ギターのピックがずれる6つの原因と直すための練習方法

ピックがずれるせいでギターの演奏に集中出来ない。
ライブ中にピックがずれて落としてしまう。

ギター初心者の方だけでなく、ある程度ギターに慣れた人でも悩むのがこの「ピックのズレ」です。
田村もそうでしたが、一度ピックがずれる癖がついてしまうと本当に困ってしまいますよね。

今回はそんなピックのズレについて、ピックがずれる原因やその治し方を一緒に考えていきましょう。

1.ピックがずれるのは良いこと?

弾いている本人からすれば悪いことしかないピックの滑りやズレですが、実は必ずしも悪いことだとも言い切れません。

というのも、ギターのピッキングですごく大切な「右手の脱力」がある程度出来ていないと、そもそもピックのズレは起こらないからです。
むしろ、ギターのピックを脱力した状態で扱えていること自体はとても良いことなんです。

きっとこの記事を読んでくださっている皆さんの中には、右手の脱力練習でピックがズレ出した方もいるはず。
逆に脱力なんて知らないという人はセンスがあると思うので、どうか「ピックを力で握り込んでずれなくする」なんてことはしないで下さいね。(もったいないです)

2.ピックがずれる6つの原因

さて、仮に右手がきれいに脱力出来ているとしても、ピックがずれてしまうとやはり演奏に集中できなくなってしまいますよね。

そもそもピックのズレはどんな癖のせいで起こってしまうんでしょうか?
具体的な解決策や練習方法はこの後で紹介するので、まずはピックがずれる原因を大きく6つに分けて見てみましょう。

2-1 ピックの軌道が斜め

ピックがずれる原因で1番多いのがこの「ピッキングの軌道」です。

ピックの軌道は本来「弦の方向と垂直」が良いとされています。
しかしこれが斜めになってしまうと横向きの力がピックにかかってしまうので、結果としてピックがずれる原因になりやすいんです。

とくに初心者の方はまず鏡の前でピッキングして、自分のピックの軌道やフォームが斜めになっていないかを確認してみましょう。

2-2 ピックの角度が斜め

ピックの角度が斜めになってしまっている場合、ピックは弦から「ピックを回転させる方向」に、つまりピックがずれる向きに力を受けてしまいます。

ピックの角度は、ピックがギターのヘッド側に低く傾いていることを順アングル、反対の反り返るような傾きを逆アングル、弦と平行なことを平行アングルと呼びます。

ギターはピックの角度だけでも色々な表現ができますが、角度の使い分けは実はかなり難しいので、まずは「平行アングル」の習得を目指すのがおすすめです。

2-3 アップピッキングの引っ掛かり

これは気付いていない場合が多いですが、「ピックがずれていくタイミングはいつもアップピッキング」という人が意外と多いんです。

これはアップピッキングが弦に引っかかることでピックに大きな力が加わって、ピックがずれる原因になるというもの。
この引っかかりは弦切れやピックがずれる原因にもなるので、アップピッキングが苦手だという方は要注意です。

※弦が切れる原因は「ギターの弦が切れる原因と対策のすべて」という記事で詳しく紹介しているので、弦がすぐに切れて悩んでいる方はこちらも合わせてどうぞ。

引っかかりの詳しい直し方については後でピッキング練習の別記事をご紹介しますね。

2-4 コードチェンジが苦手

一見すると「ピックがずれるのとは無関係では?」と思われがちな左手と運指ですが、コードチェンジに余裕がないと知らないうちに右手にも変な力が入ってしまうものです。

左手が苦手な曲ほどピックがずれるという方は、左手の運指を楽にする練習も視野に入れてみましょう。

2-5 手汗が多い

こればかりは体質的なものですが、手汗が多い人はやはりピックが滑りやすくズレやすいです。

手汗自体を抑えることは難しいですが、この場合は後で紹介するすべり止め付きピックを使うのもおすすめです。
また、多くの人は指先が緊張するといつもより多く手汗をかいてしまうので、少しずつ余裕を持ってピッキング出来るように練習していきましょう。

2-6 脱力のしすぎ

ギターで言う脱力とは、「完全に力を抜く」ことではなく「最低限の力でコントロールする」ことを指す場合が多いです。

ピックの軌道や角度がある程度きれいになっても、この力加減を習得していないとピックはズレます。
と言うのも、完璧なピッキングの軌道なんてそもそも有りませんし、仮に有っても音は単調で面白みに欠けてしまうからです。

なので、色々な表現をする上でピックがずれるのを防ぐにはもっと力加減のコントロールに慣れる必要があります。

やや応用的ですが、ピックの力の入れ方についても記事後半で一緒に考えてみましょう。

3.ピックがずれる癖を直す練習方法

それではいよいよ、ピックのズレを防ぐための練習をしていきましょう。

今回は細かいアップピッキングや軌道の良し悪しよりも、「実際ズレなくする」ことに重点をおいて練習していきます。
ピックの軌道などはそこに追加するようなイメージで考えてみて下さい。

※ピッキングの基本やフォーム、ピックの持ち方などについては「ギターの理想のピッキングフォームと右手の練習方法に迫る」という記事で紹介しています。
ピックがずれる原因とも大きく関係する内容なので、よければ合わせてどうぞ。

3-1 ゆっくりとしたピッキング

まずは鏡の前で、ゆっくりと丁寧なピッキングをしてみて下さい。
ストロークのスピードもゆっくりで大丈夫です。

ここでピックがズレないのなら、「基本のピッキングは悪くない」ということ。
ピッキングのイメージは大きく間違っていなくて、ただ速いピッキングに手と感覚、力加減が追い付いていないだけだと思います。

逆にゆっくりでもピックがズレてしまった方は一度丁寧にピックの角度と軌道などの基本を確認してみましょう。

3-2 メトロノームを使う

一見ピックがずれるのとは無関係ですが、ピッキング練習、特に基礎力を上げるためにメトロノームはかなり有効です。

かなりゆっくりのテンポ(BPM)で良いので、簡単なコード進行を繰り返し、飽きるまで弾いてみましょう。
目安としては5分間くらいが良いと思います。

5分間、ゆっくり丁寧に弾いてピックがズレなければ、そのテンポはかなりスムーズに弾けるようになっているはずです。

※簡単なコード例2つ(繰り返し)
①C→G→Am→F
②Am→Em→F→G

メトロノームはアプリなら無料、楽器屋さんでも1000円程度で、とても便利なものなのでぜひ1つ持っておいて下さいね。

3-3 テンポを上げていく

「もうこのテンポは余裕だ」と思ったらメトロノームのBPMを5上げてみましょう。

じれったい変化ですが、例えば5分で順調にクリアすれば、1時間でBPMを60上げることが出来るので騙されたと思って試してみてください。
あとはこれを繰り返しながら、ピックがずれることなく演奏できる範囲を広げていくのがおすすめです。

3-4 自由に弾く

30分〜1時間くらい頑張って練習した後は、自由にフレーズを弾いてみましょう。

どうでしょう、確実にピックのズレが減っていませんか?ピッキングが楽になっていませんか?
ギターの場合、一段飛ばした練習も必要ですが、出来ることをコツコツ広げていくことも大切なので、少しずつ頑張りましょう。

4.ピックがずれるのを防ぐ応急対策

「そうは言っても次のライブまで時間がないし、ピックをズレさせたくない」という方もいるかと思います。

そんな時は「滑り止め付きピック」を使ってみましょう。
ピックのつまむ部分がザラザラした素材なので、脱力していてもピックの滑りをかなり抑えることが出来ます。

ライブパフォーマンスでは、手段はともあれ「良い演奏をする」ことが1番優先なので、どうしてもピックがずれるときにはぜひ試してみて欲しいです。
最終的には滑り止め無しでも弾けるようになると良いですね。

5.ライブでピックを落としたら

いざ本番のライブでピックを落としてしまった時、中々かがみこんで拾う余裕が無い場合もありますよね。
またいくら上手い人でもうっかりミスでピックを落としてしまうことはあると思います。

そんな時のために、ライブではスペアのピックを用意しておくのがおすすめです。
例えば、マイクスタンドにピックを固定しておける「ピックスタンド」を使うのもいいですし、ポケットやアンプの上に数枚ピックを置いておくのも良いでしょう。

「転けると思ったら転ける」という話では無いですが、ピックを落としても平気なんだという安心感はけっこう大切です。
ライブでピックを落とすなんて些細なことなので、あまり気にせず自信を持ってライブを楽しんでくださいね。

6.ピックの力加減

最後に、ピックの力加減についてです。

実はピックを持つ右手の力は、完全に緩みきればいいというものでもないんです。

というのも、ピッキングの時に親指も人差し指も完全に脱力していると、本当はピックが少し浮き上がったり、ずれたりしてしまうんです。

なので厳密に言うと、ダウンピッキングは少しだけ親指で押す、アップピッキングは少しだけ人差し指で持ち上げるようなイメージを持つと良いかもしれません。
残った指は脱力してピックの反動を支えられれば十分です。(添えるイメージ)

とは言ってもこれは練習の中で無意識に見つけるものですし、変に意識すると無駄な力みの元にもなるので、あまり意識しすぎないで下さいね。
あくまで「ピックを支える」くらいの気持ちが大切です。

POINT

・ピックのずれは悪いことだけじゃない
・ピックの角度と軌道は大丈夫?
・アップピッキングはスムーズ?
・左手の余裕も大切
・ピッキング練習の方法

今回はピックのズレを減らすためにこの4つのポイントを確認してみて下さい。
ピックのズレに悩む人はそこを抜けるとかなりピッキングが良くなる人が多いので、少しずつコツコツ頑張りましょう。
最後に、ライブ本番はトラブルがあってなんぼの世界ですので、細かいことは考えずに楽しんで下さいね。

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