楽器をローンで買う方法と損しないための注意点

新しく楽器を始めたい、もしくはワンランク上の楽器が欲しい時に便利なのがローンです。

例えば、すぐには手が出ない10万円〜30万円のギターなどでも、ローンを組めば無理なく購入できる場合もあります。
実際に田村自身も今使っているアコギとエレキはローンで購入したものです。

しかし、今インターネットでローンについて調べているあなたには、思わぬ落とし穴がたくさん仕掛けられていると思ってください。

今回は楽器屋さんでローンを組む場合の注意点や実際の流れ、ローンを組みやすい時期などについて、とにかく知っておいて欲しい情報を詰め合わせました。

1.そもそもローンって何?

ローンとはいわゆる「分割払い」のことです。

楽器などを買うときの費用を分割して後払いに出来る便利な支払い方法ですが、簡単に言ってしまえば一種の借金だと思ってください。

例えば毎月1万円をギターのために貯金する代わりに、先にローンでギターを買って、毎月1万円を返していくというような使い方が出来ます。
本来なら1年や2年先でないと買えないような機材にも手が届くのがローンの最大のメリットだと言えるでしょう。

2.ローンの分割回数と決まり

ローンは2回払い、12回払い、24回払い、60回払いなどかなり幅広い範囲で支払い回数を設定出来ます。

なので例え30万円のギターであっても、60回(5年)払いにしてしまえば毎月の支払いは5千円で済むという要領です。
ただし分割回数を増やせば無制限に月の支払いが減るわけではなく、月々5千円以上など最低の支払い金額が決まっています。
つまり、この場合30万円のギターのローンは60回分割が限界だということです。

また、通常だと分割回数を増やすほど大きくなっていく「金利」にも注意が必要です。

3.ローンと金利

ローンを組む時に気をつけないといけないのが金利、利子などの言葉です。

ローンで楽器を買う場合は、もとの楽器の値段に金利を合わせた金額を支払う必要があります。
例えば30万円のギターで金利が20%にもなると、全部で6万円も多くお金を支払うことになるので注意が必要です。

ただし楽器の場合は上手くいくと無金利でローンが組めることもあるので、焦りは禁物ですよ。

4.無金利でローンが組める?

音楽の世界では「無金利」でローンを組めるチャンスがあります。
それは楽器を購入するタイミングと楽器屋さんの無金利キャンペーンが重なった場合。

もちろんキャンペーンの期間や時期は不定期ですし、楽器屋さんによってはそもそも無金利はしないお店も多いかと思います。
しかし運良く無金利の期間に楽器を購入出来れば、なんのデメリットもなく楽器の料金を分割払いに出来るので、初めから無金利キャンペーンの時期を狙うのも良いでしょう。

4-1  無金利をやっている楽器店

無金利制度のあるお店は正確には分からないのですが、大手チェーンの楽器屋さんの場合は無金利キャンペーンを開催することが多い気がします。

ただし地域限定や店舗限定の場合も考えられるので、こればかりはなんとも言えません。
昨年末にホームページで無金利キャンペーンを掲載していたイシバシ楽器などは全国の店舗で無金利をやっているようですね。

個人のお店や、小さなお店での無金利はかなり少ない印象です。

4-2  無金利キャンペーンの時期

無金利のキャンペーンを行うことがあるお店の場合、不定期とはいえある程度キャンペーンの時期が決まっている印象を受けます。

楽器屋さんには年中通っている田村ですが、最もよく無金利キャンペーンを見かけるのが春と冬のシーズン。
冬はクリスマス前後から年末、年始まで、春は4月の前後が狙い目でしょう。

その他夏にも無金利をやっていたりするので、季節や年度の変わり目などは少し気にして楽器屋さんに足を運び、チェックするようにしましょう。

5.ローンの審査

それではいざローンで楽器を買う決心をしても、実はすぐにローンが組めるわけではありません。
まずは「審査」と呼ばれるチェックを通過する必要があります。

5-1  審査とは

審査はローン会社(ショッピングクレジット会社)がお金を貸す前にする適性チェックのことです。
簡単に言えばその人が信頼がおける人なのか、きちんと返済してくれる人なのかどうかを判断するために行われます。

人によってはここが難関かもしれません。

5-2  審査の流れ

審査ではまず書類(最近はタブレットの場合あり)に必要事項を記入します。
あとはそれを店員さんがFAXなどでローン会社に送信し、結果が返ってくるのを待つだけです。

基本的にはすぐに審査の結果が折り返しの電話で通知されます。
このお店への電話には本人も確認のために出る必要があるでしょう。

5-3  審査の内容

審査で記入する内容は、年齢や立場にもよりますが

・名前
・性別
・年齢
・生年月日
・住所
・電話番号

・家族形態
・収入
・現在組んでいるローン額
・家賃
・保護者の収入

である場合が多いです。

基本的なものは良いとして、年齢、収入、現在のローン額などについては少し詳しく見てみましょう。

5-4  年齢

まず初めに、高校生以下の人の場合は自分でローンを組むことができません。
この場合は親や保護者の人に代理で購入してもらう必要があります。

そしてそれ以上の年齢の方は、まず年齢的には審査を通過できます。

5-5  収入

もっとも問題になりやすいのが収入です。
目安としては返済額が収入(自由に使えるお金)の30%以下であれば審査は大丈夫だろうと言われています。

例えば学生の方なら、毎月の返済額の3〜4倍以上のアルバイト収入があれば審査で落ちることは珍しいでしょう。
1人暮らし、家主の方はさらに家賃や生活費なども審査基準に含まれて来ます。

ちなみに現在すでに他のローンを組んでいる場合は、その分を収入から差し引いて計算されるので注意してください。

5-6  保証人

大学生の場合不要なことが多いですが、収入源がアルバイトや未確定の場合には保証人が必要な場合もあります。

保証人とは、本人が返済を滞納したときに代わりに返済の義務を負ってくれる人のこと。
保証人になる人に決まりはありませんが、通常は親や兄弟、保護者である場合が多いでしょう。

大学生の場合は親・保護者の収入も審査用紙に記載するので、実質的には親が保証人とみなされているのかもしれません。
(本来なら保証人の印鑑やサインが必要)

5-7  収入がない場合

ローンを組む人は、基本的に貯金に余裕がないとみなされるので、収入がない場合は審査に落ちる可能性が非常に高いです。

何らかの事情で無収入でローンを組む場合には保証人もしくは代理購入してくれる人を探す必要があるでしょう。
ちなみにアルバイトはある程度安定した収入として扱われます。

6.ローンの負担を減らす返済方法

さて、ローンの審査も大丈夫そうだという方に、まだ知っておいてほしいことがあります。
それは「少しでもローンの負担を減らす方法」についてです。

おそらくローンを組む私たちにとって、毎月1〜2万円などの出費は決して軽いものではないですよね。
そこでここからはローンの様々な返済方法を見てみましょう。

※支払い方法によってはお店によって取り扱っていない場合があります。

6-1  スキップ払い

スキップ払いとは、ローンの返済開始を遅らせる方法です。

通常であればローンの返済は楽器を購入した翌月から始まりますが、スキップ払いの場合は返済開始が6ヶ月後からになります。
これはローンで毎月の支払いをするための準備期間が欲しい場合に便利な方法です。

ただし通常の金利とは別で数%の手数料が付きます。
また無金利キャンペーンと併用できない場合があるようなので、店員さんに確認してみましょう。

6-2  ボーナス一括払い

ボーナス一括払いとは、夏と冬のボーナス時期に楽器の料金を一括で支払うという方法です。
ボーナスを貰って余裕がある時にまとめてローンを返済出来るので、経済的な負担が少なくてすみます。

ボーナス一括払いの手数料は基本的にお店が負担してくれるので実質無金利ですが、金利や手数料については一度楽器屋の店員さんに聞いてみましょう。

6-3  ボーナス併用払い

ボーナス併用払いとは、夏と冬のボーナス時期だけ返済の割合が多く、他の月は残った金額を分割で返済する方法です。

ボーナス併用払いの場合、支払いは翌月からスタートします。
金利は通常の返済と同じように分割回数での計算です。

ボーナス月に大きな金額で返済するぶん支払い回数が少なくて済むので、金利も低く抑えることが出来ます。

6-4  頭金を上手く使う

頭金とは、ローンを組む前に楽器屋さんに支払うお金のことです。

金額は任意なので0円でも構いませんが、ローンは楽器の値段から頭金を引いた額で組むので、頭金が多いほど毎月の返済額と利子が少なくて済みます。
つまり頭金で足りない額だけをローン会社から借りて楽器を購入するイメージです。

7.ローンの組み方と注意点

それでは実際にいくつかの例を見ながらローンの返済方法や注意点を考えてみましょう。

7-1  支払い回数

まず1番大きな要素としてローンを何回払いにするのかを決めます。

例えば、12万円のギターでローンを組むとき、

12回払いの場合は毎月1万円を1年間
24回払いの場合は毎月5千円を2年間

のような形でお金を支払って行くことになります。

〇〇回払い=〇〇ヶ月払いだと思ってください。
一見、支払い回数を増やせば月々の支払い額が減って負担が楽なように思えますが、利子が絡むと必ずしもそうとは言えません。

7-2  金利

楽器をローンで買う場合、最も注意して欲しいのがこの金利(利子率)です。

例えば、12回払いの利子率が10%、36回払いの利子率が20%だったとしましょう。
この時に12万円のギターを買うとすると、

12回払いの場合は毎月1万1千円、全部で13万2千円
36回払いの場合は毎月4千円、全部で14万4千円

の支払いが必要になります。

こうしてみると金利は大したことないように思えますが、これは元のギターが高額になるほど決してバカにならない額ですし、インターネットではこの金利を言葉巧みに使って皆さんを誘導する人もいるので気をつけて下さい。
楽器に関しては上手くいけば「無金利」での購入が可能なので焦りは禁物ですよ。

7-3  金利一覧表

ある楽器屋さんで見せてもらった実際の金利表です。

楽器のローン金利一覧

2011年現在と書かれていますが、見せていただいたのは2018年の年明けです。

※支払い金額の計算方法は、

(支払い金額)=(元の値段)+(元の値段×利子率÷100)

です。

7-4  頭金と支払い額

頭金を上手く使うと月々の返済額をスッキリさせることが出来ます。

例えば13万円のギターを12回払い(無金利)で買うとすると、月々の支払いは10,833円のような中途半端な額になってしまいますよね。

こんな場合は先に頭金として1万円を払っておくと、残りは12万円になるので月々の支払いは1万円ぴったりになります。
端数を先に支払うのは、返済の計画をスッキリしたい場合におすすめです。

また、頭金を3万4千円ほど先に払えれば、1万円だった月々の支払いを8千円に減らすことも可能です。

7-5  頭金と利子

次は頭金と利子についてです。
実は頭金の使い方はこちらがメインになります。

例えば12万円のギターを10パーセントの金利で購入するとします。
ローンの金額は頭金を差し引いて計算するので、

頭金を払わなかった場合のローン返済額は13万2千円
頭金を6万円払った場合のローン返済額は6万6千円

のようになります。

頭金を6万円払った場合を見ると返済額と合わせても12万6千円なので、頭金なしに比べて合計の支払い金額が6千円少なくなっていますね。

少し大変ですが頭金をたくさん払うと、そのぶん合計して支払うお金が少なくてすみます。

7-6  ボーナス併用払い

ボーナス併用払いは支払い回数(金利)と毎月の返済額を抑えるのに役立ちます。

今回は30万円のギターを無金利の12回払いで買うとしましょう。
例えば夏と冬のボーナス月に7万5千円ずつを返済するとすれば、残りの金額は半分の15万円になります。
これを残った10ヵ月で分割すると毎月の支払いは1万5千円です。

もしも通常の分割で毎月の支払いを1万5千円にしようとすれば20回払いにする必要があるので、ボーナスを併用すれば支払い回数を大きく抑えられることが分かりますよね。
これを上手く使えば、金利がかかる場合でもかなり金利を抑えることができます。

8. 実際にローンを組む流れ

最後に実際に楽器屋さんでローンを組む場合にありがちな会話の流れを紹介しておきます。

今回は大学生でアルバイトの田村君が20万円のギターを買うお話です。
※少し大げさにテンプレートっぽくしています。

8-1  試奏を終えて

店員: いかがでしょうか?
田村: すごく良い音のするギターですね。購入したい気持ちは山々なんですが、まだ何ヶ月か貯金しないと買えません。

店員: 当店ではそんな方のために、ローンがご利用になれます。さらに、今だけ期間限定で24回払いまでは無金利でご利用いただけますよ。
田村: 無金利ですか?うーん、魅力的ですね。

8-2  ローンの提案

店員: 例えばこのギター(20万円)の24回払いだと、月々の料金は8,333円でご購入になれます。まだお金が貯まっていなくても今日すぐにギターを持って帰っていただけます。
田村: なるほど。

店員: さらに頭金として今日8,000円払っていただけると、毎月のお支払いは8,000円ぴったりになります。
田村: うーん、月8,000円ですか。例えばこのギターを36回払いで買うと金利や支払い額はどれくらいでしょうか?

店員: 36回払いだと金利は18%なので、合計のお支払い額が23万6千円、毎月のお支払いは6,555円ですね。ただ余分に3万6千円も払うことになるので出来るなら24回払いがおすすめです。
田村: なるほど、確かに出来たら無金利の24回払いで買いたいですね。でも毎月8,000円も払えるか不安です。

8-3  支払い開始月

店員: もう少し余裕を持って返済したいという場合は、最大で6ヶ月後からの支払い開始にも出来ます。数%の手数料はかかりますが、その間に貯金していただけますよ。
田村: そんなことも出来るんですか?うーん、なるほど。つまり今は1月なので支払い開始は7月からに出来るということですか。

店員: はい。後は手数料の数千円を高いととるかどうかですね。
田村: そうですね。今回はせっかくの無金利なので、最初に提案していただいた頭金8,000円で通常の24回払いで買おうと思います。

店員: ありがとうございます。それではショッピングクレジット(ローン)会社の審査がありますのでこちらへどうぞ。

8-4  ローンの審査

田村: 審査ってやはり厳しいのでしょうか。
店員: いえ、通常は収入があって、過去にローンなどの支払いを何ヶ月も滞納した経歴が無ければ大丈夫ですよ。

田村: 滞納歴はありませんが、大学生なので月のアルバイト収入は4〜5万円くらいです。
店員: 学生さんであればそれでも十分審査に通ると思います。こちらの書類に詳細をお願いします。

8-5  ローン購入完了

店員: それではこの書類を審査会社に送りますので5分程度お待ちください。

(審査用の書類をFAXでショッピングクレジット会社に送ると、すぐに審査されてお店に折り返しで電話がかかってきます。本人も確認のため電話に出る必要あり。支払い内容などの基本情報を電話口で確認されます。)

電話確認後

店員: 無事に審査を通りましたのでこれでご購入完了です。頭金の8,000円だけ今お支払いください。ありがとうございました。
田村: はい、ありがとうございました。

POINT

なんとなくローンのイメージは掴めたでしょうか?
今回はとにかく「無金利でローンが組めるかもしれない」ということを覚えておきましょう。

正直に言えばローンは借金なのであまり気軽に手を出すのはおすすめしません。
しかし楽器との出会いは一期一会です。
同じ機種でも音や弾き心地が同じくらい気にいる個体とまた出会えるとは限らないので、本当に気に入った1本なら是非ローンも視野に入れて前向きに検討してください。

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