予算2万5千円で防音室を自作した方法

自作防音室防音室自作

周りを気にせずに音を出せる防音室を自作したい。

きっとそんな思いを抱えた人はすごく多いと思います。
その1番大きな理由は、きっと市販の防音室がとても高いからですよね。

今回は、DIY(日曜大工)ほぼ素人の田村が、アコギとエレキギターの練習・レコーディング用に作った防音室のスペックや制作期間、費用や実際の作業工程などを詳しくご紹介します。

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1.自作防音室のスペック

自作した防音室の設置環境や大きさなどについての詳細と実際の使用感です。

1-1  設置場所

防音室の配置図

マンションの部屋の中(自室・窓あり)に中型の防音室を設置。

部屋の中にさらに防音室を自作することで、廊下や窓の外(マンションの共用部)への音漏れをかなり軽減出来ます。
同じ部屋で寝たり机に向かったりもしています。

1-2  防音室内の広さ

防音室の中

縦横: 140cm×140cm
高さ: 150cm

ちょっとした本棚やギター、譜面台、イス、三脚などを置いても圧迫感なくギターの練習が出来る広さです。
映像撮影は上半身のみなら可能、簡単なレコーディングも出来ます。
ただし天井は低めなので、座ってのギター演奏用です。
(身長175cmを超える方には少し天井が低いかもしれません)

1-3  防音室の外枠サイズ

防音室の外側

縦横: 150cm×160cm
高さ: 150cm

部屋自体はなかなか狭くなってしまうので、元あった家具や寝る場所の確保が課題です。
ベッドがある人、家具が多い人はこのサイズの自作防音室の再現は難しいかもしれません。
田村の場合、もともとあった大きな勉強机はたたんで、小さな机に切り替えました。

天井が低い分、防音室の上は物置として使えるので、最低限の生活スペースには困りません。
後日、天井の上には洋服掛けや引き出し、布団置き場を設置する予定です。

1-4  防音室の重さと強度

重さ: 90〜100kg
強度: もたれたり、30〜40kg程度のものを乗せても大丈夫

重さは元になっている材料の重さから簡単に計算していますが、ちょうど100kg前後でしょう。

天井の強度は柱付近に田村(55kg)が乗っても大丈夫だったので、天井全体で合計40kgくらいまでなら長期間でも耐えられそうです。
布団や普段使わない雑多な物を乗せるスペースとしても使えますね。

1-5  防音性能

性能: 当初考えていた自作防音のレベルよりもかなり良い。

例えば防音室内でうるさいくらいの音量は、部屋に出ると中ぐらいの音量になり、廊下に出るとさらに弱くなります。
逆に外から防音室内への音(廊下での物音や部屋へのノックなど)は、注意していないと聞こえません。

流石に全力で弾いたアコギの音が全く漏れなくなることはありませんが、「話し声より小さい程度」もしくは「かなり抑えて弾いたときの音量」くらいには軽減できます。

防音性能については反響音との兼ね合いと部屋自体の防音も深く関係してくるので、また詳しく触れますね。
検証の動画も準備ができたら載せる予定です。

2.制作期間

防音室を自作するにあたっての制作期間はおよそ2週間でした。

大まかには設計・材料の下見に1週間、材料調達・組み立て作業に1週間ほど。
ただし、田村の場合は丸一日作業が出来たわけではないことと、色々な試行錯誤をしながらの作成になったので、組み立てはもう少し短期間でできると思います。

作業詳細はこの記事の後半で一緒に見ていきましょう。

3.費用と予算

自作防音室の費用内訳

純粋に防音室を防音室として完成させるためにかかった費用は全部で2万6,900円でした。

決して安くはないですし、「なんとかして2万5千円までで作りたい」という予算計画からは2千円オーバーしてしまいましたが、家で練習が出来ることを考えれば個人的には合格ラインです。

ちなみに市販の防音室はダンボール製のものでも7万円前後、テントやパネル式のもので10万円、有名メーカーのもので100万円くらいの費用がかかります。

4.使った材料の一覧

防音室を作る上で使った材料の種類や特徴を部分ごとに一覧にまとめておきます。
ちなみに今回の防音室自作に使った材料は全て近所のホームセンターで購入したもので、柱や板はそちらでカットしていただきました。

4-1  柱材

防音室の柱と骨格

・2×4材(38×89×1820mm)…9本
・1×4材(19×89×1820mm)…8本

2×4材、1×4材は共に長い木の角材で、柱の材料としてよく使われる材料です。
価格も2〜300円と安く、防音室の自作を考えている方は必ず使うことになる木材だと思います。

4-2  遮音材(天井と外壁)

防音室の壁板

・針葉樹合板(12×910×1820mm)…8枚

1枚の値段は1000〜1200円ほどで、こちらも板材としては定番の木材。
重さは1枚あたり10〜11kgとなかなか重たいです。

防音で定番の石膏ボードに比べると少し遮音性能が劣るものの、加工や廃棄など色々なことを考えて今回は針葉樹合板をチョイスしました。

4-3  吸音材

防音室の骨組みとグラスウール

・グラスウール(50×430×2880mm)8枚入り…1セット
・新聞紙
・古い布団

グラスウールはガラスの繊維で出来たワタのような吸音材で、他の吸音材と比べるととにかく価格が安いです。
扱いは少し難しかったですが、1セットでほぼ全面を吸音できて、お値段は2900円くらいでした。

また新聞紙や本などの紙類には意外と侮れない吸音効果があります。
古い布団は無ければ新聞紙でも代用可能ですので、作業編でもまた紹介します。

4-4  床材

防音用ジョイントマット

・ジョイントマット(45×45cm)8枚入り…2セット

床にカーペット(マット)を敷くのは、床面に吸音効果を持たせるのと同時に、防音室の柱や板で床が傷ついたり凹んだりするのを防ぐため。
今回はピースを組み合わせるタイプのジョイントカーペットで180cm×180cmの広さを敷いて、お値段は3400円くらいでした。

4-5  金具類

ドア用の蝶番

・パワービス32mm220本入り…1箱
・パワービス25mm270本入り…1箱
・木ネジ10mm50本
・小さいL字金具…4つ
・小さい平金具…4つ
・蝶番2つ入り…1セット

金具類は基本的にどれも安く、全部合わせても1600〜1800円ほどで済みました。
ビス(ネジ)は大量なのでどう考えても余りますが、小さな袋で買うとむしろ高く付くので100〜200本単位で買うのがいいと思います。
パワービスという商品はどちらも300円弱なので、ビスは1本2円もしない計算ですね。

ちなみに蝶番(ちょうつがい)とはドアを動かすために必要な金具のことです。(写真に写っている金具)

4-6  その他内装材

防音室の内装

・プラダン厚さ2.3mm(910×1820mm)…7枚
・模造紙(900×1200mm)4枚入り…2セット
・ソケット付きコード
・LED電球(40W)
・シリコンコーク
・延長コード

内装材は全部合わせて3500〜4000円ほどでした。
プラダンはプラスチック製のダンボール、シリコンコークは壁の隙間を埋めるゴム素材のことです。
ここで書いているプラダンは養生シートと呼ばれる通常よりも薄いタイプなので、1枚200円くらいで売られています。

5.必要な工具とスキル

実際に防音室を自作するにはどんな工具が扱えれば良いのでしょうか?

今回必要だった工具を元に考えてみます。

5-1  メジャー

メジャーで計測する様子

メジャーは柱や壁の大きさ、部屋の計測、材料の加工など、とにかく様々な場面で必要になりました。
100均でも売られていることが多いので、2〜3m以上のものが1つあると重宝します。

長さを測るだけなので難しいことはなく、毎回きちんと丁寧に測ればそれで十分です。

5-2  ドリル

ドリルと木材

ドリルも今回かなり活躍した工具の1つで、柱や壁をネジで止めるための下穴をあけるときに使いました。
100箇所以上は穴を開けたので電動のものがあると便利ですが、ハンドドリルでも作業可能です。(田村はハンドドリルを使用)

ドリルについては「なるべく真っ直ぐに穴をあける」ことがポイントになります。
それほど難しくはないので初心者の人でも数回使ってみれば要領をつかめると思いますが、あまりにも斜めだとネジが止めれないので丁寧に作業しましょう。
少し斜め程度なら問題ありませんのでご安心を。

5-3  ノコギリ

のこぎりで木材を切る様子

防音室自作やDIYといえばノコギリを連想する方も多いと思いますが、今回はノコギリはほとんど使っていません。(数回)

というのも、ほとんどの木材加工はホームセンターでやってもらったからです。
1カットの料金は無料〜30円くらいのところが多いと思いますが、自分で切るのはそこそこ手間なのでそこは節約せずに切ってもらいましょう。
機械でのカットはサイズも正確で切り口も真っ直ぐです。

ノコギリを使ったのは正確さが要らない部分でしたが、ドリルとは違って真っ直ぐ切ろうとすると少しコツがいります。

5-4  プラスドライバー

ドライバーでネジを締める様子

ネジや金具を締めるためのドライバーですね。
100本以上のネジを使うので電動が便利ですが、田村は手動式のもので作業をしました。

手動式であれば100均でも手に入りますよ。
難しいというよりは体力勝負です。
ちょっとしたポイントは作業の中で説明しますね。

5-5  コーキングガン

コーキングガンとシリコンコーク

なんだか聞きなれない工具ですが、値段的には200円くらいなので安心して下さい。
これは壁の隙間を埋めるときに使う道具なんですが、言葉では説明しにくいので実際の作業編でみていきましょう。

5-6  彫刻刀、包丁

彫刻刀で木を彫る様子

彫刻刀は主に防音室にドアを付ける時に使いました。
ほんの少しずつしか使っていないんですが、あると便利だと思います。
使ったのは文房具屋さんで4種類セット500円のものです。

包丁はグラスウールのカットに使用するためのもので100均で購入しました。

5-7  ガムテープ、養生材

養生プラダンと木材

・ガムテープ…1ロール
・プラダン厚さ2.3mm(910×1820mm)…2枚

工具の他に、ガムテープを1ロール丸ごとと、床の養生用に内壁の材料と同じプラダンを2枚使いました。
どちらも家にあったものですが、新しく買っても合わせて600円程です。

養生とは床などに木材がぶつかって傷が付くのを防ぐことで、写真のように重い板などを置く場合は必須だと言えます。
いらない大きなダンボールが家にあればそれを敷いても良いですし、養生シート(薄いプラダンのこと)があると更に便利です。

6.実際の作業工程

それではいよいよ、実際に防音室を組み立てた際の作業工程を見ていきます。
作業中はなるべく写真をたくさん撮るようにしたので、それぞれ別記事に作業の様子や写真を実況付きで載せておきますね。

DIY(日曜大工)は本当に素人なので、ミスや効率の悪い部分もありますがご容赦ください。

6-1  設計

防音室の設計図

まずは、自分が防音室を使ってやりたいことを考えながら、サイズや予算を考えていきます。
このときに、中でどんなものを使うのかと、防音室を設置する部屋の広さもしっかりノートなどに書き込んでおきましょう。

田村の場合は、中でギターが弾けること、ミニアンプが使えること、イスに座って弾ければ良いことなどを目標にして、防音室の外では寝られるスペースと物置などがあれば良いという条件で設計しました。

6-2  材料の下見と再設計

ホームセンターの防音材

大まかに作りたい防音室のサイズや予算などが決まったら、実際にホームセンターなどに下見に行きます。

そして使えそうな材料を値札とセットで片っ端から写真で撮っていきましょう。
もちろんメモでも構いませんが、どんな形や色だったかなどが後から一目で分かるので写真がおすすめです。

あとは家に帰ってから何をどんな風に組み合わせるかを具体的に考えていきますが、これが意外と大変な作業です。
この段階でおおよその費用が分かるので、予算に合わせて材料を省略したり、予算を少し変更したりしましょう。

6-3  1日目-材料調達と柱の穴あけ

柱材に穴をあける準備

・柱の材料(1×4材、2×4材)のカット
・遮音板(針葉樹板)のカットと配達手配
・柱の名前付け、穴あけ

1日目は組み立てのメインになる柱や板、金具など、ほとんどの材料をホームセンターで購入しました。
このとき、木材は全てホームセンターでカットしてもらって、板系の大きな木材は後日配達してもらうことに。

そして台車で持って帰ってきた柱材にドリルで穴を開け、この日の作業は終了。

反省点として、針葉樹板やその他の柱も含めて、大きなものは全て配達でお願いすればよかったということ。
柱の木材などは軽いのですが、自分で運ぶのは意外と骨が折れます。

6-4  2日目-壁紙の準備と板材の穴あけ

板材に穴をあける準備

・遮音板(針葉樹板)到着
・壁紙(模造紙)の線引き
・壁板の名前付け、穴あけ
・ドアの蝶番用の彫り込み作り
・端材のジョイント作り
・天井用の板の注文ミス発覚

2日目は内壁の壁紙に使う模造紙の線引きと、配達してもらった外壁用の遮音板(針葉樹板)にドリルで穴をあける作業を行いました。
この日は他にもドアに蝶番用の彫り込みを入れたり、サイズの注文ミスが発覚した木材への対応をして終了です。

6-5  3日目-内壁パネルと吸音材作り

グラスウールを新聞で包んだ様子

・模造紙のカット
・内壁パネル作り
・グラスウールの加工
・ドア柱に蝶番用の彫り込み作り

3日目は模造紙をカットしてプラダンに貼り付けて、内壁用のパネルを作りました。
また、吸音材のグラスウールをカットして新聞で包み、壁にはめ込むだけの状態まで調整して作業終了です。

6-6  4日目-柱組み立てと壁2面完成

防音室の壁の枠組み

・ジョイントマット敷き詰め
・組み立て準備(材料整理)
・柱組み立て
・ドアの防音用に端材を加工
・内壁パネル、吸音材、外壁板の取り付け(2面)

4日目はジョイントマットを敷いて柱を組み立て、壁を2面だけ取り付けました。
壁は3日目に作った内壁と、針葉樹板でグラスウールを挟む形で取り付けてあります。

またこの日作った壁の一面は、節約のために端材(木材カットの切れ端)をうまくつなぎ合わせて作りました。

6-7  5日目-ドア、壁、天井、照明の取り付け

防音室の外枠完成

・4日目に取り付けた壁の微調整
・ドア、残りの壁の取り付け
・天井のコード取り付け穴作り
・天井取り付け
・照明取り付け
・ドアノブ作り

5日目は残った壁とドア、天井などを取り付けて、ようやく防音室の外見の完成です。
照明や電気用のコードは天井に少し工夫をして引き込んであります。

6-8  6日目-隙間の補修とコーキング

天井のコーキング作業

・壁と天井の隙間埋め
・天井補強
・コーキング
・ドアのロック作り

6日目は天井や壁にちょっとした補強をしたり、隙間が空いてしまった部分を大まかに塞ぐ作業からスタートして、コーキングで残った隙間を塞いで仕上げました。

隙間を塞ぐと、5日目よりもはるかに防音性能が上がって音漏れが減りました。

あとは実際に使う中で少しずつ調整していくだけです。

6-9  7日目-端材を使った天井の吸音と配線の整理

防音室の天井と照明

・端材を使った天井の吸音
・内装の整備
・配線と電源の整理
・機材の搬入

少し余ってしまった木材がもったいないので、天井の半分を2重壁にして、床付近も少し音漏れを防ぐ工夫をしました。
あとはギターやミニアンプ、練習用の鏡や譜面台などを持ち込んでギターの練習用ミニスタジオの完成です。

今後の課題としてはドア部分からの音漏れを減らすこと、残った半分の天井の吸音などですが、防音性能も音響も今のままでも中々なので、気長に進化させていきます。

7.防音対策について

現時点での防音室自作記事はここまでですが、今後もっと防音性能を強化してこの記事にも追記をしようと思います。

具体的には、今後の「防音室の補強」と「部屋自体の防音」についてです。
2018年の春から夏くらいまでを目処に色々と思考錯誤した結果を追記する予定ですが、詳細はまた発表します。
※記事最下部に「8.防音室のその後」を追記しました。(2021/07/10)

POINT

過去色々なお手軽防音対策を試してはみたものの、田村にとっては今回が初めての本格的な防音対策でした。

実際に作ってみて分かったのは、市販の防音室は、はっきりと割高のものとそうでないものに別れるということ。
また今回のノウハウを活かせば次はもっと簡単で、防音性能も高い自作防音室が作れそうです。

その辺りの情報もなるべく近いうちに記事にするのでお楽しみに。

8.防音室のその後

防音室の解体と新作

・防音室の解体
・防音室(ver.2)の製作

実はこの記事でご紹介した防音室は引っ越しに伴って解体してしまい、引っ越し先で全く新しく防音室(ver.2)を作り直すことになりました。
2度目の防音室製作では今回の反省点を活かしつつ、各作業工程を動画に記録してYouTubeにも投稿しています。
よければそちらも合わせてご覧ください。

DIY自作防音室を解体して引っ越したお話 |分解・運ぶ・捨てる
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