楽器をやっている人なら、きっと誰もが憧れたことがあるのが「耳コピー」です。
「曲を聴いただけでコードが分かる」というのは、一見人間離れした能力、音楽の達人のように感じるかもしれません。
「自分は音感も良くないし、コードの耳コピなんて出来ないんじゃないか」
「もっと小さい時から楽器をやっていれば」
敷居が高く感じますよね。
でも大丈夫です。
耳コピに絶対音感なんて必要ないですし、絶対音感があったとしても「完コピ」には結局それなりのトレーニングが必要です。
逆に言えば、正しいやり方やコツ、練習方法さえ分かってしまえば耳コピは誰にでも習得できるんです。
今回は耳コピの中でも初歩的な「ルート音コピー」などの簡単なコピーから始めて、最終的には「完全コピー」までの習得を目指していきましょう。
「耳コピ初心者」の方も安心してついてきて下さいね。
1. 耳コピとは
耳コピ(耳コピー)とは、曲を耳で聴いただけでコードを譜面に起こしたり、同じ演奏をしたりすること。
つまり、耳コピが出来れば楽譜がなくても好きな曲の演奏が出来ちゃうんですね。
1-1 耳コピのレベル
さて一言で「耳コピ」とは言いますが、耳コピには様々なレベルがあります。
まずは耳コピのレベルを段階別に見てみましょう。
耳コピ初心者
・ルート音が合っている
・コードのメジャー、マイナーが合っている
耳コピ中級者
・ディミニッシュコードが使える
・テンションコードの音を拾えている
・複雑なコードも合っている
耳コピ上級者
・コードの構成音が全て正確
・「同音異弦」の区別がある(弦楽器)
まだ序盤であまりピンとこないと思いますが、これが全て出来れば一応は「完コピ」と呼んでもいいでしょう。
※完コピとは原曲通りの完全(完璧)な耳コピーのこと
こだわる場合はそこから、原曲の演奏技法や音価、リズム感なども忠実に汲み取った「さらに完全な耳コピ」をしていきます。
1-2 耳コピのメリット
耳コピのメリットは「相対音感の向上」と「正確なコピー」です。
まず耳コピをしていると普段見ない観点から音楽を見直すことになるので、音楽の知識や音に対する感覚が深くなります。
また、注意深く音を聞こうとすることで、これまで聴こえていなかったような音も少しずつ聴き取れるようになるでしょう。
次に、耳コピの場合は慣れれば「市販の譜面、無料コードサイトのコード譜・TAB譜」よりも正確な譜面を作ることができます。
というのも、市販の譜面や無料のコード譜のほとんどは「誰かが耳コピしたもの」だから。
本家アーティスト監修の譜面は別としても、有料の譜面ですら「間違ったコピーや運指」が記載されていることがよくあるんです。
なので完全に原曲と同じ演奏を目指すのであれば、耳コピは必須の能力だと言えます。
そうでなくても、耳コピは音楽的に本当にたくさんのことを学べるので、ぜひ挑戦して見てくださいね。
1-3 耳コピが難しい・出来ない理由は?
さて多くの人が耳コピを難しい、出来ないと感じてしまうのは、実はただ単に耳コピに必要な手順もコツも知らないから。
田村自身も、耳コピのやり方や方法を教えてもらうまでは、まさか自分に耳コピが出来るなんて全く想像もしていませんでした。
だからこそ今、音感がないことに悩んでいる、耳コピが出来ないことに悩んでいる皆さんにはぜひ耳コピのコツを知って欲しいと思います。
ここからはいよいよ耳コピのやり方・方法について一緒に見ていきましょう。
2.音楽(コード)理論なしの耳コピの方法とやり方
最終的に早く正確な耳コピーを目指そうとすると必須になってくるのが「コード理論・音楽理論」といった和音についての楽典知識ですが、実は簡単なコピーであればこれらの知識は使わないでも耳コピすることが出来ます。
そこで、まずは理屈抜きで耳コピをするためのやり方とコツを掴んでいきましょう。
やり方が分からないと中々手がつけられない耳コピも、きちんとした「方法と手順」さえ知れば誰でも出来るんです。
ここでは「実際の耳コピ方法と手順」を簡単に説明していきます。
詳細やコツなどについては後から説明しますので、気楽にイメージしてみて下さいね。
2-1 低い音を聴きとる
「これが出来れば半分コピー出来たようなもの」
それくらい耳コピで大切なポイントになるのが「最低音」を聴き取ることです。
初めて耳コピをする人がやってしまいがちなのは「いきなり雰囲気と直感でコードを探す」というものですが、本来それはかなり「相対音感」を鍛えた後でないと難しいもの。
これが原因で「私には耳コピなんて出来ない」と諦めてしまうのは本当にもったいないです。
初めに拾う音は、たった一音、一番低い音だけで良いんです。
2-2 2つのコードを試す
先ほど耳コピした低音を元にして、2種類のコードを試します。
具体的には「メジャーコードとマイナーコード」の2種類を実際に鳴らしてみるということ。
多少響きや雰囲気が違っても、原曲とこの「仮のコード」を一緒に鳴らしてみて不協和音になっていなければ、ひとまずそのコードでOKです。
具体的なコードの選び方も後でしっかりと紹介しますのでご安心ください。
2-3 dimコードを試す
先ほどのメジャーコード、マイナーコードがともに原曲と不協和音だった、明らかに違った場合は「dim(ディミニッシュ)コード」と呼ばれるコードを試します。
メジャー・マイナーに続いてこのディミニッシュコードでも違和感が残る場合、少し複雑なコードが使われていると思って下さい。
2-4 ひとまず完成
ここまでの方法でコードが見つかっていない場合、やや難しいステップを加える必要があります。
難しい耳コピのやり方についてはもう少し後で一緒に見てみることにしましょう。
3.耳コピの練習方法とコツ
それでは、いよいよ実際の曲を通しての耳コピ練習です。
今回は例として、コピーが優しいスピッツの「チェリー」という曲で実際の耳コピのやり方を説明していきます。
3-1 耳コピの練習はバンド曲が良い
今回のチェリーもそうですが、耳コピの練習は「バンド曲」をお勧めします。
というのも、先ほど少しお話しした「最低音」を見つける作業がかなり簡単になるから。
その鍵を握るのは「ベース」という楽器です。
ベースは基本的には「バンドの中で最低音を担う楽器」なので、まずはベースの音だけを聞き取ればOKです。
さらにこのベースは単音で弾かれる場合が多いため、バンド曲の耳コピでは本当に「一音を聴き取る」というやり方でコピーが始められます。
3-2 ルート音を見つける方法
「ルート音」とは「コードの中で」一番低い音・最低音のこと。
例えば、低い方から順にド・ミ・ソという音が鳴っているコードのルート音は「ド」
レ・ファ・ラの場合は「レ」といった具合です。
基本的には、ただの「一番低い音」のことだと思って下さい。
まずはこのルート音をしっかり聴き取ることが、耳コピへの第一歩です。
さて、それではチェリー/スピッツのAメロのルート音を実際にコピーしてみましょう!
まずは先ほど言ったように「ベース」の音のみをコピーしてみるとこのようになると思います。

ここで更に注目して欲しいのが「コードの変わり目」で鳴っているベースの音。
分かりやすいように、「ギターがコードを変えたな」という箇所に線を引いてみます。

そして次に、今コピーしたベースの音から「ギターのコードが変わったタイミングで鳴っている音」だけを赤でピックアップしてみましょう。

この赤丸がまさに「ルート音」だと思って下さい。
ベースラインを全てコピーするのは意外と難しく面倒ですが、ルート音以外の「間に挟まっている音」は無視してOKです。
(初めからコピーする必要なし)
ではこのやり方で残った部分も「コードの変わり目のルート音だけ」をコピーしてみます。

ここまでで第一段階は終了!
先ほども言ったように、これが出来ればほとんど耳コピは終わったようなものです。
3-3 ルート音からコード名を探す方法
コード名とはCやG、Amなどコードの名前のこと。
実はコード名には原則「ルート音と同じ名前」が使われます。
つまりルート音が「ド」ならコードの名前も「ド」というわけです。
ただし、この時使われるのは、なじみ深い「ドレミファソラシド」ではなく外国の「C D E F G A B C」という呼び方。
音の名前を表にしてみるとこのようになります。

つまり、CやGといったコードは実は単に
「ドミソ」というコードに「ド」
「ソシレ」というコードに「ソ」
という名前が付いてるだけなんですね。
それでは、このやり方で先ほど見つけた「チェリー/スピッツ」のAメロのルート音をコード名に直してみましょう。

これだと見辛いので、更によく見るコード譜風に書き直してみると…

なんということでしょうか。。
ベースの単音しか耳コピーしていないのにかなりそれっぽくなってきましたね。
しかし、まだこのままで演奏すると非常に不穏なコードの曲となってしまいます。
3-4 コードのメジャーとマイナーを決める方法
メジャーコード、マイナーコードとは「雰囲気の明るさ」の違うコードのこと。
基本的に、コードはメジャーかマイナーのどちらかに分かれ、明るい響きのものをメジャーコード、暗い響きのものをマイナーコードと呼びます。
※譜面でA、Eのように大文字だけのコードがメジャーコード、大文字の傍に小文字のmが付いたAm、Emなどがマイナーコードを指す。
もちろんこの響きの明暗は構成音の違いからくるんですが、今はそこは気にしなくて大丈夫です。
さて、耳コピの次の手順として、先ほどルート音から付けた仮のコード名を「メジャーとマイナー」に分類する必要があります。
この分類は理論を用いたやり方でも良いのですが、初めはかえって手間がかかるので、今回は1つずつ手探りの方法で試してみましょう。
まずは、さっきのコード譜の1行目を実際に「全てメジャーコード」で演奏してみて下さい。
すると前半のC、Gに関してはそれっぽい音がしますが、後半部は明らかに違和感があると思います。

そこで、A、Eを順番にマイナーコードに置き換えてみましょう。
まずAをAmに変えてみるとC→G→Amまでの進行はしっくり来ます。
しかし、Eがメジャーのままだとやはり最後が不自然なコピーに感じてしまいます。
そこでAと一緒にEもEmに変えてみると、

これだと1行目はかなりしっくり来ますね!
ここで、この曲の中では「CとGはメジャー」、「AとEはマイナー」だと仮定して、あらかじめAとEの横にmの印を書き込んでしまいましょう。
(一曲の中では、同じルート音のコードのメジャー、マイナーが変わらない場合が多いので)

さて残った試していないコードはFとBですが、弾いてみるとFはそのままでも大丈夫そうですね。
問題はBで、Bはなんとメジャーでもマイナーでも違和感が残ってしまいます。
3-5 例外コードを見つける方法
このBのように、どうしても違和感が残るコードがあった場合にまず試して欲しいのがdim(ディミニッシュ)コードです。
dimは独特な暗い雰囲気を持ち、メジャーマイナーの次に主要な位置にあるコードだと言えます。
しかし、今回はBをBdimに変えてみてもしっくり来ません。
そういう時は、一度先に他の部分のコードを完成させてしまってから戻ってくるのがオススメです。
何をするかというとつまり、曲中で他に出てきたC、F、G、Am、Emなどのコードを「B」の箇所に当てはめてみるんです。
すると、今回は曲中で使われているGが1番しっくり来ますね。

これでひとまずサビ直前までの簡単な耳コピは完成!
どうでしょう、このやり方なら思ったより耳コピ出来そうじゃないですか?
最後のBについては色々な疑問が尽きないと思いますが、少し難しい理論の話が関係するので、細かい理由はまた別の記事で紹介する形にさせていただきます。
※今回のBにはコードの転回と分数(on)コードが関係します。
4.完コピのやり方と方法(初級)
さて、このやり方である程度の曲数を耳コピしてみると、原曲と自分のコピーに微妙な違いを感じたり、先ほどの方法だけではコピー出来なかったりすることがあります。
そんな場合に考える必要が出てくるのが、
・7th、9th、-5、sus4などのおしゃれコード
・C/Gなどのonコード
・名前のない和音や不協和音
の3つで、特にonコードや不協和音は初心者の方が正確に耳コピするのが難しいコードです。
では、順番にコードを見つける方法とコツ、通常のコードとの違いなどを見ていきましょう。
4-1 おしゃれ(テンション)コードの耳コピ
おしゃれコードは、普通のコードに「装飾音」が追加されたもののことで、実は無くてもあまり問題ありません。
例えば、Gsus4→Gなどはサビ前などによくあるコード進行で、聴いてる人に「これから何か開けるんじゃないか」といった期待感を抱かせるような響き方をします。
テンションコードは曲の雰囲気を強く彩ってくれるコードではありますが、Gsus4をただのGに置き換えても一応曲は成立するので、「ただのメジャーかマイナーでも良い」わけです。
※音楽理論から厳密にいうとGsus4というコードは例としてやや不適ですが、、
つまり、おしゃれコードとは曲に明るさや怪しさ、期待感や失望感などのちょっとした味付けをするスパイス的なコード達のこと。
無くてもいいんですが、これらがきちんとコピー出来ると一気に原曲っぽくなります。
テンションコード耳コピのやり方・方法
では、どんな方法でテンションコードを耳コピするかというと、慣れるまでは「総当たり」でやっちゃいましょう。
何曲もコピーするうちにだんだんと聴いただけで分かるようになるので、まずは手当たり次第のやり方で「音になれる」ことも大切です。
おしゃれコード達をよく使われる順に並べておくので、「普通のメジャー・マイナーとは少し違う」と思ったルート音はコードブックで下のコードを調べて試してみましょう。
(ここではルートがC、メジャーコードだった場合)
頻出コード
C7th、C9th、Csus4、C6th
少し珍しいコード
C-5(=Cb5)、Cadd9、CM7(=CΔ7)、、etc
4-2 onコード(分数コード)の耳コピ
onコード(分数コード)とはConG(=C/G)のように書かれているコードで、G(単音)の上にC(コード)が乗っている状態を示しています。
つまり、ルートがGだけど、コードはCを鳴らすというちょっと特殊なコード。
チェリーの耳コピで出てきた「ベースがBなのにコードがG」というのもGonBという分数コードになります。
onコードには2つのパターンがあって、ベースがGの単音を鳴らしているのに対して
ギターなどはただのCコードを弾いている(ドミソ)
ギターなどもGをルートでCを弾いている(ソドミソ)
場合があります。
onコード耳コピのやり方・方法
このonコードは理論抜きだと非常にコピーが難しい場合が多く、耳コピでは初心者泣かせのコードです。
見つけ方のコツとしてはチェリーのコピーで出て来た「B」の時のように、曲中で使っている他のコードを弾いてみること。
それでダメな場合は、理論を少し勉強するか、次に紹介する方法を試して見ましょう。
4-3 分からないコードを耳コピする方法は?
さて、ここまでやってもまだ見つからないコードは、実は作曲者の創作コードで、どう頑張っても名前すらつけられないなんて場合もあります。
そんなコードを見つける方法は1つ。
そう、それは1音ずつ構成音を特定していくこと。
このやり方はいきなり耳コピの難易度が高くなるんですが、名前のわからないコードに出くわした時に少しずつ練習していきましょう。
コードをコピーする手順は、まず今まで通りにルート音を見つけます。
そして次は1番高い音を拾ってみます。(聞こえやすい場合が多いので)
最後に今見つけた2音に集中しながら、その間で鳴っている音を探して完成です。
言うは易し行うは難し。
これは少し耳コピに慣れた人でもけっこう難しいと思います。
基本的にコードは3音〜4音で出来ていることが多いので、それを目安に頑張って音を探してみてください。
5.原曲の完コピ・完全再現を目指す(上級編)
さて、なんとかコード名や構成音はバッチリあっている状態に持っていけましたか?
そこまで行ければ、もうそれは曲として完コピと呼んでいいものだと思います。
しかし、人によってはまだまだもっと「原曲っぽく」したい場合もありますよね。
そんな時にまだ残った耳コピの要素は何があるんでしょうか?
正直これは人によってどこまでこだわるかが違ってくることなんですが、田村が完コピを目指す時に心がけていることは、
・構成音の分布
・弾き方
・リズム感
・エフェクトの有無
の4つなので、それぞれご紹介します。
※さらに「同じ機材」を加える方もいらっしゃいます
5-1 構成音の分布の耳コピ
これは、同じCのコードでも「ドミソドミ」なのか「ドソドミソ」なのか、つまりどんな押さえ方で音を鳴らしているかを聞きとって真似するということ。
例えばギターでいうと、曲中で使われているCのコードは開放弦を使ったローポジションのコードなのか、6弦ルートなのか4弦、3弦がルートなのかといったことまで耳コピするということです。
これだけでも音の雰囲気や聴こえ方が結構変わってきたりするので、こだわりたい場合はぜひ注目してみてくださいね。
5-2 弾き方や表現技術の耳コピ
これはやや技術面の話にかかって来ますが、音自体の発音方法のコピーのこと。
例えば、ギターでコードをじゃらんと鳴らす時に
「どんな素材・厚さのピックで」
「どんな速度で」
「どんなふうに腕や手首、ピックを使って」
演奏されているかを再現しようというもの。
ピアノで言えばタッチの強さや指の速さ、ペダルの使い方に当たると思います。
曲の強弱や抑揚、グルーブなども含めて「少しでも憧れのアーティストと同じ音が出したい!」と思った時は追求して見てください。
弾き手の技術や表現を意識的に聴こうとすることは、楽器を問わず耳と演奏技術の向上にもつながることなので、ぜひ挑戦してみて下さいね。
5-3 リズム感やグルーブの耳コピ
これは実際の演奏が正確なリズムに対してどんな風に演奏されているかを耳コピで真似するというもの。
演奏者は機械ではないので、CDやLIVEの演奏で多少リズムに対する癖やこだわりが出ている場合があります。
これは、正確なリズムだから良い、そうじゃないから悪いということではなくて、リズムに対する感覚・感性の問題です。
例えば、特定の拍の音だけ少しテンポより重たい(遅い)などは音楽の印象を非常に大きく味付けるものとなるので、これも真似してみると面白いです。
洋楽、特にハードロックと呼ばれるジャンルはこのリズム的な重さが顕著に見られることが多いので、良かったらそういう目線でも聴いて見てください。
些細なことのようですが、ちょっとしたリズムの耳コピは、曲全体の印象や魅力に大きく関係することなので、自分の「魅力あるリズム感」を磨くためにもよければ挑戦してみましょう。
5-4 エフェクトの耳コピ
読んで字のごとく、元の楽器の音に対してどんな効果を付加して曲に仕上げているかまでを読み取った耳コピのことです。
一般的にエレキ、アコギ、ボーカル、ピアノ、その他楽器を問わず色々なエフェクトを使ってCD制作やライブが行われています。
例えば、楽器を問わずに多用されるのは残響感を出すリバーブやディレイなどの「空間系エフェクト」、音粒をはっきりさせる「コンプレッサー」などです。
こればかりは、自分でエフェクターを使ったことがないと中々感覚が掴めないので、簡単な音楽アプリなどで自分の声や楽器にリバーブを掛けて遊んでみましょう。
知らないエフェクトだけは絶対に耳コピ出来ませんので。
エレキギターの場合は、1つ、安くてもいいので空間系の豊富なマルチエフェクターがあると音の勉強に重宝します。
ディレイ、トレモロ、リバーブ、オクターバー、ワウ、フランジャー、コーラスあたりの音を少し知っているとかなり弾ける曲の幅が広がりますし、どれも不思議な音で弾いてて楽しいのでエレキギターの方はぜひ楽器屋さんで試奏させてもらいましょう。
またピアノやアコギなどの場合は音楽編集用の安いソフトに色々なエフェクトが入っていることが多いので、それも楽器屋さんで店員さんに聞いてみると良いですよ。
自分の聴いている音の要素が、果たして「弾き方」由来の音なのか、「エフェクト・編集」由来の音なのか見定めるのは中々難しいですが、余裕があれば気にして聴いてみて下さいね。
まとめ
さて、耳コピのやり方や練習方法、コツについては何となく分かっていただけましたか?
初心者の方向けの耳コピのやり方について、もう一度簡単に手順をおさらいしてみましょう。
1.ルート音を見つける
耳コピでコードを見つける一番の手がかりになるのがこのルート音(=最低音)でしたね。
2.メジャー・マイナー・dimコードを試す
先ほど耳コピしたルート音をもとにして、コードを分類してみましょう。
3.例外的なコードを耳コピする
ここまでで見つかっていないコードは、大変ですが1音ずつ耳コピしていきましょう。
4.完コピを目指す
作った大まかなコード譜に対して、装飾音や構成音、リズム、演奏手法など様々な観点から耳コピをすることで、原曲の完全再現を目指してみましょう。
今回は耳コピについて、かなり遠回しな表現も含めながらご紹介したわけですが、その分音楽理論らしいことはほとんど出てこなかったことにお気づきでしょうか?
今回の耳コピ方法は言わば「万能タイプ」のやり方です。
慣れるまでは少し大変に感じても、最も王道的で、楽器初心者の方でも出来る耳コピーだと言えるでしょう。
逆に音楽理論を使った耳コピーは慣れれば楽で早いんですが、使いこなすのにはものすごい練習と知識が必要ですし、例外への対処が難しいという欠点もあります。
なので、いずれは音楽理論でパパッと耳コピーが出来るようになりたいという人も、まずは今回の「耳の力」を頼りに音を探すためのやり方や練習方法、コツをしっかりと身につけるのがおすすめです。
地道に耳コピーを続けていると、譜面だけに頼っていては気づけない色々な気づきがあると思います。
初めは難しい、出来ないと思ってしまった人でもきっと出来るようになれるので、ぜひ手順をおってゆっくり耳コピに挑戦してみてくださいね。
音楽理論をフル活用した耳コピーの方法や、原曲を雰囲気でとらえる即興耳コピーの方法についても今後記事にしていく予定なので、そちらもぜひお楽しみに。