「新しくアコギが欲しいけど、買うとしたらアコギとエレアコどちらが良いんだろう…」
「エレアコのピックアップって色々あって良くわからない…」
「そもそも何が必要でどうやって使うの…」
アコギを持っている方も、エレキを持っている方も意外と詳しく知らないエレアコ。
やはりエレキギターともアコギとも違い、かなり独特な仕組みを持っています。
田村も現在使っているエレアコを買うまでに、自分のアコギに穴を開けてエレアコに改造してみたり、色んなことをしました。
今回は、そもそもエレアコとはどんなギターなのか、どうやって使えばいいのか、また選び方やおすすめのエレアコメーカーについても詳しくご紹介します。
1. エレアコとは?まずは大枠を知ろう
エレアコとはエレクトリック・アコースティックギターのこと。
簡単に言えばアコギの中に「ピックアップ」を取り付けて、アンプやスピーカーから大きな音で演奏が出来るようにしたギターです。
※ピックアップ :音を拾うための装置(マイクなど)
エレアコに使われるピックアップは大きく分けてコンデンサーマイク、マグネティック、ピエゾの3種類。
それぞれ音を集める仕組みが大きく違うので、ピックアップの選び方はエレアコの音の個性を決める大切なポイントです。
エレアコの基本情報
まずはエレアコの基本的な情報を簡単にまとめてみますね。
ざっくりとした書き方ですが、後から詳しい説明もしますのでご安心ください。
用途
バンド演奏、弾き語り、ソロギターのライブ、レコーディングからストリート(路上)ライブまで様々。
普通のアコギのように生音で練習することも可能。
値段
新品のものであれば3万円前後〜数十万円まで色々な価格帯があります。
最近では3万円〜5万円でも十分に良い性能のエレアコが売られているので、初心者の方にはこの価格帯がおすすめです。
代表的なエレアコメーカー
YAMAHA(ヤマハ)
Yairi(ヤイリ)
Takamine(タカミネ)
Taylor(テイラー)
Maton(メイトン)
Cole Clark(コールクラーク)
Morris(モーリス)
Martin(マーチン)
Gibson(ギブソン)
Fender(フェンダー)
Epiphone(エピフォン)
など。
各メーカーの特徴は後で説明しますね。
ピックアップの簡単な特徴
エレアコに使われるピックアップ(音を信号に変える装置)は大きく4つに分けることができます。
・ピエゾタイプ
ギターボディの表板の振動を音として集める仕組み
・マグネティックタイプ
エレキギターと同じ仕組みで、弦の振動を音として集める仕組み
・コンデンサーマイク
通常のマイクのように、空気の振動を音として集める仕組み
・デュアルピックアップ
2種類のピックアップを組み合わせて音を集めるタイプ
それぞれ個性的なピックアップですが、中でもピエゾタイプは多くのエレアコに使われている定番のピックアップです。
エレアコに必要なもの
・シールド(アンプとギターをつなぐケーブル)
・9v電池(エレアコ用の電池)
・チューナー(チューニング道具)
・DI(後で説明)
・キャノンケーブル
・ミニアンプ
など。
その他あると便利な道具や場合によっては要らない道具など、後できちんと紹介します。
とは言え、初心者の方がいきなりこんな説明をされても、
・アコギの前にマイクを立てるのとは違うの?
・エレアコ本体の他に何が必要でその使い方は?
・おすすめのメーカーや値段は?
・アコギとエレアコで生音にも違いがあるの?
・ピックアップって何?選び方は?
など、分からないことだらけですよね。
ここからはそんなエレアコについての疑問や、基本的な使い方などをもう少し詳しく丁寧に確認していきましょう。
2.エレアコの仕組み
さて、一言で「エレアコ」とは言っても見た目はほとんどアコギと同じですよね。
とくに初めての方だと「アコギとエレアコって一体何が違うの?」という疑問を持つ方も少なくないです。
なので、まずはエレアコの仕組みについて簡単なイメージを知っておきましょう。
2-1 エレアコとアコギの違いって?
まずアコギとエレアコの1番大きな違いは、エレアコにはギターの音を集めてスピーカーから出すための「ピックアップ」と呼ばれる装置が、ギターの中に直接取り付けられているということがあります。
※ピックアップはギターの音を集める小さなマイクのようなもの
例えば普通のアコギの場合、大きな会場でスピーカーから音を出すにはギターの前に固定のマイクスタンドをセットする必要があります。
これだと準備が大変な上に、少し横に動くとマイクとギターの距離が変わってしまうので身動きがとれませんよね。
しかしエレアコの場合はマイクがギターの中に取り付けてあるので、わざわざ固定マイクを用意しなくても音が出せて、しかも飛び跳ねたり自由に動き回ったりしても問題なく音を集めることができるんです。
「手軽でライブがしやすい」というのはエレアコのとても大きなメリットだと言えるでしょう。
エレアコとアコギの違いについてもっと詳しく知りたい方は「エレアコとアコギの違いって?ライブ使用、生音、構造について」という記事へどうぞ。
2-2 エレアコのピックアップって?
さて、エレアコに使われているピックアップという装置は、実はみなさんがイメージするような「歌うときのマイク」とは少し違った仕組みをしています。
例えば、エレアコのピックアップとして最も人気でよく使われているのは、「ギター表面の振動」を音として拾うことができる「ピエゾピックアップ」と呼ばれるもの。
ピエゾタイプは安価なエレアコから高級エレアコまで幅広く使われていて、世のエレアコの8割くらいに使われている定番ピックアップです。
ピエゾはとても優れたピックアップなので、入門用・1本目のギターとしてエレアコを買いたい方はあまり難しいことは考えすぎずに「ピエゾピックアップ」のものを探してみるのがいいと思います。
他にも弦の振動を感知するマグネティックピックアップ、空気の音を拾うコンデンサーマイク、2種類のピックアップを組み合わせるデュアルピックアップなどもあるので、それぞれの音や特徴を簡単にご紹介しておきますね。
ピエゾタイプ
ギターボディの表板の振動を音として集めます。
明るく力強い音で、万能。
バンド演奏から弾き語り、ソロギターまで広くおすすめしたいピックアップです。
実は取り付け位置によってさらに「インブリッジ」「コンタクト」の2種類に分けられます。
マグネティックタイプ
エレキギターと同じ仕組みで、弦の振動を音として集めます。
弦のニュアンスをよく拾ってくれますが、音はややエレキギターよりでジャキジャキ、パキパキした印象。
手軽でアコギへの後付け用ピックアップとしてもよく使われますが、単一ではあまりおすすめ出来ないピックアップです。
コンデンサーマイク
通常のマイクのように、空気の振動を音として集めます。
ややこもってしまうものの、アコギ独特の空気感・響き感などの表現が得意。
理由は後述しますがこれも単一ではおすすめ出来ません。
デュアルピックアップ
2種類のピックアップを組み合わせて音を集めます。
特徴(長所)の違う音を混ぜられるので、単一のタイプよりアコギらしい音を出せるのがメリット。
ただし基本的に値段も高いので購入は慎重に。
ピックアップについてもっと詳しく知りたい方は「エレアコのピックアップの種類・特徴・選び方を徹底解説」という記事も合わせてどうぞ。
3.エレアコの選び方
エレアコがどんなギターなのか分かってきたところで、次に大変なのがギター選びですよね。
楽器自体が初めての場合、どのメーカーの、どれくらいの値段のエレアコを選べば良いのかなんて誰だって分からないので、ついつい迷ってしまいます。
そこで、ここではエレアコの選び方について簡単に説明しておきますね。
3-1 エレアコのメーカーを選ぶ
YAMAHA(ヤマハ)
Yairi(ヤイリ)
Takamine(タカミネ)
Taylor(テイラー)
Maton(メイトン)
Cole Clark(コールクラーク)
Morris(モーリス)
Martin(マーチン)
Gibson(ギブソン)
Fender(フェンダー)
Epiphone(エピフォン)
エレアコのメーカーをいくつかあげてみると、なんと有名なものだけでもこんなにたくさんあるんです。
各メーカーの特徴や価格帯については「エレアコのメーカーごとの値段・特徴・使い勝手を徹底比較」という記事にまとめてありますので、良ければぜひご確認ください。
ただ、メーカーの特徴から自分に合うエレアコを考えたり、気になったメーカーを試奏させてもらうというのは、実はギター初心者の方にとっては中々大変なことですよね。
そこでおすすめしたいのが、予算を先に決めて、そこからメーカーにある程度目星をつけてしまうという方法です。
3-2 エレアコの値段で選ぶ
楽器屋さんなどでも広く当たり前に行われているのが「予算の中で自分に合った1本を選ぶ」という方法。
例えば、この記事を読んでくださっている方の中には「1本目として入門モデルのエレアコが欲しい」「なるべく安くて使いやすいものがいい」という方も多いですよね。
仮にある方の予算が3万円だとすると、その時点で田村からはYAMAHA(ヤマハ)、もしくはFender(フェンダー)のエレアコを、理由や説明をつけながらおすすめすることが出来ます。
つまり先に予算が決まって入れば、田村も楽器屋店員さんも皆さんに合わせたメーカーの候補や買い方を提案できるということなんです。
予算に合わせたおすすめのメーカーやモデルについては「値段ごとにおすすめのエレアコと選ぶときのポイント」という記事の中で価格帯ごとにご紹介していますので、良かったらエレアコ選びの参考にしてさい。
3-3 入門用におすすめのエレアコ
さて、実は入門・初心者の方や、すでにギター経験があってエレアコは初めてという方にも「これなら間違いないよ、良いものだよ」とすすめられるエレアコがあります。
それはYAMAHA(ヤマハ)の作っている「CPX」シリーズの600番のつくエレアコ。
「安い・入門向き・良いもの」という3つのコンセプトでエレアコを1本選ぶとすれば、田村からはダントツでおすすめしたいギターです。
理由はたくさんありますが、とくに、
・頑丈でしっかりしている(壊れにくい)
・直感的な音作りがしやすい(機械部分の質が良い)
・生音が良い(ギターとして良い)
という3つの点においては、色々なメーカーの入門モデルの中でもトップクラスだと言えるでしょう。
楽器屋さんでおよそ4万円弱という値段は決して安い買い物ではありませんが、例えばこれから何度もライブで使っていくようなギターなのであれば、3万円前後のギターとは少し別レベルのヤマハギターは本当におすすめしたい1本です。
ぜひ楽器屋さんで試奏させてもらってみてください。
4.エレアコの使い方
さて、自分のエレアコを手に入れた後は、いよいよエレアコの使い方について見ていきましょう。
演奏に必要なものを全て自分でそろえてきちんと使いこなそうとするとやはり大変ですが、実はほとんどの場合は道具を借りることが出来ますし、あまり難しいことは考えなくても音を出すことは出来るので安心してくださいね。
4-1 エレアコに必要なもの
実はエレアコを音楽スタジオやライブハウスで使うときに普通の人が必要なものは「シールドケーブル」と呼ばれる電子楽器用のケーブルと「9v電池」という箱型の電池だけなんです。
もっと言えば、シールドケーブルは無料の貸し出しも多いので、実は「最低限」自分で準備する必要があるのは消耗品の電池だけだと言えます。
後はギター自体の練習やメンテナンスのためにチューナーやピック、掃除用のクロスなど自分に必要なものを少しずつそろえていくと良いでしょう。
初心者の方におすすめなのは、まず
・シールドケーブル
・9v電池
・クリップチューナー
・ピック
・ギタークロス
の5点を持っておくこと。
うまく選べば4000円くらいで一式そろいますし、これだけで大抵の場面を切り抜けられます。
一度では買いきれない場合は、練習に必要なチューナーやピック、ライブで使う電池、シールド、などのように自分なりの優先順で買っていきましょう。
少し慣れてくると通称「DI」(ディーアイ)と呼ばれる道具を自前で用意したり、ストリートライブで使うミニアンプを用意したりする人もいますが、それについてはまた後で別の記事でお話することにしましょう。
※エレアコで使う道具について詳しくはこのすぐ後(4-2)でご紹介する別記事に載せておきますね。
4-2 エレアコを使う手順
エレアコの使い方というのは実はとても簡単で、
①電池を入れる
②シールドケーブルをエレアコに挿す
③シールドのもう一端をDIもしくはアンプに繋ぐ
④エレアコの電源を入れる(自動の場合あり)
⑤音量を上げて演奏する
基本はこれだけです。
③の手順がよく分からない場合は、ライブハウスやスタジオの方に「どこにつなげば良いですか?」と聞くと、きっと親切に教えてくれると思いますよ。
細かく言えば音作りやDIの使い方、ミキサーの使い方なども自分で少しずつ覚えておくと便利なので、実際のライブハウスやスタジオでの詳しいエレアコの使い方については、また別記事で一緒に確認していきましょう。
エレアコに必要なものや実際の使い方については「エレアコの使い方と必要なもの一覧 |ライブ・スタジオ・路上別」という記事で場面ごとに詳しくご紹介しています。
5.その他 |Q&A
その他エレアコについての豆知識や、さらに詳しい内容、機材トラブルへの対処などについてもQ&A形式でまとめておきますね。
DIってなに?
DIとは簡単に言ってしまえばエレアコの音信号をスピーカーから出せるように変換してくれる装置のことです。
「プリアンプ」などと合わせてなかなか奥が深い機材なので、詳細については「エレアコのDIの役割と使い方」という記事でご紹介しています。
エレアコの電池の種類や役割はなに?
エレアコの電池はギターの音を劣化しにくくするために使われていて、主に9vのアルカリ電池が使われています。
興味がある方は「エレアコに使う電池の役割とアルカリ・マンガンの違い」という記事も合わせてどうぞ。
ハウリングノイズってどんなもの?
ハウリングとはエレアコをスピーカーにつないでいる時に起こる大きなノイズ音のことで、音量が上がりすぎた時に起こります。
エレアコでライブをする場合には知らないと困ることも多い現象なので、ライブやスタジオ練習の前にぜひ「エレアコ弾きに知ってほしいハウリングの原因と対策」という記事の内容も一読しておいてください。
まとめ:エレクトリックアコースティックギター
さて、エレアコとは一体どんな楽器なのか、なんとなくイメージしていただけましたか?
実はまとめにあたる内容ははじめの「1.エレアコとは」でほとんど解説してあるので、この記事の大まかな内容や、エレアコってどんなギターだっけ?という振り返りはそちらを見てみてください。
初心者の方には少しイメージし難い部分もあったかもしれませんが、1度実際に楽器屋さんで試奏させてもらうともっとイメージが湧くと思います。
音の感じ方や好みは本当に人それぞれなので、中には「田村が言ってたことと全然違う!」と感じる人もいるはず。
なので試奏するときには必ず2本は弾き比べて、出来たらアンプ無しの生音もしっかり聞いてみて下さいね。
また店員さんに聞けば喜んで色々教えてくれると思うので、まずは勇気を持って試奏させてもらいましょう。