ギター腱鞘炎の症状と原因から治し方と予防方法まで

ギターを練習していて手首に違和感や痛みを感じたら、それは腱鞘炎かもしれません。

手首はギターを弾く上でとても大切なので、腱鞘炎になってしまった時は適切な対処が必要です。
また、腱鞘炎の場合は再発しないための対策も重要になってきます。

今回はそもそも腱鞘炎がどんなものなのか、どうやって治療して予防すればいいのかを見ていきましょう。

1.腱鞘炎とは?

腱鞘炎はギター、ピアノ、ドラムなどの反復動作を伴う楽器でよく起こる炎症のこと。
右利きギタリストの場合はバッキングで使う右手首が腱鞘炎になる人が多いです。

初めはそれほど痛みもなく平気ですが、本格的に悪化すると痛みで演奏や練習が困難になってしまいます。

1-1 初めはどんな症状?

個人差があるのかもしれませんが、初期の腱鞘炎は筋肉痛のような感覚です。

運動したり重いものを運んだりした次の日に、体が重く動かしにくく感じることがありますよね。
田村の場合はまさにあの感覚でした。

鋭い痛みというよりは「だるさ」に近い鈍い違和感があります。
おそらくこの段階ではただの疲労に近いものなので、まだ腱鞘炎とは呼ばないかもしれません。

なるべくこの段階でしっかり休養をとって治してしまって下さい。

1-2 腱鞘炎になると

腱鞘炎になると、手首に感じる違和感が「だるさ」から「痛み」に変わってきます。

この時の痛みはつねったような痛みやズキズキした痛みではなく、なんとも言えない感覚の痛みです。
少し動かしにくい、動かすと痛む、練習後に手首が妙に熱くなる、などの場合は腱鞘炎になりかけ、もしくは、すでになってしまっている可能性があります。

1-3 腱鞘炎が悪化すると

腱鞘炎が酷くなってくると、手首を動かせばはっきりと痛いです。
また腱のあたりにピキピキした感覚(多分なった人には伝わる)を覚えます。

やはり少し変わった痛み方ですが、確実に「手首を傷めた」ということが分かると思います。
この段階になってしまったら、ひとまずギターは置いて、それ以上無理して練習をしないようにしましょう。

2.腱鞘炎の原因は?

腱鞘炎の直接の原因は、練習のしすぎではなくて筋肉が硬くなることだそうです。
田村が説明されたのは、「硬くなった筋肉がいつもより強く腱鞘(腱の周りの組織)を引っ張ることで、腱鞘が傷んで炎症を起こしてしまう」というもの。

つまり、腱鞘炎は筋肉が硬くなった状態でギターのバッキング(反復運動)を繰り返すことで起こるということ。

これについては昔陸上競技をやっていた経験からはっきりと言えますが、筋肉の硬さは間違いなく故障(腱鞘炎、肉離れなどのケガ)の大きな原因になります。
筋肉は疲れている時や寒い季節に硬くなりやすいので、秋から冬は特に注意して下さい。

3.腱鞘炎を治すには

ここからは田村が陸上部時代に培った「民間療法」を紹介します。
でも、その前にこれだけ言わせて下さい。

「少しでも早く腱鞘炎を治したいのであれば、まずは病院や整骨院に行ってお医者さんに診てもらって欲しい。」

手首はギタリストにとってとても大切なので、なるべく早く、適切な治療を受けて欲しいのです。

それをふまえて、すぐに出来る治し方を見ていきましょう。

3-1 手首を冷やす

腱鞘炎の自覚がある場合すでに手首が痛いと思うので、まず冷水(夏は氷水、冬は水道水)で手首を冷やして下さい。
これは手首の「炎症を抑える」ためです。

目安として少なくとも10〜15分くらいは冷やすと良いでしょう。
(氷水にずっとはきついので、出し入れして調整して下さい)

腱鞘炎に限らず、患部を冷やすことには炎症で熱っぽくなってしまった体の熱をとってやる効果と、炎症を抑えて痛みを和らげる効果があります。

一日中冷やしたりするのは返って治りを遅くしてしまうので、痛みがひどい時、手首が熱っぽい時、腫れている時などにしっかり冷やせばそれだけで十分です。
簡単に言えば「炎症を起こしてバタバタしている体を落ち着かせる」ようなイメージを持っていて下さい。

冷やした後は自然に温まるのを待ちましょう。

3-2 常温を保つ

経験的に体の自然治癒は常温(普通の温度)が1番早いです。

火傷、スポーツでの怪我などでも共通して言えることですが、怪我をしてすぐにしっかり患部を冷やし、その後数日は常温・安静をキープすることで、体の回復力は本当に大きく上がります。

冷やしている時は血の巡りが悪く、回復も遅いので、やたらめったらずっと冷やせば治りが早いということはありません。
逆に温めると血行が良くなりすぎて患部には負担となってしまうので、お風呂やシャワーであまり手首や体を温めすぎない努力をしましょう。

よほど状態がひどく、腫れが続いたりする場合はシップ薬などで継続的に少し冷やしてやると良いでしょう。
(ここまで炎症がひどい時はなるべくすぐに病院へ)

3-3 安静にする

当然ですが、治している期間中は手首に負担をかけないで下さい。
そして右手をやむをえず使う場合は、作業のあと出来るだけすぐに手首を冷やすようにしましょう。

ちなみに腱鞘炎にストレッチを勧める人もいますが、ストレッチは筋肉を引っ張って伸ばす動きなので患部に大きな負担をかけてしまいます。
少なくとも痛みや違和感がほぼ無くなるまでは、何もせずに手首を休めましょう。

3-4 どれくらいで治る?

こればかりはその人の生活環境や体調によるんですが、1週間も安静にしていればかなり良くなると思います。

ひとまず1週間くらいはギターのバッキングを控えてみましょう。
ギターは置いて、右手首を使わない左手の運指練習や理論、リズムの練習をするのも良いと思います。

逆に1週間以上ずっと痛い時はかなり酷いか、何か他の原因かもしれないので、やはり病院で見てもらって下さい。

4.予防と再発防止

それでは、そもそもどうすれば腱鞘炎になるのを防げるのでしょうか。

腱鞘炎になった人は、何か腱鞘炎の原因になるような習慣があったはずです。
それを直さなければまた腱鞘炎になってしまう可能性があるので、しっかりと対策していきましょう。

4-1 冬は防寒対策を

冬にギターを弾く場合、特に冬に外で路上ライブや練習をする場合はとにかく出来るだけ手首を冷やさないように気をつけて下さい。

冷たい風をきってバッキングをすれば、どうしても手は冷えてしまいます。
なので体の熱を手首に回すつもりで、お腹や腕がしっかり暖かい格好をしておきましょう。

体が冷えてしまうと繊細な感覚はおろか、痛みなどの感覚も鈍くなるので、ついつい無駄に力が入ったり無理な弾き方をしてしまうもの。
冬に肌寒い部屋でギターを弾くときは、いつもよりしっかりウォームアップをするのがおすすめです。

4-2 練習前のストレッチ

腱鞘炎になってしまった人は、少し手首の筋肉が硬かったということなので、なるべく練習前に手首をほぐすようにして下さい。

決して力を入れたり、変な方向に無理やり曲げる必要はないので、準備運動がてら軽く手首を動かしておきましょう。
出来れば手先の血行が良くなって温まってくるとベストです。

面倒な場合は、ギターの弾き始めにしばらく簡単なフレーズを軽く、リラックスして弾くと良いでしょう。
初めから全力で走るのではなくてジョギングから始めるようなイメージです。

またギターを弾かないときでも、お風呂上がりに少しストレッチする習慣をつけておくと手首の筋肉がだんだん柔軟になっていくでしょう。

4-3 手首の脱力

それでも腱鞘炎になってしまう時は、ギターを少しガシガシ弾きすぎているのかもしれません。

最近は一周回ってパワフルなバッキングも良いなと思う田村ですが、それでもやはり、あまりにも力が入ったバッキングはギターにも人にも良くありません。
脱力ピッキング系の意識をしたことがなかった人は、一度ギターピッキングの脱力やカッティングを練習してみるのも面白いですよ。

4-4 しっかり休む

練習前にしっかり体をほぐせれば、腱鞘炎のリスクはかなり減っているはず。
しかしそれでも防げないのが「疲労の蓄積」による筋肉の硬さです。

よくギターの腱鞘炎は「練習のしすぎ」で起こると言われますが、裏を返せばそれは「休憩が足りない」ということ。
たくさん練習しても、十分な休憩や睡眠さえ取っていれば体はきちんと回復しますし、上達もします。

たくさん練習するなら、その分しっかり体を休める時間も確保して下さいね。

POINT

・腱鞘炎になったら安静に
・ストレッチは治ってから
・ギターは準備運動をして温かい格好で
・練習のしすぎより休養不足に注意

今回はこの4点を押さえて下さい。

ギターはがむしゃらに練習を頑張るのも良いですが、きちんと食べて、寝て、健康でいることも大切です。
これを機に生活習慣ごと改善してしまいましょう。

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