八の字巻きのやり方 |シールドが傷みにくい巻き方を覚えよう

八の字巻されたシールドメンテナンス

シールドケーブルを片付けるときに、少しでも傷みにくい八の字巻き(逆相巻き)という巻き方があるのはご存知でしょうか。

もしかすると「八の字巻きという名前は知ってるけどうまく出来ない」という人もいるかもしれませんね。
一度コツがつかめれば簡単な八の字巻きですが、初めはなかなか難しいものです。

今回は写真だけでなくアニメーションも使うことで、初心者の方にも分かりやすく八の字巻きのやり方をご紹介します。

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1.シールドの巻き方は八の字巻きが基本

音楽や楽器の世界に限らず、シールドケーブルなどを巻く時には必ず「八の字巻き」という巻き方をします。

これは八の字巻きが「シールドケーブルを最も傷めにくい巻き方」だから。

というのも、実は「シールドを巻く」という動作には絶対に「シールドをねじる」動きが隠れているんです。
そしてこの「ねじれ」はシールドの寿命を大きく縮めてしまうもの。

今回ご紹介する八の字巻きとは、言わば「なるべくシールドをねじらない巻き方」のことなんですね。

シールドを丸めなくて済むのならそれが1番良いですが、ギターなど楽器と一緒に持ち運ぶ時にはそうも言ってられません。

ちなみに、たまに聞く「八の字巻きはシールドが絡まらない巻き方のこと」だというのは真っ赤な嘘です。
シールドが絡まない工夫と八の字巻きは、実は少し別のことなんです。

さて、ひとまず細かい八の字巻きのメリットは後で説明するとして、まずは実際の八の字巻きの方法を見ていきましょう。

2.八の字巻きのやり方は3種類

実は八の字巻きには順手巻き、逆手巻き、床巻きという3種類の方法があります。

順手巻きと逆手巻きは手だけでシールドを巻くやり方で、床巻きは文字通り床を使ってシールドを巻く方法です。

3つの巻き方にとくに優劣はありませんが、人によって「この方法はやりやすい、これは難しい」という好みが違ってくるので、よかったら全部試してみてくださいね。

3.手で巻く八の字巻きのやり方

まずは手を使ってシールドを巻く、オーソドックスな八の字巻きの方法を見ていきましょう。

八の字巻きは簡単に言えば「1周ごとにシールドをねじる方向を変えながら巻いていく」イメージなので、とくに「2周目の巻き方」は重要なポイントになってきます。

1周目の巻き方は共通なので、2周目は順手巻き・逆手巻きのうち、自分がシールドを持ちやすい方で挑戦してみてくださいね。

3-1 順手・逆手巻き共通の1周目

八の字巻の一周目の様子

まずは八の字巻きの第1周目の巻き方です。
これは見ての通り、ごく一般的な「巻く」時の動作ですよね。

八の字巻きの巻き始めは順手も逆手も関係なく、共通でこの巻き方をします。

少し詳しく手順とポイントを見ておきましょう。

八の字巻一周目の様子(写真)

①左手でシールドの先を持つ
②右手でシールドの中間を持つ
③右手首を手招きの方向に返していく
④シールドを左手に渡す

この時に気をつけてほしいポイントは、シールドに無理な力を加えないこと。
とくに③の動作では「シールドを時計回りにねじる」ことになるんですが、慣れないうちは無意識のうちにどうしても必要以上にねじってしまうものなんです。

なので④の段階で一度シールドを持つ手を緩めて、シールドに変にかかった力は逃す(シールドになるべく力がかかっていない状態にする)ように意識してみてください。

3-2 順手で巻く八の字巻き2周目

順手八の字巻の様子

次に八の字巻きの2周目の巻き方です。
この場合はシールドを順手で持って巻いているので、「順手八の字巻き」と呼ぶことにしましょう。

まずはこの順手八の字巻きからコツとポイントをご紹介しますね。

順手八の字巻の様子(写真)

①シールドの中間を順手で持つ
②右手首を外に反らせる方向に返していく
③輪を作るようにして左手に渡す
④輪の大きさを調整する

この「2周目」で何がどうなっているのか分からなくなってしまう人が多いんですが、これはつまり1周目と逆方向(左回し)にシールドをねじる動作なんです。
④のように1周目と2周目の間からシールドが出ていれば上手くできています。

コツとして、③では無理に1周目と同じサイズの輪っかを作ろうとせず、右手でシールドをつまんでいる部分をそのまま左手に渡して、④で調整するようにしましょう。
このとき、シールドにかかった無理な力もなるべく逃がしてやってくださいね。

3-3 逆手で巻く八の字巻き2周目

逆手八の字巻の様子

次に、八の字巻き2周目を「逆手」で巻く方法です。
先ほどとは逆にシールドを逆手で持つことから、これを「逆手八の字巻き」と呼ぶことにしましょう。

これはあくまで「2周目」の巻き方なので、さっき順手で2周目を巻いた状態の方は、一度解いてから挑戦してみてくださいね。

逆手八の字巻の様子(写真)

①シールドの中間を逆手で持つ
②右手首を親指を上に向ける方向に戻していく
③右手首が完全に起きた状態
④左手に渡す

これは順手の八の字巻きに比べると分かりやすいと感じる人も多いでしょうか。
つまり、「逆手でシールドを持ってまま手首を元の方向に戻す」だけで八の字巻きの形が作れるんですね。
田村も普段の八の字巻きはこの方法でしています。

逆手八の字巻きでも、やはり④の段階では「シールドが1周目と2周目の間を通っていること」と、「シールドに無理な力が加わっていないこと」を確認してくださいね。

3-4  1周目と2周目を交互に繰り返す

八の字巻の様子

あとは、今見て来た1周目と2周目の巻き方を交互に繰り返せば八の字巻きの完成です。

順手・逆手、好きな方で良いので練習してみてくださいね。
このアニメーションは少し分かりづらいですが「逆手八の字巻き」です。

4.床に寝かせる「8の字」巻き

床に寝かせる八の字巻の様子

これは「シールドをねじらないための巻き方」が「八の字巻き」と呼ばれる理由でもあるんですが、床の上に8の字を書くようにシールドを寝かせることでシールドを丸める方法です。

①〜③シールドを八の字型に置く
④シールドの交差点を半分におる

あまり難しいことは考えずに、ただ素直に床にシールドを置いていくだけで「確実にねじれの少ない巻き方」が出来るので、手で巻くのが苦手な人にはおすすめです。

ちなみにこの巻き方は、直径5cmもあるような太くて長いシールドケーブルを巻く時にはとても便利な巻き方です。

5.良い八の字巻きのコツとポイント

八の字巻きを練習する上でまず皆さんに意識して欲しいのは「八の字巻きのスピード」でもなければ「形の綺麗さ」でもありません。

八の字巻きで1番大切なポイントは、とにかく「シールドに余分な力(ねじれ)がかかっていない」こと。

というのも、このポイントをしっかり押さえておかないと「巻き方は八の字巻きなのに中でシールドがねじれている」なんてこともよく起こってしまうからなんです。

これを防ぐために、八の字巻きに慣れるまでは

・シールドを1周巻くごとに、なるべくシールドにかかった力を逃がしてやること
・出来るだけ大きな輪で八の字巻きをすること

を意識しておきましょう。

とくに輪の大きさは、大きければ大きいほどシールドのねじれも分散されるので、収納に困らないギリギリのサイズで巻くことをおすすめします。
小さな輪でシールドを巻くと、八の字巻きであってもシールドの寿命を縮めてしまうことになるので気をつけてくださいね。

6.シールドのねじれってどういうこと?

さて、ここまでなんども出てきた「シールドのねじれ」という言葉が気になっている人もいますよね。

「シールドを巻くだけで本当にシールドがねじれてしまうの?」というのは当然の疑問だと思いますが、そんな人は良かったら次の簡単な実験をしてみてください。

八の字巻とシールドのねじれ

①シールドを床にまっすぐたらす
②シールドで輪を書くように床に置く(巻く)

たったこれだけのことを、「シールドを持つ手をねじらずに」やってみてください。
簡単にできそうなのに、絶対に出来ないはずです。

実はこれには少し現実とは違うトリックもあるんですが、つまりシールドを巻くというのはそれだけ「ねじれ」と密接に関係しているということ。

そしてシールドの巻き数が増えるほどにそのねじれはどんどん大きくなってしまうので、八の字巻きでは「1周ごとにねじれる向きを変える」ことでシールドのねじれを打ち消しているんですね。

7.シールドが絡まるのを防ごう

さて、この記事のはじめの方で「八の字巻きをすればシールドは絡まらなくなる」「八の字巻きはシールドを絡めないためにする」などという噂は全くの嘘だというお話をしましたよね。

実は八の字巻きをしていても、「いざスタジオやライブ会場でシールドを解くと結び目だらけ」なんてことは良くあるんです。
せっかく八の字巻きでシールドをねじれから守っても、絡まったシールドを解くときにシールドにダメージを与えてしまうケースは少なくありません。

せっかくなので今回は、シールドが絡まるのを防ぐための3つのポイントも一緒に確認しておきましょう。

①シールドを大きく巻く

まずはシールドを大きな輪で巻くこと。

これはそもそも絡まる原因になる「シールドの輪の多さ(巻き数)」を減らすことになりますし、ねじれを分散させる効果もあるので一石二鳥です。

②輪の大きさをそろえる

次になるべく均一な大きさの輪でシールドを巻くこと。

これによってシールドの輪同士の場所が入れ替わり難くなるので、絡まりも減ります。

③結束バンドを使う

シールド結束バンド

1番効果があるのは八の字巻きにしたシールドを「結束バンド」で縛って軽く固定しておくこと。

こうすればシールドは巻き終わった状態のまま動かないので、絡まるリスクを大きく減らすことが出来ます。

結束バンドは元からシールドについてる場合もありますが、無い場合が多いので後付けで付けておくのがおすすめです。
シールドが断線したときの買い替えは高いですが、結束バンドは安いものなので、出来れば用意しておいてくださいね。

ちなみに、たまに「シールドの先端を巻きつけて縛る」人がいますが、シールドに大きなダメージを与えてしまうので絶対にやめましょう。

POINT

・八の字巻きはねじれを防ぐ
・八の字巻きの方法は順手、逆手、床
・八の字巻きはなるべく大きな輪で
・とにかくねじれに気をつけて
・八の字巻きと絡まるのを防ぐ方法は別

今回はこの5点を押さえましょう。

シールドの扱い方としては基本中の基本とされる八の字巻きですが、実際には形ばかりでシールドをねじってしまっている人も多いです。

もちろん、通常の巻き方に比べればそれでも大幅にシールドへのダメージを防ぐことが出来ますが、今回はせっかくなので「シールドにねじれを作らない」という八の字巻き本来の目的も意識して練習してみてくださいね。

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