音楽理論の基本からコード・対位法・和声学まで |入門編

「音楽理論」と聞くとなんだか難しそうな印象を受けますよね。

音楽理論ってどんなもの?
何から始めたら良いの?
ギターやピアノが上手くなるのに音楽理論って必要なの?

など初めての方にとっては疑問も多く、中々手がつけにくいものです。

田村もギター初心者の頃は「コード理論」や「スケール」、「耳コピ」といった言葉が大の苦手でした。

しかし、実は音楽理論は皆さんが思っているほど難しいものではありません。

そして、音楽理論を少し知っていると楽器の世界は確実に広くなります。

今回はそんな音楽理論の入門・初心者編として、音楽理論全体のイメージを一緒につかんでいきましょう。

1.音楽理論とは?入門編

音楽理論とはクラシックからポップ・ロック・ジャズまで、様々な音楽を支える基準となっている理論のこと。

簡単に言えば「良い音楽」を作るための手法をまとめたものだと思って下さい。

1-1 ギターやピアノに音楽理論は必要?

これは、イエスかノーで言えばノーだと言えます。

一般的に言われる通り、音楽は最終的には好みや感性で作るものなので、音楽理論はあくまでもそのサポート的な立ち位置です。

ただし、長い歴史の中で「こんな風にすれば良い音楽ができる」としてまとめられた音楽理論は決してバカにできないものです。

ギターやピアノを始めとして、現在ほとんどの楽器は音楽理論にそって作られているので、少し知っておいて損はないでしょう。

1-2 音楽理論は難しい?

正直に言うと、音楽理論は終わりがないほど奥が深いです。

しかしギターやピアノを弾くために、なにも全ての音楽理論を知る必要なんてありません。

例えば基本的なキーやコードの理論を少し知っているだけでも、耳コピーやアドリブはグッと楽になるんです。

少しずつ、自分のレベルにあったものから習得して下さい。

1-3 音楽理論って初心者は何から始めれば良いの?

音楽理論を知る上で1番の近道は、「実際に音楽理論に触れてみること」だと思います。

例えば、アドリブのためにスケール理論を知りたい、耳コピのためにコード理論を知りたいなどの目標があると手がつけやすいということ。
田村もなるべく分かりやすく説明するつもりですが、漠然と理論だけを勉強すると「難しい・つまらない」と感じてしまう人も多いんです。

個人的に、コード理論を勉強してみたいという方におすすめなのは1曲だけ、簡単な曲で良いので耳コピーに挑戦してみること。

一見難しそうな耳コピですが、音楽理論ではとても大切な「ルート音」の考え方や使い方などを実際に自分で体感できるのでおすすめです。

耳コピの練習方法とコツ |初心者から完コピまでのやり方」という記事は読むだけで実際の曲をコピーする流れを体験出来るように工夫して書いているので、良かったら後で目を通してみてくださいね。

1-4 音楽理論の全体像

少しお固い意味での音楽理論は大きく分けると

・楽典
・対位法(1〜4声)
・和声学

の3つからなると言えます。

語弊はありますが簡単に言えば、楽典は楽譜や用語など音楽を書き表すための知識、対位法はメロディ、和声学はコードについての理論知識です。

これらを別々に習得しようとするとどうしても頭が痛くなるような説明になってしまうので、今回はその3つの理論をバラバラに分けることなく、スケール、キー、コードなどのテーマ毎に見ていきましょう。

ここからは音楽理論の要素を簡単に分かりやすく紹介していくので、「細かいことは後で分かれば良いや」くらいの軽い気持ちで読んでくださいね。

2.スケール(音階)とは

エレキギター・ピアノ、ジャズ・ロック・ブルースなど楽器やジャンルを問わず良く聞くのが「スケール」と言う言葉。
日本語では「音階」とも呼ばれます。

スケール(=音階)とは言わば曲中で基本的に使われる音のこと。
(厳密には音の距離間隔のこと)

なんだか難しい導入になってしまいましたが、実は皆さんはすでに無意識でスケールを知っていますし使っているんです。
なのであまり身構えずに安心して進んでくださいね。

2-1 スケールは誰でも知っている

実は皆さんは幼稚園や保育園くらいのころにスケールを1つ習っているんです。

それは誰もが口にしたことがある「ドレミファソラシド」。

音楽理論ではドレミファソラシドは長音階、またの名を「メジャースケール」と言います。

メジャースケールは明るいイメージの曲に使われることが多く、昔習った「きらきら星」や「ドレミの歌」、「カエルの歌」などはまさにこのメジャースケールの曲だと言えます。
(ドレミファソラシドのみで曲が作られているという意味)

音楽の中にはたくさんのスケールが存在しますが、メジャースケールはその中でもとても大切なものです。

また、これと対になるスケールとして「マイナースケール(短音階)」というスケールがあります。

2-2 マイナースケールは知らない?

マイナースケールと聞くといよいよ難しそうなんですが、身構える必要はありません。

実はマイナースケールとは「ラシドレミファソラ」のこと。

意外にも♯や♭などややこしい記号を使わなくてもマイナースケールを学んでいくことは可能なんです。
少し悲しげに聞こえる曲などは「ラシドレミファソラで出来ているのかも」と思ってください。

ところでこのマイナースケール、実は並び替えると「ドレミファソラシド」になることに気がついた方はいますか?
これはスケールの面白い部分でもあるんですが、今は深い意味は考えないでおきましょう。

マイナースケールの曲は暗い雰囲気や怪しい・悲しい雰囲気など少し独特な響きを持っているのが特徴です。

2-3 色々なスケールと音楽

実は、普段よく耳にする音楽は洋楽も邦楽もほとんど「メジャースケール」か「マイナースケール」を基本に作られています。

なので実は音楽理論の入門として「ドレミファソラシド」(ラシドレミファソラ)を深く理解できれば世の曲の大半を理解できるということ。

これに加えて音楽には民族音楽などで使われる独特な雰囲気のスケールもたくさん存在します。
日本で言えば「沖縄音階」と呼ばれる楽しいスケールもあるので良かったら調べてみてください。

そしてそれぞれのスケールには実は「基準の音」に応じて12の種類があるんですが、それについては今後少しずつ一緒に学んでいきましょう。

スケールの基本である音程について
音程の意味とドレミ |全音・半音の使い方とは?

スケールの考え方について
音階って何?メジャー・マイナースケールの意味とは

3.曲のキー(key・調)とは

キーとはその曲の中で最も重要な音のこと。

よく大切な言葉のことを「キーワード」と呼びますが、まさにそのイメージです。

このキーの考え方が理解できると音楽理論がグッと分かりやすくなってきます。

例えば「Cキーの曲」はその曲がC(ド)の音を基準にして作られているということを指しています。

中々パッとしないかもしれませんが、先ほどのスケールと同じで、実はこのキーについても皆さんはすでに日常生活の中で使っているんです。

3-1 カラオケと曲のキー

皆さんはカラオケで曲の高音が出なくて困ったことはありませんか?

そして、そんな時に「同じ曲を低く下げて歌う」ことが出来るのはご存知でしょうか。

カラオケのマシーンについている♯や♭のボタンを押すと、歌いたい曲を自分の歌いたい音域に変えて歌うことが出来ますよね。

実はこれがまさに音楽のキーの考え方そのものです。

これを音楽理論的に書くと、「Dキーの曲だと高すぎて歌えないからCキーに下げた」といった表現になります。
つまりキーというのは曲の「高さ(音域)」のようなものを表していて、それを少しカッコつけて表現してるだけなんですね。

キーについての詳細はこちら
音楽のキーや調の意味と使い方とは |基本から転調まで

4.コード(和音)とは

さて、いよいよ音楽理論の本命とも呼べる「コード」についてです。

コードとはいくつかの音を同時に鳴らす「和音」のこと。

初心者のころは誰もがコードの運指に苦戦するものなので、コードには難しいイメージがありますよね。

しかし難しそうに思えるコードの理論やコードの使い方も、実は1つ1つは意外とシンプルな仕組みで出来ているんです。

4-1 コードの仕組み

コードの仕組みをきちんと理解しようとすると新たに「ルート音」や「度数」などの言葉を知る必要があるんですが、まず直感的に知って欲しい内容はとても簡単です。

それは、「コードとはスケールの音を1音おきに3つ選んで鳴らしたもの」だということ。

これがコードの基本中の基本であり、今後かなりの範囲で使える理論です。

実際に先ほどのメジャースケール(ドレミファソラシド)でいくつかコードを作ってみましょう。
例えば1つおきに3つの音を選んでみると「ドミソ」「レファラ」「ソシレ」などですが、実はこれはもう立派なコードなんです。

そう聞くと、とても簡単じゃありませんか?
あとはこのコードに名前をつけるだけです。それがコード理論です。

4-2 コードの名前はどう決まるの?

コードの名前は「基準にした音」を軸にしてアルファベットで付けられています。

これは先ほどコードを作った時で言えば、3つの音のうち「はじめに選んだ音」のことです。
はじめに選んだ音は、残り2つの音を選ぶときの基準、つまり「コードを支える根っこ」のようになる音なのでルート音(根音)と呼ばれます。

つまり、「ドミソ」「レファラ」「ソシレ」であればそれぞれド、レ、ソがルート音だということ。
そしてコードの名前はそのままド、レ、ソ(C、D、G)となるわけです。

少し分かりにくいと思うので、詳しくは「コードの仕組みとルート音の意味」という記事でピアノの図を使って説明しています。

4-3 音楽と基本のコード

さて、楽器を練習していると膨大な種類があるように思えるコードですが、実際に1曲に使われる基本のコードはそう多くありません。

その数はずばり7つ。

つまり、ほとんどの曲はたった7つのコードを軸にして作られているんです。

そして基本的なコードの並べ方・組み合わせ方というのも実はおおよそ決まっているんです。

こう聞くと、無限に思えるコードの世界が少し身近になったように思えませんか?

しかも7つのコードの作り方は簡単。
「ドレミファソラシそれぞれの音を基準に3つの音を選んでコードにするだけ」です。

音楽理論ではダイアトニックコードと呼ばれる考え方ですが、詳しくはまた一緒に見ていきましょう。

4-4 色々なコード名とその意味

そうは言ってもコードにはC、Cm、Cm7、C9、Cm♭5など難しそうな名前のコードがたくさんありますよね。

こういった複雑なコードはいっぺんに理解しようとすると大変ですが、まずはメジャーコードとマイナーコードの区別から始めて、少しずつ難しいコードも分かるようになっていきましょう。

まずは基本であるメジャー・マイナーの違いについて説明した「メジャーコードとマイナーコードの違いと仕組み」という記事から入るのがおすすめです。

さらに、その次は「コードの度数の意味と考え方」という内容にも進んでみましょう。

5.楽典とは

ここからはもう少し固い音楽理論の話ですが、理論を学んでいくと必ず出てくるのが「楽典」という言葉です。

楽典とは音楽を言葉や五線譜面で書き表すためのルール本のこと。

例えば、16分音符、ト音記号、bpm、小節、拍子など、色々な言葉とリズムの表現が出てきます。

言ってしまえば文字通り「音楽を言葉で表すための用語辞典」のような知識です。

しかし「ひとまず実技的な演奏が上手になりたい」という方にはあまり優先度の高くない内容だと言えます。

五線譜や、ギター譜として普及しているTAB譜にも楽典の記号がたくさん使われるので、必要になったらその都度少しずつ覚えていくと良いでしょう。

まずは曲の基本になるリズム表記や小節、、演奏順を示す記号など最低限のものから覚えていくのがおすすめです。

6.対位法と和声学

音楽理論の中でも究極の堅物と言えるのが対位法と和声学です。

本当に簡単に言えば、和声学はコード理論のこと。
対位法はメロディについての音楽理論ですが、1パートのメロディだけを扱う一声対位法から始まって、最後はバス・テノール・アルト・ソプラノの4パートのメロディを扱う四声対位法までの4種類があります。

ただし、3つ以上の音はコードの理論である和声学と重なってくるので、現在は音大などでも「一声・ニ声対位法と和声学」という組み合わせが主流のようです。

対位法や和声学に本格的に取り組もうとすると、分厚く巨大な本を3冊以上は相手にしなければなりません。

なので「コード理論やスケールはある程度扱えるけどもっと追求したい、学問的に知りたい」という方はぜひ挑戦してみてください。

この和声、対位についてはおそらく音大出でもない限り「プロのミュージシャン」でも深く精通した人は少ないでしょう。
※ただし理論としては知らなくても耳と経験で補っている方は多いと思います。

入門部分の知識に限っては簡単で知っておくと色々便利なので、コード理論の基本がなんとなく理解できた方は一緒に学んでいきましょう。

まとめ

今回は音楽理論の全体像について見ていきました。

おそらく音楽理論を初めて学ぶ方は、なんとなく分かったような分からないようなモヤモヤした気持ちになったかと思います。

しかし、音楽理論に関してはまず「分からないなりに全体のイメージをつかむ」ことが非常に大切です。

何故なら、本来スケールの説明にキーの概念は不可欠ですし、コード理論はスケールとキーなしでは到底説明しきれないからです。

つまり、音楽理論はそれぞれが深く関係しあっているので、1つ1つ別々に切り離して説明することが出来ないということ。

それなのに初めからそれぞれ切り離して深く解説した本やサイトを見てしまうと「分からない言葉だらけで自分には無理だ」と感じてしまい、音楽理論は難しいという結論になってしまいます。

それでも説明のためにはいずれ分けて考える必要も出てくるので、今回はまず音楽理論で大切な用語について広く浅く、簡単に知ってもらいたいという記事でした。

音楽理論は基本が分かってくると本当に楽しい世界なので、少しずつでも一緒に頑張っていきましょう。

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