ちょっとおしゃれなコードを弾いてみたいと思ったときに決まって出てくるのがセブンスやメジャーセブンスなどのコードですよね。
セブンスコードと聞くと少しレベルの高いコードに感じてしまいますが、実は仕組み自体は皆さんおなじみの「Cコード、Amコード」などのコード達と全く同じなんです。
また音楽理論の上ではセブンスコードは四和音と呼ばれています。
四和音はコード進行にちょっとしたアクセントを挟みたいときや、ジャズ音楽にとっては欠かせないもので、今回ご紹介するセブンスはその中でもとくに重要な役割を持ったコードです。
今回はコードの基本的な仕組みを振り返りながら、「ジャズコード」とも呼ばれる四和音の基本と、セブンス・メジャーセブンスの違いや考え方について一緒に見ていきましょう。
1.四和音とは
四和音とは「4つの音で出来た和音」のこと。
音楽の世界では主に「セブンスコードとシックススコード」を意味することが多く、とくにセブンスコードは四和音の中でも1番基本的で重要なコードだと言えます。
というよりも、せまい意味で言えば「四和音とはセブンスコードのこと」だと言ってしまってもいいでしょう。
今回ご紹介する四和音(セブンス)は、実はとてもシンプルで分かりやすい仕組みのコードなので、音楽理論が苦手な方も安心してくださいね。
1-1 四和音は三和音+1音
以前、田村は別の記事の中で「音楽は三和音と呼ばれるコードで出来ていて、ほかのコードは装飾のようなものだ」とお話ししたことがあります。
つまり、全ての音楽は「三和音に対して音を足したり引いたりする」事で色々な響きのコードを作っているということ。
これは今回の四和音でも例外ではなくて、四和音というのは実は「三和音に1つの音を付け加える」ことで作られています。
言葉の上ではイメージが難しいですよね。
少し具体的にみていきましょう。
1-2 三和音のおさらい
三和音とは「スケールの音を1つおきに3つ選ぶ」というシンプルな仕組みで出来ています。
例えばCメジャースケール(ドレミファソラシド)の音から「ド」という音を選んでみると、
こうですね。
これをコードにするには残る2つの音を「1つおきに」選べば良いということなので、
こうなりますよね。
つまりたったこれだけで「ドミソ」というコードが作れたということ。
同じく「レファラ」や「ミソシ」なども立派なコードです。
このように、スケールの音を1音おきに3つ選ぶとそれだけで三和音を作ることが出来ます。
こう聞くと、コードの基本ってとても単純で簡単に感じませんか?
実は今回のテーマである四和音も同じようにシンプルな仕組みで出来ているんです。
※三和音の作り方とコード名の付け方については「コードの仕組みとルート音の意味」という記事で詳しく解説してあるので、「ちょっと曖昧そう」という方はぜひ目を通してみてくださいね。
1-3 四和音の仕組み
さて、さっき作った三和音を四和音にするためには後1音を選ぶ必要があるんですが、実は4つ目の音の選び方は「三和音と全く同じ」で良いんです。
つまり、四和音を作るときには三和音の3つ目の音からさらに「1音空けて1音選ぶ」ということ。
まずは、さきほども登場したCコード(ドミソ)を例に考えてみましょう。
Cコードの場合は3つ目の1番高い音は「ソ」ですよね。
四和音はここに「1音空けて1音」追加すれば良いので、
こうなります。
つまり、ドの音から始まるCの四和音は「ドミソシ」だということ。
ちなみに、レの音を基準にしてDの四和音を作った場合はどうなると思いますか?
これはもう皆さん簡単に分かってしまうかもしれませんが、下の図のようになります。
つまりレの音が基準のDの四和音は「レファラド」ですね。
どうでしょう、四和音の仕組みってすごく簡単じゃないですか?
1-4 四和音の名前
では、先程作った四和音コードのことをなんと呼べば良いんでしょうか。
先ほど紹介した三和音編の記事ではドミソはドがルート音なのでCのコード、レファラはレがルート音なのでDのコードだということまで解説しましたよね。
さらに、「メジャーコードとマイナーコードの違いと仕組み」という記事ではルート音から2音目までの音程が2音差ならメジャーコード、1音半差ならマイナーコードだという話をしました。
つまり、三和音のドミソは「ドがルート音でミまでの音程が2音差」なのでCメジャーコード、レファラは「レがルート音でファまでの音程が1音半差」なのでDマイナー(Dm)コードだということ。
そして、今回の四和音ドミソシはCコードに「ドからみてメジャーセブンス」の音が付いているのでCメジャーセブンス、レファラドはDmコードに「レからみてセブンス」の音が付いているのでDmセブンスと呼ばれます。
とは言っても、「急にそんなこと言われてもセブンス・メジャーセブンスの音って何だよ?」となってしまいますよね。
ここからは四和音の名前である「セブンスとメジャーセブンスの意味」について紹介していきますね。
2.セブンスコードとは
セブンスコードは曲のサビ前や、ジャズ音楽などで好んで使われるコードのこと。
よく楽譜で見かける「7」の付くコードは、全てセブンス系のコード、つまり四和音だと言えます。
例えば、Cをルートにしたセブンスコードは「C7、CM7、CΔ7」の3種類。
C7はCセブンスのこと、「CM7とCΔ7」はどちらも同じCメジャーセブンスのことを表しています。
※7の後ろにthを付けて7th、M7th、Δ7thと表記されることもあります。
ところで、よく初心者の方が混乱してしまうコードに「CmM7」というコードがあるんですが、皆さんは読めるでしょうか?
実はこのコード名の読み方はそのまま「Cマイナーメジャーセブンス」なんです。
なんだか音楽をしている人でなくても「マイナーメジャーって何だよ!」と突っ込みを入れたくなるような名前ですよね。
ここではまず、1番基本になる「セブンスの意味」について少し具体的に見てみましょう。
2-1 セブンスとは7番目の音のこと
少し英語の話になるんですが、英語で「7」というときはただ単に「セブン」と言いますよね?
実は英語で言うセブンス(7th)とはただの「7」ではなく「7番目」という意味です。
例えば先ほど四和音の説明で「レファラドはレからみてセブンスの音が付いているからDセブンスと呼ぶ」と書きましたが、これはそのまま「レからみて7番目の音が付いているからDセブンスと呼ぶ」と受け取ってしまって良いんです。
つまり、「セブンスコード」とは「三和音にルート音からみて7つ目の音がくっ付いた和音」のことなんです。
では、「7番目」とは一体なんなんでしょう。
2-2 ドレミに番号をつける度数の考え方
なんだか難しそうな見出しですが、写真を見るとイメージしやすいですよね。
音楽理論には写真のようにスケールの音(ドレミファソラシド)を一列に並べて、順番に1、2、3、と出席番号を振っていく「度数」と呼ばれる考え方があります。
1度、2度…というのは1th、2th、(1番目、2番目)のような意味だと思ってください。
そして、おそらくもうほとんどの方が気づいている通り、Cメジャーセブンスのドミソシを上の写真に重ねてみると、
こうなります。
「ドからみて7番目の音が付いている」というのは、こういう意味だったんですね。
同じように「レファラド」も度数で考えてみると、
こうです。
こうして度数をつけてみると確かにレファラドも「レからみて7番目の音」が付いていますよね。
ちなみに、このとき注意して欲しいのは「コードの度数はルート音から数える」ということ。
間違っても、下の写真のようにならないように注意してくださいね。
3.メジャーセブンスとセブンスの違いは?
さて、四和音のセブンスコードには「ドミソシ」にも「レファラド」にも7番目の音が付いているということが分かりましたね。
ところで、ドミソシは「メジャーセブンスコード」と呼ばれるのに対して、レファラドはただの「セブンスコード」と呼ばれていたことを覚えているでしょうか。
どちらも同じ「7番目の音」が付いているのに、この違いはどこから来るんでしょう。
3-1 長7度と短7度
いきなりなんだか難しそうな図を出してしまってすいません。
「難しすぎる」と感じたらこの部分は流し読みしてもらっても大丈夫です。
実はドレミに番号をつける「度数」というのは音程を表す方法の1つで、実際にはこんな風に「1〜8度」をさらに細かく分けて使われます。
この図を見るとドミソシの「シ」はドからみて長7度の音になっていますよね。
実はメジャーセブンスとは長7度のことを指す言葉なんです。
逆にレファラドの「ド」の音は正確に考えれば「短7度」の音にあたります。
つまりセブンスコードとは「短7度の付いたコード」のこと。
※度数では基準の音(今回はルート音)からみてメジャースケールにあたる音を「長」、スケールから外れた音を「短」と呼びます。
とは言っても、いきなりこんな説明をされて理解できたら誰も苦労なんてしませんよね。
度数的な表現で言えば「三和音+短7度」のことを「セブンスコード」、「三和音+長7度」のことを「メジャーセブンスコード」と呼ぶんですが、今は横にでも置いておきましょう。
これはセブンスコードというよりも「度数」のことがわかって来ると全く難しくないので、今は考えるだけ損です。
ただ、度数の表現は音楽理論、とくにコード理論を学ぶ上で絶対に外せない考え方なので、良かったら「コードの度数の意味と考え方」という記事も合わせて読んでみてくださいね。
この記事では度数の基本的な意味からコードとの関係、長・短・増・減などの考え方などを分かりやすく丁寧に説明しています。
3-2 セブンスとメジャーセブンスの区別は簡単
先ほどあんなに難しそうなことを書いてしまいましたが、あれは言ってしまえば「正当なコード理論としての区別」で、実はメジャーセブンスとセブンスを見分けるの自体はとても簡単なんです。
その方法とは「ルート音との音程差を調べる」こと。
音程と言っても先ほどの度数のような複雑なものではなくて、「全音と半音」を使った考え方です。
全音半音とはこんな風にドからド♯を半音、ドからレを全音(1音)、ドからファを2音半、のように数える考え方のことでしたよね。
※分からない人はぜひ「音程の意味とドレミ |全音・半音の使い方とは?」を読んでみてください。
実際にドミソシとレファラドの「セブンスの音」までの音程を数えてみましょう。
そうすると、ドとシの音程は5音半、レとファの音程は5音になっていることがわかると思います。
実は先ほど出てきた長7度は「5音半差」のこと、短7度は「5音差」のことを表す言葉でもあるんです。
つまり、ルート音からみて四和音の4つ目の音が5音半差なら「メジャーセブンス」、5音差なら「セブンス」ということ。
これなら少し分かりやすいですよね。
でも実は、セブンスとメジャーセブンスはさらに簡単に、一瞬で見分けることができるんです。
3-3 一目でセブンス・メジャーセブンスを判断する方法
セブンスとメジャーセブンスを一瞬で見分けるには「ルート音のオクターブ上の音」が鍵になります。
つまり「ルート音ではなくオクターブ上の音から音程を数える」と言うこと。
例えばドミソシで「ルート音からシまでの音程」と、「ルート音のオクターブ上からシまでの音程」を並べてみてみましょう。
もう一目瞭然ですよね。
この場合、「高いドとシは半音差だ」というのが誰でも一瞬でわかると思います。
同じように、レファラドも図に表してみると、
こうですね。
この場合も、「高いレとドは全音差だ」というのはすぐに分かりますよね。
つまり、ドミソシのように「ルート音のオクターブ上とセブンスの音が半音差」のコードはメジャーセブンス、レファラドのように「ルート音のオクターブ上とセブンスの音が全音差」のコードはセブンスだと言えます。
この場合、言葉にする方が難しいくらいだと思うので、上のピアノの写真を使ってイメージで理解できれば十分です。
4.四和音はおしゃれなジャズコード
皆さんは「ジャズコード」という言葉を聞いたことがありますか?
ジャズコードとは少し複雑みのある、おしゃれな響きのコードのこと。
別に決まった定義があるわけではないですが、基本的には「セブンスコードを基本としたコード進行」つまり四和音の進行のことを指します。
「音楽は三和音を基本として作られている」という話を何度かしていますが、ジャズという音楽に関しては「四和音を基本として作られている」と言ってもいいでしょう。
そして今回のセブンス、四和音の知識をうまく使えば、皆さんは基本的なジャズコードも使えるようになれるはずです。
例えば自分の知っている曲を「ちょっとジャズっぽくアレンジしたいな」と思った時には、リズムだけじゃなくて、ぜひコードもジャズっぽくしてみてください。
やり方は簡単で、三和音をセブンスかメジャーセブンスのコードに変えるだけです。
四和音をうまく使えれば三和音だけでは出せなかった色々な表情の曲を作ることができるので、基本的なコード進行のことなども少しずつ調べながら色々遊んでみてくださいね。
5.四和音の名前の書き方
さて、今回登場した7やM7などの「四和音についての情報」はコードネームの右下に書く決まりがあります。
これまでにルート音編、メジャーマイナーコード編でも登場した複雑なC♯m7♭5というコードは、今回の内容で「C♯がルート音のマイナーコードにセブンスの音が付いた四和音」だということまで分かりますね。
四和音についてはまだセブンスしか説明をしていませんが、これでついにC♯m7♭5で分からないのは残すところ1セクションだけです。
残っている「♭5」とは一体どんな意味なのか、その他の四和音の6(シックスス)やadd9(アドナインス)とはどんなコードなのかについても、また一緒に見ていきましょう。
・セブンスは四和音というコード
・四和音は三和音+1音で出来ている
・セブンスの由来は7番目の音
・セブンスとメジャーセブンスの区別は音程
今回はこの4つの内容を押さえましょう。
少し難しい音程の話も登場しましたが、セブンスコードの仕組み自体はとてもシンプルだということは伝わったでしょうか。
今回の四和音・セブンスコードに限らず、音楽理論やコードの理論は意外と分かりやすいことが多いです。
ただ、初心者の方が音楽理論に苦戦してしまうのは「とにかく言葉が難しいから」なんです。
とくに音程や度数、スケールなどは定義だけ説明されても混乱してよく分からなくなってしまう方が多いと思います。
今回は触れなかったシックススやその他の四和音、さらにテンションコードなどについても今後なるべく分かりやすく記事にしますので、また一緒に学んでいきましょう。
理論は少し退屈かもしれませんが、使えるコードが増えるとそれだけ音楽を楽しむ幅も豊かになっていくので、少しずつ、知っているコードを増やしていって下さいね。