あまり耳には自信がないけど、メジャーコードとマイナーコードの違いって一体何なの?
実はこの疑問を持っている方って意外と多いと思います。
かく言う田村も、初めの頃は2つのコードに対してとても漠然としたイメージしか持っていませんでした。
今回はメジャー・マイナーコードの具体的な違いについて、一緒に考えていきましょう。
1.音楽のメジャーとマイナー
音楽の世界ではスケールやコードなどに対して「メジャー・マイナー」という言葉がよく使われます。
一般的にメジャー・マイナーといえば知名度や規模に対して使われる言葉ですが、音楽では少し違っています。
まずは2つの言葉が一体何を表しているのかを確認しておきましょう。
1-1 メジャーは明るい
音楽でのメジャーは基本的に「明るい」という意味を持ちます。
例えば、メジャースケールは明るい曲調の楽曲に使われることが多く、メジャーコードは明るく堂々とした印象の響きがします。
楽しさ、元気、勇敢、希望などのイメージを感じるメロディはメジャースケールで出来ていることが多いです。
1-2 マイナーは暗い
一方でマイナーは「暗い」と言う意味を持ちます。
暗いといってしまうと少しマイナスの印象を受けてしまいますが、マイナースケールの曲やマイナーコードは独特の暗さがある美しい響きです。
マイナースケールは悲しみ、恐怖、怪しさ、幻想などを感じさせる深みのあるメロディによく使われています。
2.コードの明るさとは?
先ほど簡単に「メジャーコードは明るくマイナーコードは暗い」と話しましたが、「曲中でコードを聴いていてもよく分からない」という方も多いかと思います。
それもそのはず、実はコードの明るさを耳で聞いて考えるのは意外と難しいことなんです。
そこで、いくつかの点でコードの響きや明るさについて考えてみましょう。
2-1 同じルート音のコード
まずは試しに同じルート音(名前)のメジャーコードとマイナーコードを比較してみましょう。
例えばAメジャーのコードとAマイナーのコードを並べて弾いてみてください。
この時、言われてみればAメジャーは明るく、Amは暗い響きのような印象を受けませんか?
自分なりの言葉で良いので、メジャーとマイナーの響きについてはやんわりとそのイメージを持っておいて下さい。(暗い、爽やか、怪しい、王道、力強いなどなど)
2-2 コードの響きは覚えなくて良い?
ところで、先ほどのAメジャーとAマイナーの比較には音楽的にどれくらい意味があるでしょうか?
確かにそれぞれのコードに明るい、暗い、怪しい、爽やかなど、自分なりのイメージを持っておくことは大切です。
しかし実際の音楽では、1曲の中で同じルート音(ここではAのこと)のメジャーとマイナー両方を使うケースはそもそも少し珍しいと言えます。
つまり、大切なのはコード1つを聴いた響きよりも「コード進行の中でのコードの響き」だと言うこと。
一生懸命1つ1つのコードの響きを覚えていくよりも、それぞれのコードの音楽的な使い方を知る方が後々役に立ちますし楽しいですよ。
※よほど音感に優れていない限り、正確に1つ1つのコードを聞き取るには「聴音」系のトレーニングと多少の音楽理論知識が必要です。
2-3 メジャーコードも暗い?
実はコード進行によってはメジャーコードが暗く怪しい響きになったり、マイナーコードが明るい希望のような響きになったりすることがあります。
つまりコードの響きの明るさは、コードの種類だけでなく「どんなコードの流れで使われるか」によって変わるということ。
これは曲中のコードのメジャーマイナーをパッと言い当てるのが難しい大きな原因でもあります。
実際に作曲やアドリブにおいても、「ここは暗い雰囲気だからAマイナーのコード」という風にコードを1つずつバラバラに組み上げることはあまり無いと言えます。
(9th、11thなどのいわゆる装飾音については音のイメージで使うことも多いです。)
コード進行やコードの流れは「カデンツ」と呼ばれる音楽理論を知ると分かるようになるので、興味がある方はまた一緒に学んでいきましょう。
3.メジャー・マイナーコードの本質的な違い
そもそもメジャーコードとマイナーコードはどうして響きが違うんでしょうか。
それは、当然の話ですが「コードの構成音が違う」からです。
とは言っても、2つのコードの響きは実は本当にわずかな音の違いによって生まれています。
ここからは音楽理論を含むので少し理屈っぽくはなりますが、難しい内容ではないのでご安心下さい。
※補足記事
以下登場するルート音、3和音、音程など音楽理論の説明記事です。
よく分からなくなってしまった時にどうぞ。
・ルート音、三和音について
→コードの仕組みとルート音の意味 |三和音って何?
・音程(全音と半音)について
→音程の意味とドレミ |全音・半音の使い方とは?
・音楽理論のまとめ(入門用)
→音楽理論の基本からコード・対位法・和声学まで |入門編
3-1 Cメジャー・マイナーコードの比較
3和音のCメジャーコードは「ドミソ」という構成音で出来ているんですが、まずはこれに対してCマイナーというコードをピアノの鍵盤で見比べてみましょう。

こうして並べると、CとCmのコードは3つの音のうち両端(ド、ソ)は同じ音で、真ん中の音(ミ)だけCマイナーの方が半音低いことが分かりますね。
3-2 Fメジャー・マイナーコードの比較
次に同じようにしてFとFマイナーを比べると、Fメジャーコード(ファラド)に対してFマイナーのコードはこんな風に表せます。

この音の並びをよく見ると、これもC・Cmの時と同じでマイナーコードの方は「真ん中の音だけがメジャーコードより半音下がっている」ことが分かると思います。
3-3 メジャー・マイナーの差
実は先ほど見たメジャーコードとマイナーコードの構成音の違いはCとFに限った話ではありません。
つまりマイナーコードとは「メジャーコードの真ん中の音を半音下げたコード」のことです。
こうして見るとメジャーコードとマイナーコードの違いは本当に僅かなものですね。
メジャーコードの真ん中の音を半音下げればマイナーだというのはギターなどの楽器でも便利な知識なので、ぜひ覚えておいて下さい。(写真は一部の例)

4.メジャー・マイナーコードの構成音
スケールや音程の知識がある方は察しがつくかもしれませんが、実は「C、G、Fなどのメジャーコード」や「Am、Em、Dmなどのマイナーコード」はルート音から見るとそれぞれ全て同じ音程で構成されています。
つまり、言いかえれば「メジャーコードとは構成音同士の音程がこれぐらいのコードである」という定義があるということ。
なんだか頭が痛くなってくるるような内容ですが、いずれもっと簡単な「度数」という考え方でも説明するので、今は「そんなものなのか」と頭の片隅に留めて頂ければ十分です。
4-1 メジャーコードの構成音と音程
まずはCメジャーコード(ドミソ)の音程を考えてみましょう。

ピアノで音程を数えてみるとドからミが2音差、ドからソは3音半差ですよね。
次に、Fメジャーコード(ファラド)はこのように表せます。

これも同じように音程を数えてみると、ファからラが2音差、ファからドが3音半差です。
この時、FとCコードの「構成音の音程差」が全く同じことに気がつきましたか?
つまり、メジャーコードとは「ルート音から2つ目の構成音までが2音差、ルート音から3つ目の構成音までが3音半差になるコード」のことを表す言葉だったんです。
4-2 マイナーコードの構成音と音程
「マイナーコードはメジャーコードの真ん中の音を半音下げたコードのこと」でしたよね。
なので理屈の上ではマイナーコードとは「ルート音から2つ目の音までが1音半差、ルート音から3つ目の音までの音程は3音半差(メジャーと変わらない)のコード」ということになるはずです。
それでは、実際にCマイナーとFマイナーのコードで確認してみましょう。

確かにどちらもルート音から構成音までの距離が1音半差、3音半差になっていますよね?
メジャーコードの時と同じで、この音程差は全てのマイナーコードで使えます。
5.コードの名前
メジャーコードはルート音の大文字アルファベット1文字、マイナーコードはルート音のアルファベットの右下に小文字のmを添えて表現します。
なので以前ルート音編でも登場した複雑なC♯m7♭5というコードは、「C♯がルート音のマイナーコード」だということまで分かりますね。

さらに今回の記事のコードの音程を覚えればルート音とmの文字だけでコードのおおよその構成音が分かるようになります。
しかし前回のルート音編の内容と合わせても、C♯m7♭5にはまだよく分からないセクションが2つ残ったままですよね。

この2つにはコードの右端の音(ドミソで言うとソ)と、3和音に更に音を付加する場合の情報が書かれるんですが、ここを理解するのは「コードの度数」から進むのがおすすめです。
度数やテンションコードと呼ばれるおしゃれコードなども今後一緒に覚えていきましょう。
・メジャーは明るい、マイナーは暗い
・コードの響きの丸暗記は不要
・メジャーコードの真ん中の音を半音下げるとマイナーコード
・コード構成音の音程は一定
今回はこの4点の内容を押さえましょう。