐってロックされるような巻き方です。

リペアマンのおじさんは、このように弦の先端を引っ掛けて巻くことを「枕を作る」と呼んでいました。

この巻き方はMartin(マーチン)のアコギで使われていて、独特の方法から「マーチン巻き」と呼ばれることもあります。
その名の通りマーチンギター以外のメーカーでは中々お目にかからない巻き方です。

おそらくマーチンギターが大好きな人はこの巻き方をしている人もいると思いますが、田村の知り合いのギタリスト内ではまだ見たことがありません。

※ちなみに、これをギブソン巻きだとする方も多いのですが、新品のギブソンギターでは1本も見たことがないので、田村は「マーチン巻き」という呼び方で統一させていただきました。

3-1 マーチン巻きの方法

マーチン巻きの様子(前半)

①弦をペグに通して緩める
②弦の先端をネックの内側に向かって曲げていく
③そのまま曲げ続けて弦の先を弦の下に潜らせる
④両手で弦を左右にぎゅっと引っ張っておく

この時、弦の先端をペグにぴったり巻きつけるつもりでグッと引っ張ることがポイントです。

マーチン巻きの様子(後半)
①弦の先を弦に巻きつけるように折り曲げる
②弦の折れ目(枕)が緩まないように気をつけて巻く
③半周して回ってくる折り目の下に弦を巻いていく
④下へ下へと弦を巻き取って完成

マーチン巻きはとくに2枚目の写真の①のとき、右手でもしっかり弦を引っ張りながら鋭い折り目をつけるのがきれいに巻くコツです。

3-2 マーチン巻きの音と特徴

マーチン巻きの特徴は何と言っても「枕」つまり、「弦の先を巻き始め位置の下に挟んでロックする構造」があるということ。

これは先ほどのヤマハの巻き方と比べてもさらにがっしり弦の先端が固定されることになるので、弦の緩みやほぐれが巻き戻ってしまうことはほとんどないでしょう。

また、昔はペグの位置で弦が切れてしまうギターも多く、それを防ぐためにその名の通り「クッション」の意味で弦の先端を枕として挟んだそうです。

4.結局どの巻き方が良いの?

3つの方法で巻かれた弦

さて、3つの弦の巻き方をご紹介しましたが、結局どの巻き方が良いんでしょうか。

3つの巻き方に優劣をつけるのは難しいことですが、ここでは自分に合った弦の巻き方を選ぶ上で知っておいて欲しいことを3つご紹介しておきますね。

4-1 まずは弦をきれいに巻けることが大切

とにかく、まずは巻き方のメリットやデメリットより先に弦をきれいに巻けることを目指して欲しいです。

というのも、例えば「安定しやすい」と言われている巻き方であっても、巻き上がりがヨレヨレだと音質もチューニングも不安定になってしまうから。

田村のおすすめは「まずシンプル巻きを隙間なくきれいに巻けるようになること」です。
ギブソン巻きもマーチン巻きもシンプル巻きと比べてきれいに巻くのが難しいので、初心者の方は「良い弦の巻き方探しの第一歩」として「丁寧なシンプル巻き」をぜひ習得してください。

弦交換の色々なコツやポイントは「ギター弦交換の方法 |きれいに張り替えるコツと注意点とは」という記事にまとめてありますので、ぜひこの記事と合わせて読んでみてくださいね。

ちなみに、反面教師的ですが、田村は今回カメラを片手に無理な体勢で弦交換をしているので、ギブソン巻きで少し、マーチン巻きではっきりした「弦の緩み・ほころび」が出来てしまっています。(写真を拡大すると分かりやすい)
皆さん、弦交換は両手でしっかり集中して行いましょう。

4-2 昔ほど弦をロックする必要はない

そもそも弦を弦自身で挟み込んでロックするのは、チューニングの安定以前に巻き弦のコイル線が緩むのを防ぐ意味合いも強かったと聞いています。

これは巻き弦の芯線の形などにも関係することなんですが、昔に比べると今の弦はとても精密に作られているので、ロックしなくてもコイル線が緩みにくいそうです。

また、弦交換の基本記事でも紹介しましたが、本当に音質だけを重視するのであれば「余った弦の先を切らない」というのも1つの手です。
本来は「弦の先を短く切りそろえる場合に巻き弦に対して使われた」のがいわゆるギブソン巻きマーチン巻きだったんですね。

マーチン巻きの「枕」についてはペグ部分での弦切れを防ぐ意味合いもあったようです。

4-3 色々な巻き方を気軽に試してみよう

弦の交換に慣れてきたら、とにかく色んな巻き方を試してみましょう。

自分でやったことがない巻き方の音や特徴は、どう頑張ってもしっかりとは分かりませんからね。

例えば「1年くらいかけて3つの巻き方を試しながら自分の好きな巻き方を見つける」というのも田村はいいと思います。
せっかくのギターなので、弦交換ものんびり楽しんでいきましょう。

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